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少数派意見にも耳を傾けてくれる社会であることを信じ、公益のためにワクチンパスポート反対の理を唱えます

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/114256 より「内閣官房の資料」とのこと

 7月の時点では国内での活用には慎重な見解が多かったワクチンパスポート、ワクチン接種が進んだ段階で、経済活動抑制を緩和するための条件として活用する方向で話が進んでおります。

 すでに国民の6割が接種していて、また半分以上が2回目接種を終えている我が国、ワクチンを自分の意志で打たない人間は少数派ということが、すでに確定しております。ですので多数決の原理により、反対はそもそも難しいというのはよくわかっているのですが……

 論理的により正しい、合理的かどうかは、必ずしも多数決の趨勢と一致するわけでもありません。また立場によらず、多くの一般市民にとって、より良い社会にする公益のためにという動機で、自らの意見を世に問うことは、あってしかるべきだと思います。

 ここでは表題の通り、「ワクチンパスポート反対」を唱えている人間が、どのような公益上の理屈によって、そのような見解に至っているのかについて、少し考える材料にして頂きたく紹介させていただきます。

 

 まず、ワクチンパスポートを国内活用する理、その基本的な考え方は、私も理解しているつもりです。よくまとまった見解がこのあたりかと存じます。

接種展開による感染や重症化の抑制の効果は、なお重視すべきと考える。われわれ個人個人の重症化予防効果に加えて、社会全体にとっての「医療崩壊回避」効果が(決して十分ではないが)期待される。

新型ウイルス感染症用に開発されたワクチンは、(所期の効果があり、副作用が限定的である限り)接種を受けた人A、接種を行った医療従事者Bとは別の人々Cにプラスの効果をもたらす。なぜなら、Aは接種後に(感染する可能性は残っても)重症化リスクは小さくなり、入院して医療従事者のマンパワーを使う可能性が減る。つまり、医療崩壊の回避にプラスに働く。さらに、「集団免疫」(後述)の実現に「一票」を投じることになる。

medical.jiji.com 一般論、いわゆるワクチンから普通にイメージされる話としては、この論説は合理的で「正しい」のです。しかし、現在のmRNAワクチンとデルタ株による感染流行においては、「正しい」と言えるには次のような条件がつくと考えます。

  1. ワクチン接種することで感染拡大が抑制されるなら、正しい。
  2. ワクチンを接種した人の割合がもっと増えると集団免疫が獲得されるなら、正しい。
  3. 社会における感染制御の測定を「感染者数」ではなく「重症者数」であるとして割り切って徹底できるなら、「現段階においては」正しい。
  4. 重症化リスクを減らす方法が、ワクチン以外には全くないなら、正しい。

 以下、順に、検証させていただきます。

1.ワクチン接種することで感染拡大は抑制されるのか?

 実は、他のことは「おまけ」に近くて、ここが一丁目一番地なのですが、現在のワクチンで、実際に直面したデルタ株の感染拡大においては、ワクチン接種が感染拡大を抑制しているという証拠はないものと考えております。

 これは、誤まった解釈などがされている場合が多く、上記に引用した記事中でも

米国のCDC(疾病対策センター)が、「未接種者が感染する確率は接種完了者に比べて5倍」、「入院する確率は29倍」とする研究結果を公表している

 とありますが、これはCDCの原文では

On July 25, the age-adjusted incidence in unvaccinated persons (315.1) was 4.9 times that in fully vaccinated persons (63.8); the rate among partially vaccinated persons was 46.8. The age-adjusted hospitalization rate in unvaccinated persons (29.4) was 29.2 times the rate in fully vaccinated persons (1.0); the hospitalization rate was similar in partially vaccinated persons (0.90)

www.cdc.gov

 であり、問題の部分

incidence in unvaccinated persons (315.1) was 4.9 times

とは「発症した(incidence)ワクチン非接種の人々(315.1)」と解するべきで、「感染」(infection)ではありません。

 ここは一番大事な部分で、そもそも感染者の割合は、今のところ、ちゃんと調べようがないのです。つまり、ある都市で、無作為かつ2つの集団間でワクチン接種状況以外の年齢層や行動要因等が極力同じ条件になるように母集団を抽出して、感染の有無を調べないことには、ちゃんとした比較に資する「感染した人の割合」は出せませんから。

 このCDCの調査も、報告書の中で「限界」として次のように言及されているように

case ascertainment is based on passive surveillance, with known underreporting that might differ by vaccination status. Similarly, screening and testing behaviors might differ among groups. 

