前回、安納芋をじっくりじっくり焼き上げてみた結果を踏まえながら、最高に美味しい焼き芋とは、巷で言われるように70℃に達しない温度でじっくりと糊化させるような焼き方をしたものではない、ということを書きました。
今回は、その根拠と実践編。実践編と言っても、要は焦げなんて恐れずに気楽に思い切って焼けばいい、というだけです(笑)薪ストーブで美味しい焼き芋を焼ける日を夢見て頑張っていらっしゃる、あなたへの応援メッセージ♪
それでは早速ですが、巷で言われるような70℃に達しない温度でじっくりと糊化させるのに異を唱える根拠です。好みの問題、ではありますが、賛成して頂ける方も少なからず居るのでは?と思います。
根拠その1;糊化した焼き芋の甘さは、どうしてもベタ付いたような「しつこい甘さ」になりがちで、少し食べたら飽きが来やすい
ふっとい芋を焼こうとすると、少なくとも薪ストーブでは、ですが、結果的に、どうしても「比較的低温でじっくり」という焼き方になり、焼き上がりまで1時間とかで、グニャッと潰れるくらい、まさに糊化した状態になるのですが……
例えば、この記事で、私がツィッターで紹介している焼き芋
アルミホイルも使わずに、遠赤外線で、直接焼き上げた焼き芋は、外は香ばしく、中味は、ものすごく柔らかく……指で押すと潰れてしまうくらいです。
本当に、ぶっちゃけて言いますが、最高に美味しいか?というと、決してそうではありません。美味しいことには、間違いなく美味しいのですが、そうたくさん食べられる美味しさではないのです。
甘さがベタ付くといいますか……最後には、バター塗って焼いてみたり、きんとんにしてみたり、生クリームの力を借りてみたりしながら、なんとか食べきるという状況になります。
だから、ふっといさつまいもは、頂き物としては、もちろんありがたく頂戴するのですが、自分では買わないし、どなたかに頂いた場合に候補にあがるのは、焼き芋よりも、スライスして天ぷらとか、やっぱり蒸かしてみてみてきんとんとか、我が家でもそんな具合になります。
要は、糊化して、糖分への変換が進んで、ホクホクではなくて、ねっとりとなってしまった芋って、「焼き芋としては」、こう……それこそ表面の糖分を強めに焦がしてみたりとかしないと、単体では「つらい」のですよ。
一口や二口なら、ねっとりとした食感も甘さも、なかなか素敵なんですけどね……これを「最高に美味しい」とか「究極の焼き芋」とかいうのは、どうか?と。
根拠その2;芋によるかもしれないが、中味が黄金色ではなく緑色にくすんでしまって、美味しさもくすんでしまう場合が少なからずある
私が焼き芋で「じっくり焼き」をやめるようになった、直接の理由はこれでした。さつまいもを切っただけでも緑色に変色していくようなことってありますが、調べてみると、芋(皮だけでなく、内部の身にも)含まれているポリフェノールが、酸素によって酸化されて色が変わるようですね。食品大手、ニッスイさんによる解説。
望ましくない変色望ましい変色|色(6/6)|ニッスイ企業情報サイト
干し芋なんかでも見かけますよね?緑色っぽい変色。干し芋でも美味しいのは、焼き芋と同じく「黄金色」。どうもこの緑色っぽいの、どんな芋でもというわけではなく、甘さと関係するようなのです。そこで「豆知識」の8番の記事。
サツマイモが本来持っている栄養分であるポリフェノールの酵素が酸化したためです。 変色した焼き芋の方がポリフェノール成分が増えています。 肉質が柔らかく、甘みが強いサツマイモほど、黄色身が黒ずみやすくなります。
この記載は、「酵素が酸化する」というサイエンス的な部分ではおかしいけど、サツマイモを扱うプロ中のプロが書いているので、「甘味が強いサツマイモほど」という経験論の部分としては間違っていないと思うのですよ。
私が経験したのは、同じ一袋から取り出して焼いた芋なのに、弱い燠火にじっくり当てる感じで焼いたら、皮一枚下の中味とか焦げもせずすごく柔らかいんだけど、緑色になっちゃってあまり美味しくなかったのに、最初にたちまち焦げるくらいの強い燠火で焼いたら、皮は身も少し巻き添えにしながら焦げたけど、中味は黄金色で、焦げた皮ごと食べても、とっても美味しかったという事例。
