超簡単薪ストーブ調理

当社で販売している薪ストーブで、どんな冬の暮らしが待っているかを紹介しているブログです。  興味を持って頂けましたらぜひお問い合わせ下さい

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炎の技術論では限界がある「ごちそう」メニュー 

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 本日、クリスマスの夜です。イブが大切なのか、当日が大切なのか、あまり頓着しない我が家は、都合により、今夜がパーティーメニューの日でした(書いているうちに日付回っちゃいましたが)。

 薪ストーブのお仕事をしていると、ユーザーの皆さん、このブログもよく読まれたりして、せっかく導入した薪ストーブ、ここぞとばかり、薪ストーブならではのお料理を、いろいろ作ろうとなさいます。昨日、今日と、「まさに」そういう機会でした。

 そこで、そんな皆さんに耳寄りな情報(?)をご提供しなければ、このブログの存在意義はないに等しいでしょう。コスパの話をしている場合ではないのです。クリスマスといえば、で、こちらの記事。

aiken-makiss.hatenablog.com 多くの薪ストーブ記事でも、もちろんこちらの記事でも、例えば熾火や温度管理の技術論のようなもの、「炎の技術論」を説きます。しかし、それなら薪ストーブのプロとして「炎の技術論」では人一倍(たぶん(笑))の腕前を誇るわたくし、失敗なんかしないはずです。

 しかし、今日は現に、色々失敗もありました。そこで今回は、こちらのような記事を踏まえたうえでの教訓ということで。2つのポイントを。

ポイントその1:熾火が難しければ、炎を保つべし。そして炎の鋭い熱を受け止めることのできる、熱容量の大きい、熱しやすく冷めにくい加熱容器を用いて余熱(蓄熱)効果を存分に活かすべし。

 薪ストーブでローストチキンといえば、燠火です。しかし、実際問題として調理熱源として1時間近く長持ちする熾火状態を作ろうとするなら、これは、かなり難しいです【追記:難しいと言っても、別に高度なテクニックがいるとかじゃなくて、単に面倒という意味。これはモキでなくても鋳物でも、そこに至るまでにガンガン燃やして大量の熾火ができる状態まで炎を持っていき、そこから炎が収まるまで、じっと待たなければならない】。

 そこで、燠火の代わりに、炎を維持し続ける方が、たとえ小さな炎を維持するという難しさにしても、実は燠火よりも、ずっと簡単かつ短時間で準備&調理活用ができて、失敗も少ないです。

 問題は、小さな炎であっても、火当たりが鋭すぎること。そのため、全体に火が回るまでに焦げてしまいやすいことです。私は今日、そこを「極限まで小さな炎」で挑戦しましたが……

 結果:失敗

 加熱容器は、技術論として「正解」でした。こちらの記事にあるように、超耐熱セラミックの鍋は、炎がとてもいい加減でも、失敗も少なく、ふっくらと美味しく焼き上がります。もちろん鍋の外側は煤で真っ黒になりますが、密閉容器なら問題ありません(洗うのは、外側まできれいにしようと思ったら大変です……)。

aiken-makiss.hatenablog.com でも、今日の失敗は、みんなを待たせてしまっているということで、焦って、すぐに食べようとしてしまったのですね……土鍋で炊くご飯も「蒸らし」が命です。フタを取らないまま、余熱で、内部までふっくらさせる。その「待つだけ」の工程は、本質的に重要な意味があるのです。

 もちろん、そのことはわかっていましたが、今日は、とにかく仕事帰りから焼き始めて、時間短縮をしようと「炎の技術論」、つまり、焚き火の炎の小ささでカバーしようとしました。が……中味は、火が通る前に、鍋面に接している部分ばかり黒焦げに………

 やはり「炎の技術論」では限界があるのです。策士策に溺れる。ああ………

ポイントその2:炉内調理は、食材そのものから脂が溶け出すものが、とても相性がいい。脂以外の調味料を足すことや、脂のない食材を使うのは焦げ付きのもと。

 今回のローストチキンは、余熱が足りなくて中まで火が通っていなかっただけでなく、鍋面、とりわけ下面が真っ黒焦げでした。火が通っていないということはあっても、それなのに、外側黒焦げとは、これまでにはなかったことでした。

