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超簡単薪ストーブ調理

当社で販売している薪ストーブで、どんな冬の暮らしが待っているかを紹介しているブログです。  興味を持って頂けましたらぜひお問い合わせ下さい

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煮込み料理をこの上なく美味しく作ろうよ①

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 当ブログ、闘いのような朝での、頼もしい相棒である薪ストーブという側面を、けっこうクローズアップしがちですが、やっぱり、ゆったりとした時間を過ごせるときこそ「薪ストーブの価値」があるのかな、とは、私も思っておりまして、今日はその話。

 ゆったりとした時間の薪ストーブ調理といえば、焼き芋を焼いたりする燠火もいいですが、例えば日中でも良いのですが、炎を穏やかに長時間焚き続けているときに、やっぱり素敵なのは煮込み料理。

 カレーやシチューに代表される、いわゆる煮込み料理は、薪ストーブでは本当に得意とするメニューと言ってもいいでしょう。

 とにかく、やわらかく、まろやかなのです。

 ……美味しい煮込み料理って、この「やわらかさ」、「まろやかさ」が、絶対条件だと思うのですよ。薪ストーブというのは、ここで、本当に素晴らしい性能を発揮する調理道具なのです。理由もちゃんとわかっています。

 「火当たりの、均一さ」

 これ、どういうことかと言いますと……逆に、火当たりが均一でないという状態を、先にイメージするとわかりやすいのではないかと思うのです。

 当ブログ、長くなりがちで申し訳ないのですが、大切なことなので、順を追って説明しますね?ガスコンロの炎を鍋底に直接当てる「普通の加熱」を考えてみましょう。

 まず、ガスコンロの炎の温度って何℃だと思いますか??……ネットでググってみてください。250℃から1700℃まで諸説あります(笑)

 私、もともとは化学実験屋(工学部化学科出身)なので、日常的にガラス細工をしてたんです。で、感覚ですが、実験器具とかに使われる、いわゆる耐熱ガラスって600℃くらいで変形が可能になってくるんですよ。自然吸気のガスバーナーってせいぜいそんなもの。

 ですので、普通のガスコンロで達成できる「実用温度」って、せいぜいそんなものかな?と思うんですね。長時間加熱でやっと変形可能。耐熱ガラスじゃない「ソーダガラス」だったり、耐熱ガラスでも、ごく小さなものなら、一応溶かすこともできますが。

 ともかく、対象を600℃程度に加熱できる炎が鍋の底に直接当たるわけじゃないですか。でも、実際に煮込み料理で欲しいのは、お湯が沸く100℃が保てればいいのですよね。そんな600℃とか「高い温度」は本質的には要らないのです。

 で、炎を鍋の底に直接当てていると、何が起こるかといいますと……基本的には、炎の当たる部分だけ、熱が「鋭く」内部に伝わるわけです。水がしっかり介在していればいいけど、食材が鍋の材質に接したままだと「焦げる」。だって、炎の温度は600℃もあるわけですから。

 炎(600℃)→鍋底(せいぜい数ミリ厚さの金属)→食材

 どうですか?熱そうでしょ??「直接的に接している部分」が焦げるのは、ある意味、当然なわけです。焦げるには260℃もあれば充分なので。

 煮物の食材が焦げたら……「やわらかさ」も何もないですわね?しかも焦げるのは困ったことに「食材の表面」だけで、中味はまだ芯まで火が通っていなかったりするわけですから。香ばしいほど加熱されているように見えても、芯や、焦げている反対側は固い。片煮えっていうやつです。

 だから、水が少ないままでも全体が均一に柔らかいような「混然状態」って、それこそ「まろやか」の本質なんですけど、それはなおさら水が少ないですから、ガスコンロだと一生懸命混ぜないと、熱が分散されないので、すぐに焦げちゃって……

 そもそも、かき混ぜたとしても、食材の表面だけに、強い熱が当たるというのは、表面だけ固くなっちゃうというか、表面だけ先に締まっちゃって、味も染み込むことができなくて……