調査として、ちゃんと成立させようという意図を持って能動的にデータを取りに行ったわけではない(based on passive surveillance)のです。

 すなわち、都市(Los Angeles County)にいて、普通に心当たりがあるなどして検査を受けに来た人がそもそも調査対象で、その結果、感染が判明した人、さらにその発症や入院について追跡した「だけ」です。

 後で述べますが現ワクチンは、とりわけ接種してしばらくの間の発症防止効果は相当あると思います。その発症防止効果は、一方で、ワクチン接種者は、たとえ感染していても無症状となり、そもそも「感染したかも」という心当たりも持てないでしょう。

 その結果として、接種済みの人は、検査を受ける動機が非接種者よりも相当少なくなるという状況に必然的につながります。そして検査を受けない以上、たとえ感染していたとしても感染者としてカウントされることは、現在はありません(誰かの濃厚接触者として偶然見つかる程度)。

 よって接種者のうち感染している本当の母数は、現在の仕組みでカウントされているよりも相当多いと考えられ、非接種者よりも実際に感染しにくいかを評価できるデータは、現在の状況下では「存在しない」といえます。

 そうなると、もっと「ざっくり」であっても、全体の状況を客観的に捉えた観測結果の方が、ワクチン接種と感染拡大防止効果の関係を類推するためには有効と考えられます。例えばノルウェー

モンゴル

手前味噌のツィートですが、マレーシア(パプアニューギニアとの比較)

【2021年9月23日追記】グレナダ

 このように、ワクチン接種が進むほど、感染者数が抑えられるという観測結果があれば良いのですが(日本もそうですが、感染者数は「波」なので、時間が経てばワクチン接種率は高いままで、いつか自然減に転じます)、実際にはワクチン接種が進めば進むほど感染者数が急増し、一方でワクチン接種が進んでいない国は感染者数は増えていないという「ざっくり観測結果」が普遍的に認められます。

 私は個人的には、あまりにも多くの「ざっくり観測結果」が、ワクチン接種が感染拡大の抑制には効いていないことを如実に示していると思うので、実際にもワクチンに夜感染拡大の抑制効果はないと考えていますが、私のような素人ばかりでなく、我が国の感染症の専門家も次のように言っています。

Estimation result for vaccine coverage implies that vaccine did not reduced infectiousness at all. 

www.medrxiv.org 「ワクチン接種率から推定した結果、ワクチンは感染を全く減らさなかったことが示唆された」ですよ??国立感染症研究所の人も名を連ねるプレプリントの論文、日本の2月から7月までの観測データを対象にした専門的な検討結果です(詳しく書きませんが、私は、国立感染症研究所の研究者の方って、研究者としてホントすごい矜持だと尊敬します……)。

 もし、ワクチン接種で本当に感染拡大が抑制されるなら、ワクチンパスポートの行動制限緩和における活用は、合理性があると私も思いますが、実際には、そういう合理性に足る根拠は、やっぱりないのではないかと思います。

 ワクチン接種完了した集団でも、普通に感染者のクラスター発生していますし……時間が経てば抗体価が低下するのは当然にしても、じゃあ、実際のところ、接種後どのくらいの期間なら、有効なのでしょうね??重症化にじゃなくて、感染拡大防止に、ですよ?

 クラスターが生じた八戸市医療機関では、20歳代~80歳以上の男女41人の感染がわかり、これまでに判明した患者を含めると感染者は43人に上る。今後、接触者ら220人程度を検査する。

 クラスターは青森市でも発生。市内の入所型高齢者施設で利用者や職員ら計12人の感染が判明した。今後、関係者を含め約190人の検査を予定している。

 県によると、いずれのクラスターも感染者のほとんどはワクチン接種を終えていたという。

www.yomiuri.co.jp

2.ワクチン接種がもっと進めば集団免疫は獲得されるか?

 これは、政府の分科会ですら

我が国においてすべての希望者がワクチン接種を終えたとしても、社会全体が守られるという意味での集団免疫の獲得は困難と考えられる

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新型コロナウイルス感染症対策本部(第76回)(令和3年9月9日開催)配付資料

ということですので、合意いただけやすいかと存じ上げます。それでは、国民の間で、もっともっとワクチン接種率を引き上げればいいのではないか?ということで、8割を達成したシンガポールの例。

シンガポール在住です。シンガポールではマスクしないと罰金でして、マスクしていない人など皆無です。職場でもマスクです。 日本に比して、他国に比して、相当厳格にコロナ管理がされています。記事の通りワクチン接種も2回終わった人が8割を超えました。それでも、ここ2週間、感染者増が止まりません。デルタ株は相当厄介です。必然的に、ここ数日は重傷者数も増えています。大半はワクチン未接種者のようですが、ワクチン完了者も重症化した人がいます。今、日本がワクチン接種率の上昇が感染者数を下げている要因の一つとされていますが、それは要因じゃないと考えた方が良いです。これだけ徹底している国でこの有様です。

news.yahoo.co.jp やっぱり、私は、ワクチンを皆が接種したら、集団免疫ができて、それで感染が収束するとか……無理じゃないかと考えています。というか、この世界のどこかに、ワクチン接種を社会で頑張って進めて、それで集団免疫獲得した国ってあるんですかね……

 

3.社会における感染制御の測定を「感染者数」ではなく「重症者数」で徹底できるか?

