モキ製作所の薪ストーブ「MD80Ⅱ」が、実際の生活シーンで一番魅力的なところは、パッと立ち上がって、小さく燃やすことができることだと、私は思います。
そんなに寒くない休みの日でした。小さくて、ちょっと酸味のあるリンゴ、ジャムにしたら美味しそうだな……というところから始まる薪ストーブのお話。ガスコンロで作っても、もちろん良いのですが、優しい味に仕上げるジャムは、やっぱり優しい火当たりがよく似合います。
「薪ストーブ、つけよっか?……寒いってほどでも…ないけどさ?(笑)」
「いや、寒い、寒い~~お湯だって、沸かしてくれてあると助かるし(笑)」
事実上、ジャムを作るためだけに火が入った薪ストーブ。寒い朝も、それほど寒くない日中も、素早く、簡単に、ごくわずかな薪で立ち上がってくれるというのは、本当にありがたいです。
日中の薪ストーブは、明るい外の光が弱まる時だけ、美しい炎を見せてくれます(この炎は、MD80Ⅱでも、株式会社愛研オリジナル「iGブースター」(売価税抜き5万円のオプションです)ならではのものです)。
「気が向いたから」という程度の気軽さで、いつでも、こんな炎の美しさが楽しめるという贅沢と……
……美味しいものへの期待、ワクワクが、貴重な休みの日を、心豊かに彩ってくれます。
薪ストーブの天板で作るとき、ガスコンロと比べて圧倒的にありがたいのは「焦げにくいこと」。出来上がり具合、様子を見るために、時々は混ぜますが……
基本的に「放置」でも大丈夫です。シナモンシュガーがリンゴの重さの半分弱入って水分が出てきた鍋は、即席の煮込み料理に早変わり。
隣で同時に火にかけた、2.4リットルのお湯が、なかなか沸騰しないのを尻目に、ジャムはどんどん煮えていきます。ぐつぐつ、ぐつぐつ………
鍋を火にかけて、1時間ほど経ちました。
私の大好きな、お得意の「銅鍋」なら、もっと早く出来ていると思いますが、銅鍋の弱点は「酸」です。ジャムなので、リンゴに含まれるペクチンをトロみとして固めるために、レモンを入れています。万能の銅鍋も、酸だけはダメなので、薪ストーブ以前から何十年も使い続けているステンレスの多層クラッド「ビタクラフト」鍋が珍しく薪ストーブでも登場です(テフロンコートが健全ならアルミ鋳造鍋の方が早いのですが、我が家の使い込まれた鍋では、少し自信がなくて……(笑))。
もちろん、古典的なホウロウ鍋やセラミック系鍋も、このような酸を使うケースでは「本職」ですが、いかんせん、ガラス質の中味は鉄なので、熱伝導率的にステンレスに挟まれたアルミに比べるとやっぱり落ちます。ですから、こんな時は現代の万能鍋、ステンレスの多層クラッド鍋が便利ですね♪
光差し込むテーブルの上で、やわらかい輝きを放つリンゴジャムは、実が光に透き通って、見ているだけで、大きな満足感を与えてくれます。
2.4リットルのお湯は、結局沸騰するまでに至りませんでしたが(90℃程度だと思います)、たぶん、重いめに見積もって2キロ程度しか使っていません。立ち上げから、ジャムの出来上がりまでに要した薪の重さとして。
この気軽さの割に、得られる満足感がとても大きいことこそが、この薪ストーブ一番の価値だと私は思います。そして大切なことを伝えるのにも、言葉は、できれば、短い方がいいです、本当は(笑)
あなたの暮らしが、より豊かで、楽しいものになりますように―――
それでは、また。