 食材の表面を固くすることなく、中まで柔らかく火が通って、そうしてやっと味が芯まで染み込んでいけるのです。そのためには、穏やかな熱を、安定して食材に供給できなければならない。炎が直接だと熱が鋭すぎて、そうかといって熱湯に浮かべたら熱が全然足りない

 だから、美味しい煮込み料理って、実は意外と難しくって、そのことは人類史上ずっと昔から認識されていました。だからこそ、炎の熱が、あっという間に均一になるよう全体に分散されていく「銅」でできた、高価な「アカナベ」が、最高の調理器具であるとされてきたのです。昔から。

 すなわち600℃の炎の熱も、鍋が、熱を非常に伝えやすい(熱伝導率が高い、と表現します)銅や銀(あり得ないですけど)で作られていれば、鍋のボディーを伝うように熱があっという間に拡がって、すみやかに鍋全体に分散されていくために

 炎(600℃)→銅の鍋底から鍋全体に熱が均一に分散→食材

  これで、鍋底に直接接している食材でも、焦げることはなくなってきます。全体に均一な熱を与えることが可能になります。

 具体的に、鍋の材質について、ざっくりとした数字で比較しますと、銅の熱伝導率「390」に対して、アルミは「240」、鉄は「80」、ステンレスに至っては(モノによりますが)「20」しかありません。当然ステンレスが「炎が当たっている部分だけに熱が集中したまま分散しないため、いちばん焦げやすい」ことになります。

 だから、科学工業技術が進んだ現在、ステンレスにアルミをサンドイッチした「多層構造鍋」とか、色々な工夫による製品が生み出されているわけです。ステンレスを使わずに、アルミだけでできた鍋でも、その分厚さとか、鍛造方法とかで、熱伝導率、熱が均一に伝わることを競っているです。今なお。

 ちなみに、私はステンレスの多層構造鍋「ビタクラフト」を長年使ってきたのですが(ピンときた方、いらっしゃるでしょうか?故 丸元淑生さんです。私の原典)、銅の鍋で初めてそれでカレー作ったときに、本当にびっくりしました。焦げない。味も別物。最近は銅の鍋は本当に安いですから(怪しい中古屋さんだと500円しないとか)、熱伝導率の「威力」を知りたい方は、ぜひ一度お試しあれ。

  …………写真のシチュー、すごく美味しそうでしょ?

 お客さんが晩ごはん用に作っているものを撮影させていただきました。理屈はもう、いいじゃん?!美味しいご飯食べようよ?って、言いたくなりますよね?!?!

 ……私も、そう思います(笑)

 私が、言いたかったのは、要は「美味しい煮込み料理が食べたい」というのは、人類の長年の夢、長年の課題であると。ところが、写真のシチューは、お客さんとしては、ごくごく日常として作っていたものですが、まさに「人類の長年の夢そのもの」、この上なく美味しい煮込み料理であるということです!!

 この写真、鍋自体も、ガスコンロでも非常に優秀な性能を発揮する製品なのですが、「この上なく美味しい」を可能にしているのは、間違いなく薪ストーブなんですよ。薪ストーブのおかげで「最高に均一な熱」が、全体を包み込むように、やわらかく、シチュー全体に伝わっているんです。だから、すごくやさしく、まろやかな味に仕上がっています。

 しっとりと、ねっとりと、ほろほろと……舌の上でとろける食材。煮込み料理。

 ……もうそれだけで、薪ストーブを置く価値ありあり!!!暖房なんていらない!……サンマの時も、焼き芋の時も、干物のときも言ってましたね、私(笑)

 すっかり長文になりました。しかも、やたら理屈の多い……ええ、すみません、私、なんといっても、某国立大学工学部化学科(正確には「分子素材工学科」)出身、パリッパリの理系、もとは実験室に朝から晩まで張り付いていた化学実験屋ですから!!(開き直り)

 というわけで「薪ストーブを科学する」……あかん、絶対ダメ。それは「ここでは」やりませんので、当ブログ、どうか見捨てないでください(笑)でも、途中で放り投げるわけにもいかないので、次回は、この続き「どうして薪ストーブの天板は火当たりが均一なのか」薪ストーブの価値を解説します。

  乞うご期待♪