 これが実際に出来れば、どれほど良いかと私も思います。でも実際には「感染者数が増えれば重症者数が増える」という一般原則で支配されていて、実際の感染者数がちゃんと把握されていない可能性とか、検査陽性率を参照することはなされているものの、やはり我々の社会の「行動制限」を決めているのは「新規感染者数」です。

 1.で述べた通りに「新規感染者数」がワクチンで減らないのであれば、新規感染者数で状況を判断する限り、やぱりワクチンパスポートには意味がない(パスポートがあろうがなかろうが、感染者数はどんどん増えてしまう)のですが、もし重症者数で判断するなら、重症化を抑える効果は、少なくとも接種後しばらくは相当ありそうに見えますので、ワクチンパスポートが意味を持つ可能性があります。

 しかし……実際の問題は、ワクチン接種が進むほど、死者数や重症者数について各国ではこんな状況が、有名なイスラエルに限らず指摘されているわけで……

 日本も、とりわけこの秋冬、他人事ではありません。よって三回目接種が、今のうちからすでに視野に入っているわけで、そういう状況下で、ワクチンパスポートが果たしてどれだけ実務上の意味を持つか……私はどうしても疑問に思わざるを得ないのです。

4.重症化リスクを減らす方法が、ワクチン以外には全くないのか?

 今、私達の国で進められているワクチン接種は、自分自身のためというよりも善意であり、感染拡大防止につながると考えていらっしゃる人もいれば、そこはあまりなくても、重症化防止で医療逼迫が改善されると考えられている方もいらっしゃると思います。

 そこは私も同意で、少なくとも医療体制がまだまだ脆弱な今は、辛い副反応に耐えて接種したことで得られた発症防止効果や重症化抑制効果に基づく公益性、社会的意義は小さくないとみています。

 しかし、あえて言えば、重症化リスクが糖尿病などの基礎疾患や、肥満や喫煙において高いように、それを改善する個々の努力というのは、もともとの健康保険など社会保障費の逼迫も含めて、非常に公益性も社会的意義も大きいものです。

 この内科のお医者さんが仰ることは、非常に本質を突いた、大切なことだと思います。その若干の理論的背景は、こちらの記事にもまとめてあります。

aiken-makiss.hatenablog.com 公益のためにと副反応の厳しい困難なミッションにも挑めるくらいなら、もっと根本から改善を、重症化リスク低減を試みることだってできるのではないでしょうか?

 このお医者さん仰るように、真の公益、真の公衆衛生というのは、このような「健康に関する問題の根本的解決」につなげ、病気を減らし、元気で世の中のためにより良く働けるようになれる取り組みではないかと考えます。

5.【最後に】私たちの社会が目指してきた「普遍的な価値」とは?

 私は、個人的には現ワクチンに懐疑的というか、信頼を置いていないので打ちませんが、ワクチンパスポート自体には反対するものではありません。

 しかし、今の感染拡大におけるワクチン接種の効果をみる限り、今の医療現場の逼迫を改善するためには有益であったものの、もともとの感染拡大防止、新規感染者数抑制、そして永続的な重症化リスクの抑制に資することを考えると、ワクチン接種の推進が合理的であるとは考えられないのです。

 少なくとも、私の申し上げていることが、公益の観点から全く間違っている、根拠も何もないデマである、とは、なかなか言えない、一定の議論の余地があることは認めていただけるかと思っています。

 そういう、一般的なイメージと実態が乖離している、ある意味「特殊」な状況下において、公益の名のもとに「行動の自由」や「選択の自由」といった基本的な権利を実際に制限する可能性のある措置が強行されるのは、本当に私達がこれまで目指してきた社会と言えるのか?疑問が残ります。

ワクチンパスポートは医学的にも疫学的にも正当性はなく、ワクチンを接種していない人達にワクチンを接種するように圧力をかけることだけを目的としている

 イスラエル保健相の発言です。

 社会として、どうしても何か具体的に達成したい結果や効果が確実に見えている場合(もしかして他国との戦争があって「これをやれば勝てる」と見えている取り組みがある場合などはあたるのかもしれません)、個人の「選択の自由」や「行動の自由」に、社会として圧力をかけることは、現実にあるかと思います。

 しかし、必ずしもそうでもない、目指す結果や効果が確実には見えない場合でも、多数派であるということを理由に、いわゆる基本的人権の尊重という普遍的価値と相反するルールが安易に定められてしまう社会であるとすれば、それは、私達の望んできた社会の姿とは違うのではないかと私は考えます。

 

 大変長くなりました。少数派による、おそらくあなたさまから見ても反対意見ではなかったかと存じます。それなのに、最後まで耳を傾けて下さったこと、心から御礼申し上げます。

 私は、日本社会の良心、良識というものを信じております。考え方はさまざまであっても、この社会をより良いものにして、子供たちにつなげていく、ということでは一致できる部分もあると思っています。

 本件につきましても、そのような社会のあり方についての一つのケーススタディーとして、ご一考のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。