季節外れの暑さが続きますが、いかがお過ごしでしょうか。今回は暑さを理由に薪ストーブから離れたように見せかけて、実は完全にそうでもないお話を。長いですが、最後まで読んで頂けましたら、きっとお役に立て……れば良いのですが!!(笑)
さて私、モノには、ものすごく、こだわりがありまして。「こだわり」と言っても、良いモノを末永く、共白髪で……というだけなのですが、何故かと言いますと、
善いモノには、それを造った人の「思い」が宿る
と信じるというか、どうしても、そう思わざるを得ないからです。これは、別に今に始まったことではなく、私は過去に、Web上にこんな文章を残しています……昔の方が、格調高くて、カッコよかったな、オレ……(ちょっとウソ笑)
思うに、愛されるモノ、語り継がれる仕事の本質は、所詮は、それに携わった人の思い入れである。その人が実際にどのような人であったのか、普通は知る由もない。しかし、そのモノや仕事が、その人の生き方を、息遣いを、私たちに伝えてくれるような気がする。
↑20世紀の終わり頃からWeb上に出された文章の山、今でも、一応残してありますが(たまに読まれることもあるようです)、【2020年9月末をもって、プロバイダーであったBEKKOAMEの都合によりサイトごと消滅いたしました】読みにくいのでお勧めはいたしません(笑)
そんな具合に、どんどん脱線していってしまうのが当ブログですが、私のモノへのこだわりを示すとすれば、たとえば私が今、乗っている車。2000年式のこれ。
本当に、良い車なのです。私は、この車でずっと生涯を終われたら良いなと真剣に考えております。覚えていらっしゃいますでしょうか、2012年の中央自動車道・笹子トンネル、天井が崩れ落ちてくる中から唯一脱出できた車がありました。
www.j-cast.com この車、インプレッサでも↑写真とは違い、正確には「GF-GC8」、当時ものすごく評判の高かった、いわゆる「初代インプレッサ」で……
私が愛してやまない「二代目」は、車体剛性、運動性能ともに、ものすごく高かった「初代」の評判をすごく意識して、当時のスバルの技術陣の「採算度外視してでも、とにかく良いモノを提供したい」という、「こういうものが、あるべき車だ!」という「プロとして作りたい車」への良心を全部叩き込んだような意欲作だったわけです。
私の愛車ですので、薪を運ばなきゃならないし、維持費も低くなくては困るので「エントリー向けワゴン」ですが、実はシャシーなど重要部分は上位機種と「共通」、こんなエントリークラスでは普通あり得ない、という贅沢な、手の込んだ造りをしております。特に見えないところで。
そして、本当に残念ながら、この満を持して送り出した「二代目」が売れなかったために、その後、スバルは迷走、そして、今の「ちゃんと儲かって、ちゃんと売れる車」を作るように変わっていってしまったたわけですが……
モノとしては『見えないところで「全く」手を抜いていない技術屋の良心』というところで、私にとっては、この「二代目インプレッサ」以上の車はなかったりするのです。買った時は知らなくて、ただ一目ぼれしただけでしたが、使えば使うほど、よく出来た車で、残念、ガッカリとか、ホントないですもの……
jidoushaguide.com わかる人にはわかる、という感じの、とても評価の高い「隠れた名車」です。私の人生でかけがえのない相棒です。今でも買いたい方いらっしゃったら、造りに対して、アホみたいなお安い値段ですのでお勧めです(いじられてないノーマルであれば、耐久性も、いちいちすごいです)。
で、家電修理の話をしようとしながら、車の話ばかりしている、薪ストーブのブログですが、前置きはこのへんにして、本題を。
そんな私ですから、CD聴くのに、昔買ったお気に入りのプレイヤーが、ずいぶん以前に壊れて聴けなくて困っていたのですが、今のCDプレイヤーとか、モノとして、どうしても欲しいと思えなくて、聴けないのを我慢して暮らしてきたわけです。
けど、この春から会社員辞めて独立して家にいるようになったのでCD聴けないのは、やっぱりどうにも困ったと。そこで、昔、とてもお気に入りだったCDプレイヤー、コンポなんですが、これを修理して復活できないかと。
CDプレイヤーの修理って、ピックアップをネットで購入して、さも自分でも格安で修理できるという情報がWeb上にたくさん転がっておりましたが、いや、やっぱり「餅屋」でしょう、と。いちいちこだわる気質に、業界の「中の人」属性まで加わってますから、自分が依頼したいと思える修理業者さんを、探しに探して、ようやく見つけたのがこちら。
結論から言いますと、依頼して、本当に良かったと言いますか……たとえば、技術力の高さに裏打ちされた情熱と良心は、このあたりのブログ記事とかを少しご覧頂ければわかるかなと。
とにかく、いちいち「プロ」なんです。しかも似非エリートとかではなく、実際の現場でも手を動かしてきたような強み。だから一見、比較的誰でもできるような「はんだ付け」一つとっても、こんな感じ。
どっかの薪ストーブ屋ではありませんが、私もこんな長文の山、いちいち読んで決めたわけではありません(笑)この業者さん、正確には「技術者グループ」なんですが、このブログ書いていらっしゃる(間違いないと思いますが)代表の方と、ちょっと(?)電話で直接お話をさせて頂く機会を頂けたのが、最後に決めた理由でして……
でも、そのお話が本当に「へぇ~~?!そうなんですか!!」と、勉強になり、納得するような話ばかりだったので、ぜひ、紹介したいなと。
私がお話から改めて理解した限りですが、世の中で販売されているモノ、製品って、次のような設計思想の要素のそれぞれについて、どこに重点を置くか(どこを突き詰めるか?)のバリエーションが、人(メーカー)によって千差万別に発揮されて、総合的に積み重なった「結果」なんです。
- 求める機能はどのような原理によって実現されるのか?