それ以降は、最初は強火で頻繁にひっくり返しながら、芋全体の温度を短時間に一気に上げてしまったら、あとは、そのままの火力でも、成り行きで弱くなっていく火力に任せてじっくり焼き上げても、とっても美味しく焼けるという経験を重ねてきました。
おそらく、ですが、酵素であるポリフェノールオキシダーゼが、糖分が強いほど作用する傾向があって、そうしてできるメラニンが、せっかくの甘みを殺してしまうというか、とにかく芋が本来甘い芋であるほど、美味しくなくしてしまうことが、起こってしまうのではないかと。
そのようなわけで、私が提唱する「最高に美味しい焼き芋」とは、薪ストーブであれば逆にとても簡単で、ガンガンに燃えている天板で、単純にコロコロ転がすか、まだちょっと強いかな?という燠火で、焦げを恐れずに焼き始めて、頻繁にひっくり返すか(それこそ2分もひっくり返さないでいたらダメ)。
ポイントは、最初に「酵素(タンパク質)を高温で殺す」というイメージで、速やかに芋全体の温度を上げてやる。
すなわち、巷の「説」とは、ほとんど真逆の方法論を、「最高に美味しい焼き芋の焼き方」として私は推奨いたします。また、この焼き方でこそ、遠赤外線たっぷりの熱源(薪ストーブ)の良さが活きてくる。せっかくの薪ストーブなのにアルミホイルなんて、絶対に使ったらダメですよ?(笑)
ちょっと地味ですが、冒頭写真の断面、よく見てほしいのです。まるで、お菓子の上質な「餡」そのもののように、芋の中味に透明感があります。見かけから想像するように、自然な甘さで、バターとか、何もつけなくても、いくつでもパクパクと食べることができます。
甘い香ばしさに続いて、しっとり、ホロホロと……まろやかな上品な甘さが、舌の上で、やさしく解けていくのです……!!
この「最高に美味しい焼き芋」は、こんなふうに、単に炉内の成り行きの燠火で、最初は強火、あとはじっくりと、とても簡単に、何気なく焼き上げたものです。
最初の燠火が強いうちに、クルクルとマメにひっくり返しさえすれば、中味の損失を最小限に、ホックホクの焼き芋が、いとも簡単に短時間で焼き上がります♪
本当に気軽で超簡単、それなのに、最高に美味しい焼き芋。これぞ、薪ストーブの醍醐味でです!!もう、それだけで、薪ストーブを置く価値ありあり!!!暖房なんていらない(笑)最初の連載でも言いましたね、私。
そういうわけで、焼き芋フリークなあなた、もう、「このため」に、薪ストーブ買っちゃいましょう!!薪ストーブを導入するって決めていらっしゃるあなた、この美味しさが、もうすぐあなたのものになります!!
美味しい焼き芋は幸せです。人は、幸せになるために、素直に行動するのが一番素敵です。当ブログとして一番のメッセージ。
私自身、このブログを書くのは、大変ですが実は幸せです。役に立つブログを書こうという責任意識が、これはなんでだろう?という深掘り習慣を育てて、この1シーズンで、これまでになく、本当に様々なことについて知見を得る機会をもらいました。
そして、知見を実際に披露した結果として、ああ、焼き芋について新たにわかった、このことも、ちゃんと書かなきゃと、改めてまとめる機会をもらいました。先日のイベントでのご縁には本当に感謝。
そういうわけで、ここしばらく、先日のイベント関連でのテーマが多くなりましたが、週末を挟んで気持ちを切り替え、次回から、またコツコツテーマに戻ろうかなと思います。
なお、引き続き、このブログのテーマやご質問を大募集中ですので、何かありましたらどうぞお気軽にご連絡ください。弊社ユーザーさんかどうかとか、そんな「立場」とかは何も関係ありません。(薪ストーブと(笑))美味しい料理と楽しい人生をこよなく愛していらっしゃれば、どうぞ、ご意見、ご感想、何でもお寄せ下さい♪
それでは次回も乞うご期待~~♪ どうぞ、楽しい週末をお過ごしください!!