三連休がありましたが、いかがお過ごしになられましたでしょうか?
私は、実はスキーが大好きでして……いや、別に上級者向け急斜面とかこぶ斜面とか、そんなのでは全然なくて、暖斜面を、踵が自由になるスキーでバランスを取りながらヒラヒラと滑るのが趣味なのですが(「テレマークスキー」って、もしかしてご存知でしょうか)、これがなかなか面白くて身体に感覚を覚えさせておくのに定期的に行くようにしているのです。
ところが今年はまだ一度も行けておらず、この連休の間、必ず行くぞ!と12日に狙いを定めて準備万端に整えましたが、どちらかといえば北陸寄りの白鳥高原スキー場、またしても北陸ピンチな超冬型の気圧配置、パウダースノーはとても魅力的でしたが、なんだかんやで1日1万円以上の出費をしながら冷たい風雪に耐えて極寒ツアーを敢行するほど若くなくなったと言いますか……(笑)
仕方なく、まるっと空いた日中を、大切な銅鍋をユーザーさん宅にお嫁入のために発送する梱包と、あとはかねてから先延ばしにしてきた懸案だった、庭の森の剪定作業に充てました。我が家の庭の森についてはこちらの記事に書きました。私が薪ストーブ生活を始めた理由です。
aiken-makiss.hatenablog.com 剪定って、人間にとっての散髪とかとは全然違って、樹木にとってみれば、人間でいえば腕や脚のような、身体の一部を容赦なく切り取られることです。木が大好きな私、できればやりたくない。それで剪定はこれまで最小限にしてきましたが、地域社会を踏まえた「共存」を考えれば、思い切ってバッサバサ切らざるをを得ません。
と言いますのも、我が家の庭の森では、電線との近接が課題でして、実際は大丈夫なのですが(木が倒れて電線が切れたりするようなヤワな根張りではない)、枝葉が電線に接触しているのを放置しておくのは、電線が我が家だけではなく広域的なインフラであることを考えると「自分さえ良ければ」と公言しているのと同じになっていまいます。そこで、この課題に対して考えに考えて……
樹形を変えて、電線に当たらないようにバッサバサ切りました。一本一本を考えに考えながらですが夏の暑さから我が家を守ってくれている木にとっては「とんだ迷惑」、けれども、せめて、頂いた「命の一部」は決して無駄にしません。こんな立派な枝がゴロゴロ採れましたので……
これからよく干して、来シーズンの焚き付けや薪として有効活用します。「やりたくない」からと先延ばしにして、スキーに行けないので「しぶしぶ」やったのですが、有効活用できるというのは、非常に心を軽くしてくれるものです。私だけでしょうか??そういうのって(笑)
いずれにせよ、人生、生きている限り、こんなふうに「課題」が次々とやってきて、その解決を探る中では必ずというほど「新たな発見」があり、またその解決の仕方として、何を、どこまで、どんな理由で「大切にするか」に、その人ならではの「こだわり」があるわけです。
で、前置きばかりで恐縮ですが、人の何倍も「こだわり」がある私、お世話になっている木の一部を切り取らなければならない「課題」に、なんだか疲れ果ててしまって、薪ストーブ調理をするでもなく、薪ストーブを、でも、この寒さですから、焚き方だけは調子良く、炎を上げさせていたのですが……
「パエリア、仕込んだんだけど……薪ストーブでやってみる?」
薪ストーブの前で放心している私を見かねたのか、妻が水を向けてくれました。パエリア、調べて頂くとわかりますが(どんな料理ブログ?(笑))、要するにニンニクオイルで具材を炒め、その具材味の油で生米も炒め(米も野菜扱いといえば良いでしょうか、お粥とかと違って一粒一粒サラダのごとく頂くのです)、そこにストック(要は出汁)を加えて5分沸騰させて15分弱火で水分を飛ばすとか……でも要するに、最終的には「ご飯を炊く」わけです。
普段の私なら、絶対に断ったと思います。だって私、ご飯を炊く、これだけは我が家の薪ストーブでやったことありません。炊けるのは知ってますが、ご飯を炊くことには、それこそものすごい「こだわり」がありまして……
