超簡単薪ストーブ調理

当社で販売している薪ストーブで、どんな冬の暮らしが待っているかを紹介しているブログです。  興味を持って頂けましたらぜひお問い合わせ下さい

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MD80Ⅱ弊社オリジナルiGブースターモデルご提供終了の理由及び今後につきまして

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【冒頭追記2021年2月26日;当記事で言われている「MD80Ⅱ+iGブースター」に代わる「イチオシ」ですが、とうに完成&リリース済みで、皆さまからご好評を頂いております。従来機種にはなかった価値も備える、絶対の自信を持ってご提供できる、本当に優れた薪ストーブとなっております!当記事内でのご案内が相当遅くなったことをお詫びいたします。】

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 本日、薪ストーブのメーカーであるモキ製作所より、MD80Ⅱの後継機種であるMD80Ⅲの販売について代理店向けの公式リリースがありました。メーカーWebサイトなどにおける一般向けリリースは、まだ間に合っていないようですが、代理店として、弊社お客さまの皆さまにご案内申し上げます。

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株式会社モキ製作所 MDシリーズ改良バージョンアップ案内

 8月29日から31日にかけて幕張メッセで開催される「ジャパンDIYホームセンターショー」でお目見えの予定ですが、メーカーのショールームなどを訪問された方はすでに実機をご覧になってご存知のこととは思います。

 10月1日からの販売ということになっておりますが、生産はすでに全面的にMD80Ⅲに切り替わって注文受付も開始されており、本日の代理店向けリリースをもってMD80Ⅱは、在庫の限りをもっての販売終了が正式に告知されたこととなります。

 思い返せば、本当に贅沢で美しい薪ストーブでした、MD80Ⅱは。メーカーからの出荷状態において、これほどまでに贅沢で美しい薪ストーブは、もうどこにもないし、もう二度と現れないのではないかと思います。そのくらい優れたストーブでした。

 美しい、というのは「優れたデザイン」という言葉で言い換えても良いかと思います。MD80Ⅱが美しい薪ストーブだったという根拠は「造りの細部から全体に至るまでの構造すべてに、機能を発揮させるための合理的な理由が存在した」ということに尽きます。

 目に見えない、あるいはわかりにくい細部から、合理的な理由だけで徹底され、積み重なっていった結果が、全体的な外観デザインであり、使い勝手でした。

 すなわち、美しいからこそ、高機能であり、使いやすく、壊れにくくて長く使える……単なる趣味とかではなく、私たちの暮らしを日々支えてくれる製品というのは、そのような、いわゆる「機能美」に満ちたものこそ最良・最善であろうと考えます。

 もっとも、MD80Ⅱの中でも、途中から材質を分厚くしてみたり、ステンレスを一部に採用してみたり、あくまでも私に言わせればですが「不必要に贅沢な仕様」へのマイナーチェンジもありました。高級感を持たせた、ということではありますが……

 これはモキ製作所の販売政策によるものであり、本体重量が65キロから70キロに増えて「メタボ」になったし、値上げまでセットになってましたので私は賛成しなかったのですが、「耐久性向上」という、ユーザーさん側から見た具体的なメリットもちゃんと存在しました。

 そして何よりも、マイナーチェンジによって本質的な「機能美」が損なわれることはありませんでした。ですので、私は「これが最良・最善のものです」と売り続けることができました(ただし、マイナーチェンジには反対した挙句、ユーザーさん側の利益を最大限確保すべく色々ワガママをメーカーに言いまくり、困った代理店だったと思います(笑))。

 そのように、MD80Ⅱはとても美しい薪ストーブでしたが、機能面の一部に、現在の世の中のニーズを満たしきれない部分があったので、弊社では、そこにオリジナルの改良を施した「iGブースターモデル」を「イチオシ」として提供してきました。

 でも、その気になればいつでも、具体的には数分もあればメーカー出荷状態に戻せるというところが「iGブースターモデル」のウリでした。MD80Ⅱ本来の美しさを、ヘタな改造などで損ねたくなかったのです。それが、弊社におけるMD80Ⅱへの敬意であり、評価でした。

 私は、とても幸せでした。なぜなら、自分が心の底から「この世で最良、最善」と信じることができる製品を売っていましたから。

 そして薪ストーブ本体のみならず、設置設計から実際の施工まで、無駄な費用を削ぎ落しながら必要な品質を確実に提供することができるよう、合理的であることを突き詰めた「美しい仕事」が弊社の誇りでした。

 今、その「美しい仕事」の、まさに中心であったMD80Ⅱが販売終了となりました。そして今後は、モキ製作所の販売代理店としては、新たに後継機種として販売されるMD80Ⅲを提供していくことになるわけですが……

