超簡単薪ストーブ調理

当社で販売している薪ストーブで、どんな冬の暮らしが待っているかを紹介しているブログです。  興味を持って頂けましたらぜひお問い合わせ下さい

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太陽熱温水器10年超えて初の部品交換しながら、自然と共に暮らす難しさ(楽しさ)を考える

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 今夜は冷えこむ夜です。冷えこむ夜は、なんだか昔のことも思い出されます。

 「10年一昔(じゅうねんひとむかし)」って、四字熟語の一種だったんですね?知らなかったですが、ともかくよく言ったもので、10年が早いか遅いか、感覚は人それぞれ。先日50歳を迎えた私にしたら、40歳当時のことも昨日のように思える一方で、人間としては、ずいぶんマシ……というか、かなり成長した、と思いたい!(笑)……です。

 でも道具や設備、とりわけ生活インフラ的な物理的な設備にとっては、10年というのは、ごく普通、10年くらいで換えなきゃならなくなるようでは「困る」という感覚の方が強いものではないでしょうか。薪ストーブについてもさもありなん。たまたまお見掛けした「カラマツストーブ」の10年経過後の動画。

youtu.be 薪ストーブの耐久性の問題というのは、実はとても難しくて、たとえモキ製作所の薪ストーブであっても「使い方次第」、やはり想定外の使い方をすれば、けっこう5年ももたなかったりする場合があるのですが……

youtu.be この程度の燃やし方が常用であるならば、モキ製作所の薪ストーブなら毎晩毎朝、生活ベースで使って30年もつと思います……というか、私からはお声掛けしませんが、たぶん、炎の扱いにおける感性が、私と似ている、仲良くなれそうな気がします(笑)

 さて、薪ストーブも、まさにそういうものですが、自然と共に暮らすのに相応しい道具に「太陽熱温水器」というものがあります。これは、私の人生の投資の中でも費用対効果で言えばモキ製作所の薪ストーブ以上かもしれない、と思うくらい優秀です。

www.chiryuheater.jp 私が使っているのは、こちら愛知県知立市にある「チリウヒーター」製の自然循環式太陽熱温水器「250S型」、いちばんシンプルなタイプで、やはり超ロングセラーだそうですね、極寒の地では不凍液循環タイプの方が良さそうですが、時々雪が積もったりバケツの水が氷るくらいならこちらで全然大丈夫です。

 2009年6月7日に設置して今年に入るまで、ずーっとノーメンテ、ランニングコスト&維持費管理ゼロで10年以上活躍してきたのですが……なにしろ給水弁の開閉が、トイレのタンクと同様にボールタップ、さすがに水漏れする(完全に給水ストップできない)ようになったのです。こんな部品ですね、ボールタップって。本件取外し実物。

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 お金はないけど(笑)知識技術と度胸?だけはある私、メーカーに電話して事情説明して部品だけ取り寄せて(部品が普通にあるのは大したものです)、自分で交換しようと軽く考えたのですが……苦戦も苦戦、そして気が付くこと、考えさせられることが、いーっぱいありました。以下、4点のテーマに整理して示します。

1.取り付け作業時に10年後の事態って想定されているか??

 ボールタップの交換って、やったことある方なら「難しくない」ってわかると思うのです。接続部のナットを緩めて外せば、本体からスポッとボールタップ本体が丸ごと抜けるはず。交換後の写真ですが。

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 手順としては、下に向かう黒いホースを外しさえすれば、あとはエルボ型黒継手を外して、金色ナットを抜き去れば、本体がフリー、外れます。

 ところが、この黒いホースが、実際には外せない。「水道用ポリエチレン二層管」というのですが、切断しないことには絶対に外せないのです。そのホースを切断し切り開くための専用の道具もさることながら……

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 ポリエチレン管は、一本だけで給水栓まで続いており、初回設置時に「ジャストの長さ」で敷設されています。つまり交換作業時のパイプ切断に伴って短くなることを見越した管の長さの余裕が「何も」なかったのです。

 要するに、ボールタップの交換作業があり得ることが、設置時に想定されていなかったというわけです。交換作業のためにポリエチレン管を切るなら、給水配管は全部やり直し。

 そこで、仕方なく、ホース側を固定したまま、本体をグルグル回すという強引な作戦に出ざるを得なかったのですが……もちろん、そんな取り付け&取り外し方は、今度は製品側で全く想定されていないので(そんな寸法も、工具をかける場所もない)、本当に大変でした。苦労しました。

 これは、実に自分の身に沁みたと申しますか……私も薪ストーブの設置販売がお仕事です。メーカーが云々というよりも、設置現場での判断ひとつ、という領域が、こんな具合に一杯あります。

 もちろん、メーカーとして、そこも含めて手順書なり教育がシステムとして行き届いていれば良いのですが、「中の人」として断言するのは、日本の現物設置の大工さん建築現場において、生憎そんなことは殆ど期待できません。

 この「殆ど期待できない」というのは、工場とか製造業の現場で品質管理をかじった方なら「信じられない」と思われるかもしれませんが、少なくとも日本の薪ストーブ設置現場ってのは、総じて「そんなもの」です、私の知る限りですが。