某有名百貨店に請われて出店するような名料理店の孫として生まれた私ですが(だから子供の頃はすごく贅沢なものを全く贅沢とも知らずに食べていました)、料理とは無縁で生きてきて、大学で自転車で全国を野宿しながら回るようになったのをきっかけに、やたら料理にこだわるようになります。
ご飯を炊く、というのは、こだわりの原点、基本中の基本でした。ご存知かもしれませんが、アウトドアでご飯を炊くというのは、炎のノウハウのかたまりです。使いにくい道具や火加減で、失敗に失敗を重ね、それでも美味しいご飯を求め続けた私は、日常では道具好きも相まって、それをさらにエスカレートさせて……死んでも使わないのが電気炊飯器で、その代わりに試したのは
www.umic-all.com も試しましたし(実際にしばらく生活)、もちろん、当ブログ最頻出の鍋メーカーであるアサヒ軽金属といえばお馴染み
www.youtube.com も試しましたし(これも実際にしばらく生活)、他にもアルミの厚手鍋から二重蓋のある陶器の炊飯鍋から……で、結局、本当にいろいろ試して、総合的に判断して(味に至る原理や味そのものを最優先しながら、仕上がりの安定性、ハンドリング、吹きこぼれ対策とかを含めた美しさ、そのまま置いておける便利さなども含めて)、土鍋(しかも「キャセアース」という今はなきメーカーの超耐熱セラミック製のもの)に行き着いているわけですが……
ちなみに、炊飯における土鍋の優位性については、この記事がわかりやすいかも
rocketnews24.com ……もはや、何の話かわからなくなりつつありますが(笑)ともかく、ご飯を炊くと同じ「パエリア」を、薪ストーブの炉内ならまだしも(少量しか炊けませんからやらない)、「かまど型」でも何でもない我が家のMD80Ⅱの天板で作ろうなどと、そんな提案、普段なら「言語道断」と、一蹴するのですが……
さらにちなみに、モキ製作所として普及に力を入れている「かまど型」薪ストーブについては、弊社主力のMD80Ⅱでもプラス2万円で「かまど型」への変更が可能でして、他の代理店さんによる写真ですが、こんなのがありますので、羽釜炊きのご飯がよほどお好きなら、お勧めしておきます。
www.facebook.com まあともかく、普段なら「パエリアでしょ?ガスコンロで、ちゃんと火力調節して作って?」と断るのですが、せっかく良い炎が上がっているし、やりたくなかった剪定を心を鬼にしてやって、心も疲れていたので、気分転換的に「まあいいや、やってみるか」とやってみたわけです。薪ストーブでパエリア。
youtu.be やるからには、最善を尽くす。最初はヒノキとアカマツの薪で景気よく炎を上げさせ(冒頭写真です)強めに沸騰させたところで、あとは熾火……だと天板料理には届かないかもと思ったので、鍋の下に、火力調整のための網をはさみながら、広葉樹の薪で穏やかに燃やします。動画は「弱火」にしているつもりのところです。いつもの動画のクセで蓋を開けようと手を伸ばして「ご飯だった、いかんいかん」とやめてます。「赤子泣いてもフタ取るな」です(笑)
「弱火で15分」とかありましたが、蒸気の様子と、匂いから判断して、鍋の下に網を挟んでから20分弱、焦げた匂いとかはっきり感じませんでしたが、私の勘が「そろそろいいよ」と教えてくれたので、決然として(笑)薪ストーブから降ろして、さらに10分ほど蒸らしたでしょうか……いよいよ、フタを開けてみました。
すごく美味しそうです!ご飯をよそってみたら、適度にパラパラしていて本当に美味しそう♪
で、食べてみたら、水分はきれいに飛んでいて、「底の皮一枚」だけの香ばしいお焦げも適度にあって、本当に美味しいの、これが!!
パエリアは、これまでも、たとえばアサヒ軽金属の「オールパン」のような、ガスコンロの火の火当たりの不均一さを和らげるような、熱伝導率の良いアルミの厚手鍋で、何度となく作ってきました。けど、それまで食べたどのパエリアよりも、圧倒的に美味しい!!!
