薪ストーブで超簡単で美味しい料理を楽しみましょう、という前に「薪ストーブを選ぶ」という問題があるのですが、今のところそれは道も覚束ない原生林の中をトレッキングするくらいの勢いがありますよね……ということで、冒頭写真。
なぜならば、前提として薪ストーブで日々暮らそうとしたときには、そのために準備しなければならない薪の量が少なくて済むという意味が、本来の「省燃費」であろうと、私は信じて疑わないのですが、ここは、あえて実リンクでいきますが、世間には、こういう「低燃費」のうたい文句の薪ストーブもございまして。
すっごく、魅力的な薪ストーブではあります。私は、ここに至る「方向性」「考え方」そのものは決して否定するものではありません。一つの勉強として、開発ストーリーもよかったらどうぞ。
とても真っ当な努力を重ねて開発なさったのは間違いなく、良さそうに見えますが、問題は、じゃあ、例えば、この薪ストーブを「薪ストーブで暮らすためには、とにかく省燃費が大事」と、事あるごとに言い続ける私が、弊社として扱うか?というと、まず扱うつもりはないです。
なぜかというと「重要なこと」が見えない気がするから。たぶんですが、本体重量としても相当、重いと思うのです。「火が落ちた状態」から本体を温めて炉内温度が乾留ガスの発火点以上になる、乾留燃焼方式が可能な状態まで持っていこうとすれば、これは相当な「焚き付け」の量、それに、相当な手間と時間がかかると推察しますので……
たまたまお見掛けした動画 https://t.co/VI8oHUttzo からの一コマ。動画自体はヨツールの薪ストーブを焚くまでの購入薪(たぶん)を棚に綺麗に積んで行く作業や、焚き付けを割る作業を丁寧に撮影されたものだけど、注視頂きたいのは後ろの棚。通常「燃費」「薪の消費量」計上に含まれない焚き付けの量 pic.twitter.com/V2g8YnoTqZ
— 大屋@薪ストーブ事業 (@aiken_makiss) 2020年10月2日
薪ストーブで、実際に暮らされている方なら、わかるはず。「つけっぱなし」なら良いんですよ。でも「燠火も含めて火が落ちた状態」から、実際に使える状態まで立ち上げようとする場合に必要な「焚き付け」の確保、これが、どれほど手間か。
この「焚き付け」の確保の手間を減らそうとするならば、1回あたりの燃焼時間を長時間確保する必要があります。その目的のために相当量の「本燃焼の薪」を確保しないことには、実際には「暮らせない」ことになるので……
ざっくり言って、この方式で主暖房にしたいなら、薪の体積としてシーズンあたり8立米は確保必須であろうと、私は思います。しかも仮に丸太だと燃焼効率悪いので、感覚ですが、たぶん、倍近く要るんじゃないかなって。
これは、膨大な原木の入手ルート、それから運搬のパワフルさ、そして広大な保管場所、この三条件が揃わないことには、暮らせないと思うのです。もしも、この三条件のどれかが欠けるとすれば、今度は膨大な量の「焚き付け」を準備し、手間と時間をかける話になります。
ですので、暮らしのために本当に必要な情報は『「焚き付け」も含めて一回当たり、どのくらいの薪を使うか??』に尽きると思うのです。もちろん、ケースバイケースですから、その「使用状況」も含めた情報として。
楽しく暮らせる薪ストーブの選び方;ポイント5つ ④一回当たりの薪使用量は少ないか
薪ストーブで暮らす、その目的のために薪ストーブを選ぶなら、薪ストーブの価値を性能から読み取るためには、現在のところ、ひと工夫が必要です。すなわち『「焚き付け」も含めて一回当たり、どのくらいの薪を使いますか?』と聞いてみてください。
信頼できる人なら「一回火をつけたら、〇〇時間使うんだよね……それで、△△キロくらいかなぁ」みたいに、情報としてついてくる。それで消費量、必要量としてわかります。
当ブログは、調理、すなわち薪ストーブで暮らしてみてね?とお誘いするためのブログなので 、この動画にしても、なかなか「捨て身」です(笑)多くを語らないですが、たとえばどのくらい忙しいですか?とかも、実際に数値化して読み取ることだってできます。そういう「観測データ」として示したつもりです。
これを逆に言えば『贅沢には、贅沢の価値というものがちゃんとある。』ということです。だって普通に考えてください。どっしりした重たーい車があって、それを一定のスピードにまで加速させるのは燃料も食うし大変ですが、ひとたびスピードに乗せてさえしまえば、その速度を維持するのはむっちゃラクです。乗り心地も良いでしょう。