 残念ながら「私には」、MD80Ⅲが「美しい製品」であるとは思えません。MD80Ⅱが美しすぎたのかもしれませんが。

 もちろん「デザイン」の「好み」は人それぞれです。ここでいう「美しい」、「美しくない」というのは、あくまでも「私の」感覚です。これは本記事で最大の注意事項として強調しておきます。メーカーとしての考えもあることですので、この「愛研大屋の個人的感覚である」ということを大前提として話を続けます

 さて、後継機種とはいえ、新たにリリースされたMD80Ⅲを遠くから眺めたら「Ⅲ」と銘打つ割には、「Ⅱ」と何も変わっていないように見えるかと思います。具体的な変更は主に細部によるものですので。

 【ユーザーさんの便宜のために、説明追加しますと、MD80Ⅱからの変更点は多く、私が把握しているだけでも、扉の厚み重量も含めた変化(もちろん、受ける本体側形状も)、溶接固定からビス固定への変更(各所)、茂木プレートの溶接固定も廃止し旧IILAと同じ「ボックスタイプ」への変更……といったデザイン変更が挙げられます。】

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「ビスだらけ」になってしまった愛研大屋的に残念なMD80Ⅲの外観(塗装変更前)

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MD80Ⅲとの比較のために、使い倒されてボロボロになった我が家のMD80Ⅱ

 変更の中で最も重要なものは、空気導入系統の変更でした。具体的に言いますとメーカー発表にあります「空気調節口」という新機能追加です。

 詳しいことは、もしご興味があればお問い合わせを頂ければ説明もしますが、私は、この「空気調節口」の追加によって、MD80Ⅱまで守り通されてきた「美しさ」が損なわれてしまったと判断しています。MD80Ⅱの「美しさ」というのは「シンプルイズベスト」という機能美そのものですから。

 機能美というのは、そこに何かを付け足すと、他の部分に影響が出たりするものです。このたびのMDⅢへのモデルチェンジの内容を、有力代理店としての立場から事前に知ることとなった弊社は、具体的で詳細な反対理由をメーカーに伝え、そしてMD80Ⅱの販売継続をモキ製作所に最大限の強さで訴えましましたが「却下」となりました。

 なにしろ、モキ製作所、メーカーにはメーカーとしての考えがあります。その内容、ロジック自体については、私としても理解できなくもありません。

 ここではっきり申し上げておきたいのですが、モキ製作所は、決して代理店を大切にしないメーカーなどではありません。メーカーとしての考えに照らせば、ほとんど「わがまま」か「難くせ」に近いだろう、いち代理店である弊社要望に対し、可能な限りの歩み寄りの意向を示してくれました。弊社はいつも大切に扱われております。そのことについては、ここでも改めて御礼申し上げます。

 でも、私は、どうしてもMD80Ⅲを評価できないのです。結局は「考え方の相違」であろうと思うのですが……「デザイン」についての。何をもって「美しい」というのか、すなわち「美しさ」を製品の価値としてどのように定義付けるのか??

 思えば昔から(IILAという製品の頃から)平行線だったその「あるべき論」の部分で、メーカーとしてのモキ製作所の考え方と、販売代理店としての弊社の考え方の間にある溝が埋まらなかったのですが、それが表面化したということかなと感じています(メーカーの内部でも「人によって考え方の相違がある」のかなとも想像しますが)。

 機能的な話だけをすれば、私に言わせれば「美しくない」MD80Ⅲをベースに「iGブースター」のような機能をオプションとして付け足すことも技術的には不可能でもないと思います。ただ「MD80Ⅱ+iGブースター」に比べると、オプション込みのご提供価格として、おそらくですが少なくとも税別5万円以上は値上げをしなければならないと思われます(空気導入系統の変更は、それだけ影響が大きいのです)。

 これから先は「iGブースター」のようなオプション込みの製品として語りますが、「製品改良」の結果、値段が大きく上がって、そのぶんずっと優れた性能が発揮されるとか、ユーザーさんにメリットがあるなら良いのですが、今回、そういう見込みはありません。

 厳密には、今回新たに追加された「空気調整口」によって、これまでなかった性能が発揮される可能性も全くゼロということではないのですが、全体としてみればマイナス、新たな懸念事項も増えてしまうことが予想されるのです。

 実際に「iGブースター」的なオプションとして開発テストしてみないことには、何ともわからない領域ではありますが……おそらく、正しい予想です。

 少なくとも、私が大切にしてきた「美しさ」は、相当損なわれた状態での「これまでなかった性能」となりますので……やっぱり「方向性の変化」、私にとって、ユーザーの皆さまに提供したい価値としては「追加」ではなく「マイナス」の方向です。

