今日が平成の御代でのお正月休みの最後、という方も多いかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
冬の光は美しいけど、いかにも冬らしい寒い朝でした。それまで超バタバタだった私も、今朝だけは、薪ストーブの前に陣取って、意地でも(笑)ゆっくりと。なぜなら、日曜の朝8時5分からは、私の大好きなラジオ番組「音楽の泉」。この番組については、こちらの記事にちょっと詳しく紹介しました。
aiken-makiss.hatenablog.com ソファに身を沈めて、大好きな音楽番組を聴きます。薪ストーブの前に投げ出した足先、ふんわりとした暖かさを感じながら。我が家のネコがいつも陣取る場所です(笑)
耳にはラジオの音楽「シベリウス 交響曲第二番」と、皆川先生の楽しい解説、そして目には、薪ストーブの炎です。
youtu.be これ、専門的には、ダンパーで空気の流れを落とせば、もっと炎がゆっくり、ゆったり、美しくなるのですが……もちろん、テクニックというか、それなりの準備も要るし、理屈も大切なので、そこは、ユーザーさんには個々の事情も踏まえながらご案内しています。
とにかく、私は……幸せだと思うのです。この、炎が美しいって、それをただ鑑賞できる、贅沢さって。ものすごく。
普段は、実用パリッパリの人間で、コストパフォーマンスだ、暖かさだ、食べ物簡単超おいしい!!とか、連呼している私ですが、この「鑑賞する贅沢さ」がもたらしてくれる幸せを、たぶん、誰よりも知っているかもしれません。
「音楽の泉」も、実は、最後はそこ、「鑑賞する贅沢さ」を、誰よりも知っている人だと思うのです。皆川先生。先生は私みたいな泥臭いこと、一言も言いませんが、「鑑賞する贅沢さ」、その価値を伝えようとすることに関して、まったく妥協なし、プロ中のプロです。どうせAMラジオでしょ?とか、音質面で侮る人もいるかもしれませんが、皆川先生はそんな「音質の限界」なんて、まったく意に介していないようです。
今日、紹介した「シベリウス 交響曲第二番」も、音源(誰の指揮で、いつの演奏で、どこのオーケストラで……によって、クラシック音楽って、本当の本当に、まったく価値が違うのです)の選択が本当に凄まじかったのです。ジョージ・セル指揮によるクリーヴランド管弦楽団の演奏、1970年東京文化会館大ホールでのライヴ録音。
詳しい人がいらっしゃったら、この意味をご存知かと。私、今日まで知らなかったのですが、日本での演奏会としては伝説的な名演だそうです。でも、セルのクリーヴランド、それによるシベリウス二番というだけで、皆川さんが何を伝えようとしたのか、わかります。
ご存じない方に少しだけご案内すれば、セルという人は、クリーブランド管弦楽団をこの上なく「精緻な」アンサンブル集団に育て上げた功績で知られ、精緻で正確なフレージングを中心とした明確で完璧な合奏、一つまたはそれ以上の主要声部が同時にほかの声部によって伴奏される完全な柔軟性、管弦楽の各セクションのバランスの良さ……つまり、室内楽的完璧さを、交響曲で実現してしまった稀有な指揮者だったのです。
交響曲の中でも、もしオーケストラを実際にやったことがあるなら、シベリウス二番というのが、あまりの音符の複雑さに、どうしても「モゴモゴモゴ」「ゴニョゴニョゴニョ」となってしまって、もはや雰囲気でごまかすしかない、それでも成立してしまうくらいフレーズに力のある楽曲ということはご存じのはず。
もし、その複雑精緻なフレージングを、アンサンブルとして完璧にやれたら、どれほど「すごいこと」になるか……演奏が終わったあとの、1970年当時の大人しいはずの日本の観客の熱狂ぶりは、それが実際に鑑賞できた喜びを、感動を、何よりも如実に表していると思います。
よりによって、この曲で、これかよ……というような「とんでもない」音源を、その選択理由についてはなにも語ることなく、しれっと出してくるのが、「音楽の泉」の皆川先生なのです。シベリウス二番は、クラシックは、こんなにも素晴らしいものなんですよと、これを鑑賞できることの喜びを、まだよくわからない人にも、なんとかして伝えたい……楽しい解説の裏にある「音楽そのもの」に対する、皆川先生のプロとしての徹底ぶりに、ただただ感服するしかありません。
皆川先生には、本当に、まったくもって足元の靴の裏にも及びませんが、私も、そういう「美しいものを鑑賞する」こと、それが、人生にとって、どれほど大きい価値があるのか、何とかして伝えたいな……とも願っています。こればっかりは、主に実際の仕事を通して、ということになりますが。
なんか、よくわからない話になってしまいましたが、とにかく、炎の鑑賞は、実は大事だ、とても価値のある、贅沢なものですよ、ということで!!(笑)
同じ生きて、生きていくために仕事をするなら、何らかの価値を、幸せを、ほかの誰かにも届けることができるように、仕事をしたいものです。現実は何かと厳しく、そう簡単なことではないですけれど。
明日から仕事始めでしょうか?私もあらためて頑張ります。お身体にはくれぐれも気を付けて、今年もご健闘くださいませ!
それでは、また。お元気で。