でも、そんな、どっしりした重たーい車を、たとえば新聞配達に使おうとか、そういう人もいないですよね?新聞配達のような、ストップ&ゴーの繰り返し、小回り効かす、みたいな生活での実用的な場面では、贅沢の価値は活きない、それだけの話です。
薪ストーブでの「贅沢」つまり、焚き付けないし立ち上げの手間なり、あるいは本燃焼のための大量の薪なり、そういったものを準備できればこそ、得られる価値というものが、間違いなくあります。考えるべきは、その価値が、暮らしの中でどれだけ活きるか、必要か。
そして得られる価値に対して、主に、薪の準備に尽きるのですが(もう少し言えば、メンテナンスとか維持管理もですが)、その手間が見合っているかどうか??本体を中心とする薪ストーブの検討段階において、その判断が、それなりに正確につくのであれば、実際には何の問題もないのです。
しかし現在のところ、 メーカーなどの訴える薪ストーブの性能(うたい文句)から、薪ストーブを使ったことのない方が(正直、使ったことがある方であっても)、その薪ストーブの価値を正確に読み取るのは極めて困難だと思います。
ですので、結局は「薪ストーブで暮らす」ための模索は、冒頭写真のような状態にありまして……ぶっちゃけ、優秀といいますか、正直な道案内ガイドさん、良いも悪いも、できるだけ隠すことなく示してくれる、そういう人の助力を得るのが良いですね、と。
蛇足ですが、「私」も、ちゃんと疑わないとダメですよ??(笑)だって私も「暮らしやすい」って、具体的に、どういうことかを考えに考えて発信してますが、そもそも上述の三条件(膨大な原木の入手ルート、それから運搬のパワフルさ、そして広大な保管場所)が揃うならば、私のいう「暮らしやすい」とは全く別の状況が「暮らしやすい」になると思いますし……
あと「本当にそうなの?」という問題についても、情報の意味するところと、情報発信源の信頼性と、両方を検証しないといけません。何ごとも。
上記の「捨て身の動画」(笑)にしても答えである「1回あたり6.3キロ」は、運用効果に対する消費量として充分少ないであろうと、私は思ってますが、それが本当に少ないのか??は、やはり、他の薪ストーブとの比較も必要だろうと思いますし……
そもそも上記動画は、実は「特別な運用」で、実際に薪ストーブで暮らしているという、私の普段は違うのかもしれない!!(笑)……というわけで、一応、補足も示しておきます。
2020年1月の、焚き付けも含めて、家の中に持ち込まれた薪の重量は、全て、このように記録されています。1月(正確には、1月中に持ち込んだ薪をちょうど使い切った2月2日の朝まで)の稼働日数は26日間、使用量は241.1キロ(比重0.6と仮定すると約0.4立米)でした。
241.1キロ ÷ 26日 ≒ 9.3キロ/日
まあ、そんなものでしょう。朝晩2回焚いて、1回あたり、多くて5キロくらい。それくらいの運用で実際に暮らしております。私が居ないときは、エアコンとか、ガスファンですけど、居るときは、基本的に薪ストーブだけです。
残念ながら『贅沢には、贅沢の価値というものがちゃんとある。』というわけには参りませんが『1シーズンでの薪の消費量が3立米を切るような慎ましい暮らしには、準備のラクさと、それでも薪ストーブのある暮らしの幸せは、ちゃんとある』ということは、自信を持って申し上げる次第です!!暮らしの幸せの随時レポートはこちら。↓
twitter.com そんな私、本当は、今回の記事の冒頭写真も、こんなのにしようかと思ったのですよ??
頭の禿げ具合とか、私に似てるでしょう??(笑)だから「難しい問題に対して悩んでいる情景」を示すには、丁度いいやと思ったのですが、ちょっと捨て身過ぎるかと思って、やめました。冗談は抜きにして、ちゃんと読んで欲しい内容だったし。
そういうわけで、今や、何ごとも「情報リテラシー」の時代でございます。多く申すまい、新型肺炎ウィルスのことにしてもそう。ぜひ、信頼できる情報と、その妥当な解釈に向けて、鍛錬を積んでいただけましたらと(お前が言うな、という感じですが(笑))。
でも、とりあえず信頼できる情報の発信源さえ掴んだら、あとは、比較的容易に、欲しい成果は手に入るかなと。そういう意味では、厳しくも、良い時代にはなったとは思います。正しい情報と行動で、お風邪や肺炎ウィルスなどにも罹りませんよう、どうかお気をつけて。それでは、また!!