前回、我が家では今、成り行きで超贅沢なサクラ薪を主に燃やしており、せっかくのサクラ薪なので、それが燻っているのを利用して、薪ストーブの炉内で燻製を作ろうと思い立った話をしました。
しかし、ダンパー付きならともかく、基本的に薪ストーブの炉内は、煙が速やかに煙突に抜けてしまうので、なかなか燻製らしい色にはなりませんでした。そこで、出てきたのが超耐熱セラミックスの鍋。そこに燻製を仕掛けて、天板の上に載せておくだけで、素晴らしい燻製の出来上がり♪
冒頭写真、その簡単さと美味しさに味をしめて、サバとシシャモの燻製に挑戦しているところです。作り方(手順)そのものは、とっても簡単です。
- 鍋にアルミホイルを敷いて
- 燻らせたいチップをパラパラ置く
- チップから浮かせる形で網等をセットし燻製にしたい食材を置く
- 鍋をガスコンロにセットし、煙が出始めるまで強火で「予熱」する
- 薪ストーブを「穏やかな火力」に調整し予熱した鍋を薪ストーブの天板に置く
- 好みの色合いになるまで「穏やかな火力」を保つ
できあがりは、こんな感じです。ノルウェー産のとってもよく脂の乗った塩サバ。お酒がホント美味しくて泣けました。
では、皆さんも、やってみてください。今日のブログはこれで終わり
……だと、460字くらいで簡潔で良いのですが(笑)、絶対に、そうはいかない、うんちく、注意点、ナゼ?がいっぱいの当ブログ、ここからが本番です!!やたら細かく番号に区切ってあるのは、それぞれに「色々考えること」があるからです。以下、呆れずに、どうか最後までお付き合い下さい!!
まず、1.の時点から、考えること満載です。考えることは1.だけで2つあります。まず「どんな鍋が良いか」。超簡単的には「何でも良い」となるのですが、ここは、調理のナゼを知り美味しさを追及する当ブログとしましては、答えは以下の2択のいずれかが推奨です。
- 耐熱セラミック製の鍋
- 鋳鉄製の鍋
ナゼ、この2択のいずれかなのかと言いますと……
鍋は、材質によって大きな差があるが、加熱すると、鍋の表面から遠赤外線が出る
遠赤外線による加熱が、理想的な加熱原理であり、鍋の材質によって、その遠赤外線の発生強度が大きく異なるのが、この2択の理由です。材質がセラミックか、鋳鉄だと、熱エネルギーが遠赤外線に効率よく変換されて、中の燻製食材を、とっても美味しく加熱してくれます。詳しくはこちら。理屈に満ち満ちた当ブログでも指折りの「理論解説記事」(笑)
ほとんどの人が目を回してしまうと思いますが、もしよろしければご一読ください(笑)
で、考えることは、まだまだ山ほどありますので、次いきます。次。1.のもう一つ、何のためにアルミホイルを敷くのか。これは、やっぱり後片付けを簡単にしたいという動機が大きいですが、実は、もう一つ、燻製食材から発生する水分に対処するという意味があります。
冒頭写真では、試しに、横着してやっていません(アルミホイルを、ただ拡げただけです)が、本当は、アルミホイルの形状は「タマネギ型」というか「火山型」に包みあげて、頂点だけから煙を上げる形にした方が、たぶん良さそうです。
実際にやってみると、意外と、水滴がしたたり落ちるのですよ。アルミをただ拡げただけだと、チップが落ちてくる水分で浸水してしまい、煙が効率的に発生しなくなります。そこをアルミホイルを「タマネギ型」や「火山型」にして「煙発生器」にしてあげると、チップが落ちてくる水分から逃れることができるというわけです。
で、続いて2.の注意点。この燻製のためのチップには、せっかくなので、チェーンソーで原木をカットしたチップを活用したいところですが、生木よりも乾いているチップ方がやはり煙の発生が良いのと、あと、チェーンソーには、チェーンの焼き付き防止のために油を常に差す機構が備わっています。