 そのようなことですので、新製品として「値段が大きく上がるけど、特にお客さんにとってメリットありません」ということであれば、弊社の筋論として、それをお客様に「イチオシ」として提供するのは、全く筋が通らない話になります。

 以上のようなことから、弊社としてMD80Ⅲをベースに「iGブースター」のような機能を付与させた製品を販売するつもりは、今のところありません。

 色々言いましたが、平たく言いますと、売る側にどんな内情があったとしても、それはユーザーさんから見れば「関係ないこと」です。もし仕様が変わって(MD80Ⅱ+iGブースターモデルの後継機種としては)値段も上がるのに、その分、ユーザーさん側から見た「良いこと」「メリット」が、現行機種に比べて「何も」ないならば、それは単に「売る側の都合」による勝手な仕様変更に過ぎません。

 製品の値上げはするけど、ユーザーさんにとってのメリットは特に何もない……そういう場合も世の中にはありますが、その場合は、値上げに至った「売る側の都合」が、世の中の情勢等に照らしてよほど正当なものでなければならないと考えます。

 今回は単に供給側が勝手に「これがいいだろう」と判断したこと、供給側の事情に基づく「値上げ」ということに、結果的に、なります。少なくとも「弊社の」お客様は「誰も」そんなことを求めてなどいませんでした。

 逆に言えば、メーカーとしては、弊社以外の代理店のお客様の声を優先したのだろうということではあります。だから、私も、メーカーとしてのロジック自体が理解できないわけではありません。しかし「弊社としては」、お客様に説明がつきません。

 世間にあまたある薪ストーブ販売店としては、おそらく最後発くらいになるだろう、弊社の存在意義はただ一つ。この業界においても、商売の、以下の筋を貫き通すことです。

 

『性能もコストも、お客様の状況も何もかも含めて、専門家として熟考したときに、お客様にとってこれが最良・最善であると、自らが心から信じることができるもの「だけ」を売ること』

 

 ですので「MD80Ⅱ+iGブースター」という「最良・最善の製品」、「イチオシ」を失った今、まずは、それに代わるものを探すこと、あるいは、開発することに、少なくとも当面は最大限注力すべきであろうと考えております。

 もちろん弊社として「イチオシ」扱いではなくとも、お客様としてモキ製作所の製品、例えばメーカー出荷状態のMD80Ⅲが欲しいということであれば、モキ製作所の正規代理店として最大限の誠実さを伴って販売いたします(ノーマルとしての売価はMD80Ⅱと全く同じとなります)。そこは、MD80Ⅲに限らず、モキ製作所のどんな製品に対しても、これまで通り同じ、何も変わりません。

 そのようなことですので、まだ「これから」ではありますが、今後、弊社として「イチオシ」できる製品を、何か見出せることができましたら、もちろん皆様にガンガンご紹介していきたいと思いますので、今しばらくお待ち下さい。

 また、もちろん弊社の「イチオシ」探しの結果を見てからで構いませんが、もし「MD80Ⅱ+iGブースター」に比べて値上げしてでも良いので「MD80Ⅲをベースに「iGブースター」のような機能を付与させた製品が欲しい」という要望がありましたら、それはそれでユーザーさんの声として、ぜひ弊社まで寄せて頂きたいと存じます。

 なお、弊社として「MD80Ⅱ+iGブースター」に代わる「イチオシ」が見いだせなかった場合は「事業を継続させるために」、これまでの事業の流れに沿ってMD80Ⅲをベースに「iGブースター」のような機能を付与させた新製品を開発、販売するのか、あるいは「事業そのものを畳む」か、そのどちらか二択になろうかと思われます。

 ともかく弊社に限らず、現実は極めて厳しいものですので、生きていくために理想論ばかり言っておられない、というのは、間違いなくそうなのですが……

 

 一度きりの人生、できるだけ、真実に対して誠実に、美しくありたい。

 

 ……というのは、おそらく、万人の願いでなかろうかと思います。それを実直に体現しようとする弊社ですが、このたびは、代理店として力が及ばなかったばかりに、「MD80Ⅱ+iGブースター」の販売継続は不可能となり、皆さまにはご迷惑、ご心配をおかけしてしまいまして本当に申し訳ありません。

 しかし、商売なら商売としての筋論を大切にして、事業の存在意義を追求することは、最終的にはお客様の利益に資することにつながるのではないかと信じるところです。今後とも変わらず弊社をご愛顧下さいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。