 正確には設置現場作業を担当する方は「その場でちゃんと取り付ける」ことはできるけど「10年後に本体側で、どの部品がどうなるか?交換を要するか?」なんて、設置現場作業においては普通は「out of 眼中」です。メーカーがよほど明確に指定をしたり注意書きを出していない限り。

 本件温水器の取り付け作業をやって下さった方も、どんな人か実際に立ち合って話を一杯したので知ってますが、ホント良い人でした。現に設置作業そのもので決定付けられる部分は逆に10年経ってるのに、コーキング割れを除き問題ありません。でも本体の交換部品のことまで想定する能力はなかったということでしょう。

 ですので、こういう設備って、本体というか製品そのものの寿命や長期使用時の問題点(限界)も熟知した人間が、直接現場で作業するか、作業している人間に具体的な指示を出すことが、10年以上とか使い続けることを想定するなら必須だということを、改めて思い知りました。

 自然と共に暮らすための設備って、やっぱり、10年以上使いたいというのが普通じゃないですか。なにしろ自然そのものが何十年のスパンだし、自然エネルギーの設備って長持ちしないことには意味がない、絶対にモト取れませんから。でも、肝心の供給側の人間は、結果的には、むしろ10年もてば御の字とか……そのギャップって、とても大きいと思います。

2.原理上「長持ちする設備」でも、汎用部品には要注意

 本件ボールタップも、まさにその例ですが、私も自社開発製品を供給してますから、すっごく悩ましいのですが、製品全体としての特性に応じた「専用品」を、本体の部品として特注採用すればするほど「高くつく」、売価は上がって売るのが難しくなっていくわけです。

 これは高くつくだけでなく、永続性の問題もあります。チリウヒーターのこの温水器が逆に優れていると言えるのは、普通のボールタップなら、チリウヒーターという会社がなくなっても、汎用品として入手可能であり続ける可能性が高いわけです。

 そこで、汎用部品も、支障がない限り、積極採用されていくわけですが……問題は、汎用品は所詮は汎用品。「特殊な環境」「特殊な使用条件」で10年使い続けたらどうなるかなんて、汎用品の部品メーカーとしては「想定外」なわけです。

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 これ、なにを写した写真か、わからないと思うのですが、交換作業前の写真です。そして交換作業後が、これ。

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 温水を貯めるタンク内から、取水ホースで温水を風呂場に送るのですが、一つのタンク内でも熱い湯は上層に、冷たい水は下層に分布させて、熱い湯を取るためのフロート&取湯パイプと、その動きを自在にするゴム管です。

 そのゴム管は汎用品で、10年間も、熱いお湯の中に浸り続けるわけです。するとどうなるか??当然、表面は劣化して溶けるわけです。触らなければ何の問題もないのですが、今回、色んな問題が出て触らざるを得なくなり、触ったが最後、手もタンクも何もかも炭を塗ったように真っ黒に……

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 ちなみに「ホースの長さがジャストしかない」写真の左上を注意深く見て頂いたらわかるのですが、白いタンクに黒い炭を塗ったような汚れがありまして、これは、本来ボールタップ本体台座とタンク本体開口部の間に挟むゴム製のワッシャ(写真)が完全に溶けてしまった成れの果ての影響です。今回交換時には「機能上不要」と判断して、最初から取り付けしませんでした。

 特殊な「温水環境下」で、10年とか、使用され続ける「汎用部品」。本来なら熱劣化に極めて強い「専用品」を開発しても良かったのかもしれませんが、上述したように、そこは判断の分かれるところです。でも汎用部品を採用すれば、当然、10年もすれば、こういった問題も起こり得るというわけで……

 これは、もちろん薪ストーブについても全く同じような課題が、本体のみならず、設置におけるシステムの取り付け全体において、随所にみられることになります。それらの一つ一つの問題への扱いも「知恵と想定」、すなわちメーカーとして供給&それを実際に設置する側の「思想」そのものが問われる領域となります。

3.保守交換作業における「専門知識」や「ノウハウ」の有無

 本件ではボールタップの交換作業、ということで、私は「迂闊にも」本体内の水を完全に抜いてしまいました。これ、抜いてしまってから、何年も前のことを思い出して「しまったー!!」となったのですが……

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 一体、何をやっているのか??と言いますと、温水器側のお湯を風呂場まで送るパイプに、空気入れを市販(有り合わせ)のホースを接続し、人力で可能な限りの空気圧をかけようとしているところです。水を全部抜いたことにともない「空気栓」というのですが……

お湯が出なくなるのは、ホース(ストロー)の中に空気が入ってしまった為です。

taiyonetsu.web.fc2.com  この現象が起こることを、かなり何年も前に実際に経験して知っていました。その時は、空気入れからの圧力で「栓」をお風呂場側から吹き飛ばして解決したのですが、いかんせん、これまた10年経っていると、お風呂場側の蛇口などが圧に耐えられず空気圧がかかりません。そこで、上から吹き飛ばす作戦に出たのですが……