- 製品として実際に性能を発揮(具現化)させるためのポイントはどこにあるか?
- どこで手を抜いて部品に無理をさせたら製品価格を安くできるか?
- ある部品に無理をさせた場合、製品全体の寿命にどのように影響するか?
こんな長文に毎回お付き合い頂いている賢明な「あなたさま」なら、もうおわかりかと思いますが、今の世の中で売れている製品、つまり、安くて、高性能で……という製品が、どういう「割り切り」で作られているか……結論は「寿命」に出るわけです。
買った時の、スペック性能としては、素晴らしいんですけどね~~ありがちな話としては、修理もできないとか。そのあたり「Web上の時計ネタ」として、当時「事件」とまで言われた大昔の記事がこちら(書いた本人は「事件」と言われていたなんて、全然知りませんでした笑)
で、↑こんな過去の長文はどうでもよくて、大切なことについてですが、家電修理というのは、上記の設計思想も踏まえたうえで、製品が本来持っていた性能を、どこまで再現できるか?ということになり、次のような実務ポイント、ノウハウが本質的に重要になります。
- 本来持っていた性能のカギとなる部品の調達(現在、どうやって手に入れるか?どこにストックされているか?代替品はあるのか?)
- 調達してきた部品の品質の確認(部品には製造ロットごとに性能差もあれば、個体差、不良品も混ざる)
- 製品に部品を組み込んだ結果、製品として本当に性能が出ているかどうかの確認(品質保証の問題で、出ている性能が、製品本来の規格に対してギリギリなのか余裕なのか、つまり「どのくらい持つのか?」も含む)
文字にすると大したことないように思えるかもしれませんが、そもそも、それぞれの部品一つ一つについて、設計時にどんな技術要素が問題にされて、当時どのように取り組まれていて、製品全体としての性能や寿命においてどのくらい重要で、現在なら何が、どこまでのことができるか……??
要するに完全に「餅屋」の世界、しかも、設計から製造、出荷まで実際に手掛けていた人間でないと、「まともな修理」なんて出来ないわけです。その場だけ動けばいい、というなら話は全く別ですが。
北総テクニカルサービスさんは、本当に、そのあたりを知り尽くしているプロなので、逆に、「この製品は修理する(お金をかける)価値があるのか、ないのか??」というテーマから、相談されると良いと思います。その判断って、やっぱり設計思想から読み解く力がないと、無理ですから……
ちなみに、お値段も、こういう「餅屋」というか「本当のプロ」が仕事をするにしては、本当に良心的だと思います。具体的にいくらかを言うと差支えがあるかもしれないので言いませんが、「オーディオ 修理」で、検索第1位(本記事記載時点)で華々しく出てくるこちらのサイト
……に掲載されている料金に比べて、間違いなくお値打ちであろうことは、別業界ではありますが、業者として「中の人」でもある、わたくしが保証しておきます(笑)
といいますか、料金云々以前の問題で、本当に素晴らしいのですよ、北総テクニカルサービスさんの修理って。たとえば、これ、出してもいいのかな……こんな感じの「レポート」が、テーマごとにまとめられて添えられます。一般論でなく私の実機のものです。今回添えて頂いたレポートから、一枚だけ抜粋。
診断してわかったことと、対処と。ものすごい「安心」なんです。こういうことが延々書いてあるわけですが、これで、あの値段ですか……あり得ないレベルだと、私などは思っちゃいます。
そういうわけで、表題につながるわけですが……「前置き」はここまでで、ここからが「本題」です、すみません、私の読者さんなら慣れているかと思いますが(笑)ここから、私の本音レベルの意見。なぜ、この記事を書こうと思ったか。
これは、違っているかも(失礼になるかも)しれないのですが、北総テクニカルサービスさん、正確には技術者グループを取りまとめていらっしゃる代表の方には「忸怩たる思い」もあるんじゃないか?という気がするのです。なんとなく。
だって、これだけの技術を持って、これだけのことをやって、こんな良心的なお値段で……それで、世の中から「正当な評価」というか評判を得ているかというと、実際には、「ワタシ素人ですが自分でも修理できました」ブログや、もっと高くて低品質な修理業者のほうが、もてはやされるというのが、今の時代です。
そうなってしまっている原因なんて、簡単です。こういうこと。
私は、たまたま、修理しようとした機種が「CR185」という機種だったことから、北総テクニカルサービスさんに辿り着きましたが、もし、別の機種であれば、その機種でブログでも書いて頂いていなければ、絶対に無理でした。一般的なキーワードで検索しても全然当ヒットせず、私が依頼したいと思える業者さんは皆無で、ホント苦労しましたもの……