「ソーオイル」というのですが、理論上、微量ですが、それがチェーンソーでの切断で出た薪にもチップにも付着していることになります。健康に影響が出るとか、そういうレベルであるとは考えられず、しかも多くの場合、生分解性のオイルを使うかと思いますが、ソーオイルが燻製材料としては「異物」であることには違いありません。
よって、チップの「質」をどこまで気にするか、という問題ではありますが、燻製のためのチップは、市販のものを購入した方が無難かなとも思います。種類も、色々楽しめますので……一方、チップの「量」は、逆に、それほど重要な問題ではないと感じました。
3.については、燻製対象物を置くのは網でも良いし、煙が通れば何でも良いと思います。チーズだと網の上だと溶けてくっついてしまうので、網の上にアルミを小さく置くのもオススメです。冒頭写真は、魚をそのまま載せています。
4.は、ちょっと大切です。なぜなら、鉄製の鍋、セラミック製の鍋は、本来、薪ストーブの炉内には良いけど、天板には「不向き」だからです。熱伝導率が低すぎるというのが理由です。
よって、燻製チップから煙が出始めるまでは、それまで薪ストーブの火力をガンガンに上げても良いですが、ここは素直にガスコンロの強火を使った方が、簡単便利だと思います。煙が出始めれば、あとはじっくり、穏やかな火力にしたいということもありますし……
ちなみに、燻製そのものは、低い温度でも長時間加熱するということで、食材に火を通すことと、水分を飛ばして保存性を持たせるという調理法なので、最初からじりじり「穏やかな火力」でも良いのですが……色がつくまでやたら時間がかかるのと、煙になる以前の「生成分」が大量に揮発するためでしょう、私は目が痛くなりました(家族の中で何故か私だけでしたが)。やっぱり、煙が出る状態まではさっさと加熱した方が良いと思います(笑)
長くなりますが、どんどん行きます。5.ですが、ここが薪ストーブの本当の魅力、「時間の価値」!!やっぱり、穏やかな暖かさを楽しみながら、美味しい燻製が出来上がるのを、ただ気楽に待つ、っていうシチュエーションが最高じゃないですか!!薪ストーブがあって良かったなって。「時間の価値」についてはこちら。
しかも、燠火による炉内料理と比べて、天板料理が良いと思うのは、とにかく気楽なんですよ。燠火料理は、やっぱり色々と「気を遣うし、難しい」。一方、薪ストーブ天板を利用した燻製は、お湯が穏やかに沸かせる程度の「穏やかな火力」に保っておくことができる限り、天板の上の鍋から発生しているはずの煙も、実際には、ほとんど感じることなく、のんびり、ゆったりと、ストレスなく、待ち時間を楽しむことができます。
この写真では鍋を二つ使っていますが、待ち時間の間にも次々と作って行けば、出来上がりの早い食材から順次いただけて、待っている間のお酒だって、とっても美味しいです~~!!
そうして「本命」が出来上がる頃には、ネコもすっかり幸せです~~~!!(笑)
そういうわけで、ずいぶん長くなりましたが、最後の6.です。モキ製作所の薪ストーブの場合、ノーマルだと、鍋を二つ載せた写真のように火力を「穏やかに保つ」には、相当程度の「腕前」というか「ノウハウ」が要ります。その点、弊社オリジナルの「iGブースター」装着機だと、非常に簡単になりますので、モキ製作所の薪ストーブで燻製を楽しまれるなら「iGブースター」が絶対にお勧めです♪
今回も長い長い記事にお付き合い下さいまして、誠にありがとうございました。久しぶりに、調理そのものをテーマにした記事を書きましたが、いかがでしたでしょうか?ここしばらく深刻な(?)テーマが続きましたので、書いてて楽しかったです。
ともあれ、何かと忙しい年度末、私も、従前の環境調査業務にまた追われまくって、この記事も「残業時間帯」に書くことになってしまいました。でも、楽しみがあるのは本当に良いことです。薪ストーブの目的は、暮らしを楽しくすることにありますので、導入したら、ぜひぜひ、目一杯楽しんで下さいね♪
そういうわけで、私も仕事はしんどいですが、次回もお楽しみ記事を。それでは次回も乞うご期待~~~♪