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 結局は、空気圧がかかっているうちは通っても、すぐまた塞がってしまうので、お風呂場側の蛇口一式を、いったん交換して吹き飛ばしました。初めての時はそれこそ原因がわからず右往左往、今回、原因を知ってても、実際にはこのありさま。ホント大変でした。

 確かに、記事のために改めて調べて「そうか!」と思ったのですが、空気圧じゃなくて、水圧を上手に使えば、もっとスムーズに解決できたかもしれません。そもそも、もし、日常的に、この種の作業をしているならば、タンクの水を、ボールタップの交換ごときで「全部抜く」なんて、やらなかったと思います。

 要するに、やっぱり「餅は餅屋」、滅多にやらない専門的な作業なんて、素人がわかったつもりで手を出すと、余計な部分で(今回もホントそう。タンク内の黒いゴムホースに触ってしまったのも、空気栓の問題の解決策を探るためでした)問題を大きく厄介にしてしまうことがあるなと。

 ただ本件も、どうすれば良かったのか、わかりかねます。メーカーの人が、部品について相談した際に、こっちが素人でボールタップの交換作業でタンクの水を全部抜くとか、彼らからしたら、おそらく非常識な暴挙に出ることは想定されなかったかなとも思いますが……

 ただ薪ストーブを設置販売している側からすれば、これはいつも申し上げることですが「何かあったら、何でも、すぐに相談・確認してください。ネットで検索も何も、知っている人間に直接聴くのが一番早いですから!!」ということで、改めて「専門知識」「ノウハウ」の重要性を思い知ることとなりました。

4.その他の周辺事項&まとめ

 1.~3.の問題のために、ボールタップ交換だけで疲れ果てたのですが、問題はそれだけでは済みませんでした。

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 木が茂ってます。太陽熱温水器は、陽当たりが悪いと、どうにもなりません。さらには

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 カーポートの雨樋も、むっちゃ詰まってました。落ち葉で。除去作業中も愛車のボンネットに腐植化した黒色物体が点々と染みを作ってくれます。

 「自然と共に暮らす」のが、私の憧れでした。化石燃料原子力に極力頼ることなく、今を共に生きる自然の循環、節理の中で暮らしたいと。庭の木々は、夏は本当に効果的な天然のクーラー(葉っぱから水分の蒸散作用があって、そこで気化熱を奪うため)なので「大切な味方」ですし……

 なにより、木にとっての枝の剪定は、人間の髪を切るような話とは全く違って、人間で言うならば、腕を切り、脚を切られるような意味です。私は、ですので、剪定が気が重くて、嫌で嫌で……

 でも「何でも燃やせる薪ストーブ」があれば、伐られた枝も幹も、ジャマもの、都市ゴミとして、ただ無駄に焼却されるとか、ありません。冬のリビングを暖めてくれる貴重な燃料になります。

 だから私は、モキ製作所の薪ストーブを導入しました。ただ自然と共に暮らしたいがために……もちろん、後年、それで独立してご飯を食べてるなんて、当時は夢にも思いませんでした(笑)

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 自然と暮らす、というのは、気持ち良くて素敵なことが一杯あります。たとえば、このカーポートの上に積もった落ち葉だって、普通は、単なるジャマもの「都市ゴミ」にしかなりませんが、ちゃんと乾かしさえすれば、立派ではないけど「バイオマス燃料」に、ちゃんとなります。乾かしさえすれば!!

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 ……でも現実は厳しくて、やっぱり都市ゴミにしました。だって、前々日くらいかな?雨で濡れていて、箱にまとめてしまうと完全に乾くまで相当時間かかるし、苦労して乾かしても空気通らないから燃やすの大変だし、あるいは完全に乾くまで掃除の日程を待てば良かったけど私の行動日程からは「この日」しかダメだったし……

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 同じ「箱にまとめて乾かす」ならば、せめて「葉っぱではなく木っ端」、このカーポートの上は、我が家の薪乾燥のためのスペースなので、乾燥中に剥離した薪の破片を段ボール箱に集めて……

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 うん、これなら、良く乾くし、箱に入れて完全に乾くまでの長い時間でも置いておく価値があるなと。

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 カーポートの上で、ずーっと鳴ってたポタポタ水漏れ音も、雨樋の詰まりも、積もった落ち葉も、未回収の木っ端も……課題が一気に片付いて「スッキリ」♪♪

 

 結局、自然と共に暮らす難しさというのは、自分自身の未熟さ・浅はかさ・身勝手さも含めた「人間の至らなさ・限界」と向き合うことであり、でも、それでも、ちょっと無理矢理感があっても、何とか解決して生きて行く、前に進んでいく「楽しさ」「達成感」そして「成長」が同時に存在する……ということでは、ないのかなぁ??って。

 

 人間というのは、やっぱり、能力を発揮してこそ、良心を発揮してこそだと思うのです。「きれいごと」はともかく、実際の局面において、どれだけ能力なり、良心なりを発揮できるか??たぶんそこに、その人ならではの勝負なり、存在意義なりが懸かっていると思うのです。

 ……明日も、頑張ろうっと。それでは、また。お元気で!!