今の時代というか平成からの時代って、過渡期と言いますか、ヘンな時代でして、ユーザーの側からすれば、本当は生き残って欲しくない業者が生き残り、良心的なプロは廃業したり、生き残るために方向転換を余儀なくされる時代なわけです。
根本的な理由は、ユーザーの側が、仕事の本質が見えない、判断できないから。昔からそうだったかもしれませんが、宣伝力を強くして、うわべだけをキレイに繕った業者、そういうところから出される「手抜き製品」がよく売れるわけです。安いモノにはワケがある、という知恵とか、あったはずなんですけどね……(今でも、新築の家なんて、ホント、こわいと思います。ボソッ)
じゃあ、努力すればいいやん?宣伝で負けないように、という話は、もちろんあります。たとえば私、弊社だって、一応努力はしております。検索上位になれるように。北総テクニカルサービスさんのブログの中でも「ブログ書けって言われる」という話がポロポロ出てきます。
……でも……できるならば「そんなこと」よりも、仕事そのもの、目の前のお客さんに喜んで頂くことに注力したいわけです。宣伝で負けないようにする努力って、別に、それ自体は「仕事」としては何も生みませんもの。一方で、人生の時間は短いので。
北総テクニカルサービスの代表の方も、ブログとか書いているよりも、プロとしての知識経験をもとに、さらには「技術者グループ」としての職能を活かして、「仕事」として世の中に価値を届けようと、そっちのほうばかり、熱心にやっているんだなということが、お話からよくよくわかったと申しますか……
薪ストーブのブログですから少し「そっち」の話もしますと、例えば、一見なんの変哲もない「壁出し煙突施工」ですが、やっぱり、知識経験をもとに、山のようなことを考えているわけです。
「この現場」なら、誰につけてもらうのが一番良いのか(全国展開で仕事する弊社の場合、基本的にその現場付きの大工さんです)、その人の技量経験は、設置プランに対して充分なのか、施工を成功させる(つまり長期間安心して使っていただけるための)ポイントになるのはどこか……
一見、なんの変哲もない壁出しの位置や「仕様」、すなわち躯体構造や防火確保のみならず、雨漏り防止、断熱……考えに考えて、その現場を一番知る大工さんの知恵も借り議論して、最後は現場現物で判断していきます(写真例では、筋交い構造、外壁の造り、柱、断熱……結構難しかったです。図面も何もないし。気密だけは特別な配慮外で助かりました)。
そういうことを「施工事例」として、マメにWeb公開とかしていけば良いのですが、なんというか……現場(事例)ごとに考え尽くすのは「プロならば、言わなくても当然」というか、「考えているんですよ」とWeb上でアピールするよりは、考え尽くし、着実に実行することに注力したいと申しますか……
なんか、私のほうが若輩者であろうし、プロとしての経歴も私のほうが見劣りすることは間違いなかろうと思うのですが、自分と「同じ匂い」を感じたのですよ、北総テクニカルサービスさん。
今は「過渡期」と申しましたが、ネットの時代って、やはり良い時代、少なくとも可能性はあると思うのです。多くの良心的な業者さん、プロが、すでに撤退していってしまった一方、知恵があれば細々とでも、個人としての情報発信などを頼りにでも、事業として継続することもできなくもない。
ただ、とにかく「本物がなかなか評価されず、見栄えが良くて検索上位に来る限り、中味スカスカの人やモノ、仕事のほうが、むしろ評価されやすい(結果、見栄え良くすること、ほとんどそれだけに注力できますから……)」という厳しい時代ですから、どうか、負けずに善い仕事を、世の中に提供し続けて下さいね?と。
……とか偉そうに言いますが、弊社自体が、他社さんのことなんて心配している場合ではないというピンチでございますので、はい、頑張ります!!
そうそう、大事なことを告知し忘れておりました。メーカーの生産終了に伴いまして、先に注文受付を締め切りました薪ストーブの傑作「MD80Ⅱ+iGブースターモデル」ですが、メーカーに出されていたMD80Ⅱの注文が、後継であるMD80Ⅲに相当数切り替わったりしたとかで……
昨日現在、10台は切っておりますが、まだ一定数、MD80Ⅱのメーカー在庫があるということです。よって、最終ロットの注文を現在、再開しております。もしご検討中の方がいらっしゃいましたらご連絡下さいませ。
それでは、最後までお付き合いくださいまして、大変ありがとうございました。この多忙&情報過多の時代に7000字に迫るこんなブログ記事にも音を上げることなく読み切れる「あなたさま」こそ、この過渡期に世の中をより良いものにしていく力を持っていらっしゃると存じますので、どうかお身体を大切になさって、ご活躍下さいませ。
暑いと思えば、どうせすぐに寒い寒いという話になります、そういう気候ですから。お身体にはくれぐれも気を付けて、お元気で。それでは、また。