なんで、こんなに美味しく出来たんだろう?と、考えました。最高に均一な火当たりを約束してくれる薪ストーブの天板ですが、ここは妻のクリーンヒットだと思うのですが、「お焦げ」というイメージからか、あるいは単に量がちょうど良かったのかもしれませんが(笑)、我が家の薪ストーブ運用にしては珍しく、銅鍋でもアルミ鍋でもなく「鉄鍋」で仕込んでくれていました。こちらの記事で登場したものです。
aiken-makiss.hatenablog.com やっぱり、なんとなくわかるのです。この全体のジューシーさを残しながら、「底の皮一枚」だけが香ばしいほどに焦げた感じは、厚手のアルミ鍋では熱伝導が良すぎて(底が香ばしく焦げる前に全体が焦げすぎる)、「鉄鍋」でしか出し得ない。
さらにこの「鉄鍋」では、底面の局所的な焦げと同時に、重いガラス蓋が、全体の「蒸らし」については徹底的に実現してくれます。ガスコンロだと土鍋よりも熱伝導に優れた鉄でも底の焦げ付きがどうしても局所的になりますが、「鉄板+薪ストーブの天板」は、底面だけを「均一に」焦がすのに最強の組み合わせでもあります!!
私は、冬型の気圧配置のためにスキーに行けなかったことに端を発して偶然作ることになった、このパエリアの美味しさに感動して、改めて、この「鉄鍋」の取扱説明書というか、造ったメーカーの思いが書かれた紙を取り出してきて、眺めました。
……「蒸し機能」を強化して、万能鍋としてたくさんの人に愛されることを願って、こだわって丁寧に造ったんだろうなと。造りもハンドリングも良くて、頑丈で……今では絶対に売っていない、まず手に入らない製品。私は、こういう「思い入れのある製品」って大好きで、オークションでたまたま見つけて、手に入れたのですが……
やっぱり、発見だなと。課題に真剣に取り組む中では、必ず、発見がある。発見に伴って「こだわり」も見えてくる。それは、時には、こんなに「素敵なもの」を人生にもたらしてくれる。
私は、やっぱり恵まれているな、と思ったのです。「たかがパエリアひとつ」で人生を語る、超怪しい(笑)「調理ブログ」をお読み頂いている、とても心やさしい「あなた」も、きっと発見とこだわりに満ちた、恵まれた人生を送っているはず。
素敵なことだなと思うのです。他人から見たら、何をそんなに、いちいちエネルギーを費やして……と見える「要領の悪い」人生だって、一生懸命生きていれば「思わぬ素敵なもの」に出会うことができる。人にも、出来事にも。実際に災害などで苦労されている方の「一生懸命さ」は、ここで書いているような甘い話ではないでしょうけど、一生懸命であるならば、きっと、いつかは。
なかなか、人間弱いですから、辛いですけどね?そこで、薪ストーブは、思わぬ素敵なものをもたらしてくれるという意味では、なかなか良い装置です。
そういうわけで「薪ストーブでパエリアに挑戦!」というタイトルでしたが、実際には挑戦というようなカッコいいものではなくて、炊飯うんちくの果てに(笑)、偶然、素敵なものができました♪というだけのお話なのですが……
一生懸命生きるあなたが、少しなりとも、楽しんでいただけますように。そして人生の課題に果敢に立ち向かっていく中で、どうか、幸運に恵まれますように。
私も今日だけ、少し時間がありましたが、明日からまたしばらく会社にも戻れない「戦闘状態」です。今週末も来週も、すでに予定はぎっしり埋まっています。薪ストーブなら嬉しいのですが、残念、従前からの環境調査での指名業務だったりします。
どうでもいいですが、この日の剪定を見守ってくれた、我が家の犬です。私は薪ストーブと、犬と、ネコに慰められながら暮らしています(笑)
頑張って生きて、お伝えしたいことを発見したら、また戻ってきます。それまでどうぞお元気で。それでは、また!!