 原因として思い当たるのは、いつもは肉と野菜だけで勝負するのに、今回は、丸鶏のお腹にもち米を入れるというメニューの出典に従って、コンソメスープを中に加えて加熱したことです。

 よく考えたら当たり前。炒め物でも、味噌や醤油といったものは「焦げるもの」として扱います。最後に入れたり、焦げを逆に活かしたり……

 いつもは何も入れなくても、きつね色のように、きれいな焼き色がつく。それは、よく考えたら、食材そのものから脂が染み出て、焦げない状態での焼きを可能にしてくれているわけです。

 セラミックだけでなく、スキレットとかを用いる炉内調理でも、そういう調理法と相性が良いのは手羽先とか、ハンバーグとか、鯖とか、脂の出てくる食材です。

 今日、私が「そのこと」に確信を抱いた理由は、ピザでした。イタリア料理店仕込みの長女が、生地からソースから手作りしてくれたピザ。

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 炎の技術論としては、我ながら、まー、なんというか、完璧です(笑)ピザのような「オープン容器」でしたらサクラ薪を使えば、ホント燻製よりも、いや、ホントこれ以上なく美味しく焼きあがります!!(笑)

aiken-makiss.hatenablog.com ただ、同じ人間が「炎の技術論」を駆使して3枚を同じように焼いたのに、ピザの種類によって、ずいぶん仕上がりに差がありました。一番美味しく上手に焼けたのは「小女子」(「しらす」の代わり(笑))&バジルソースピザ、まあまあだったのがウィンナー&トマトソースピザ、底が貼り付いて失敗気味だったのがキノコ&クリームソースピザでした。

 これ、焼いているうちから、もう違ったのです。脂が生地に染みて熱伝導率が上がり、下からも上からも満遍なく、かなり簡単に短時間で火が通ったバジルソースのピザに比べたら、キノコ&クリームソースは、かなり火力に気を付けて慎重に焼き上げたのに、底が耐熱陶板に焦げ付くというか貼り付いて厳しかったです。超難度高い感じ。

 ですので、いくら「炎の技術論」があっても、炉内で、失敗なく、美味しく焼くためには、食材自体の特性に基づく「相性」が、実は何よりも重要というのが、本日の教訓、反省でございました。

 

 ……しかし、今日は、もっと反省しなければならないことがありました。失敗自体は「炎の技術論」に頼り過ぎた私の慢心もあるのですが、それ以前に、妻と、ケンカしていたのです、はい。

 この「ケンカ」といいますか、妻は何も悪くなくて、私が一方的に至らない、悪かったのですが、私としても、何とも「し難い部分」もあったりして……そこが原因なので、その私の根本的な不足が取り上げて議論される機会はなかなか辛いものです。

 薪ストーブ以前に、そういう「わだかまり」があると「ごちそう」メニューも、なかなか本来の実力発揮とは参りません。薪ストーブのノウハウ以前にとても大切なことです(笑)

  以上、これからまだ、冬休み、お正月と、「ごちそう」メニューにリベンジする機会もあるのではないかと思いまして、私のつまらない失敗話を披露したわけですが……

 ポイントその2ではありませんが、この歳になって、本当に、つくづく思うのは「相性」の大切さ。いくら各種技術論に秀でていたとしても、所詮は「相性」にはかないません。もちろん、相性に依存しない、それをカバーする努力は、本質的に人間というものを高めてくれるチャンスではありますが……

 成功の近道があるとすれば、共にやっていく相手とは、相性がいいことを大切に。人と人の相性の正体は、一言でいえば

 

「自らの都合(損得勘定)や主義・信条を二の次、抜きにしてでも、相手に寄り添いたいと、ごくごく、自然に思えること

 

に尽きます。経済性とか生活力とか誠実さとか趣味の一致とか、そういう言葉で表せる物象よりも、自分自身の「気持ち」が「答え」を一番よく知っております。50近くになって、今さらそんなことも言う私も私ですし、このブログの読者さんも大概既婚者だと思いますが!!(笑)

 未熟者は、幾つになっても、いついつまでも、精進を重ねるしかございません。クリスマスで思うようにいかなったご同輩、チャンスがあるならば、次こそは成功させて見せましょうぞ!!(笑)

 未熟者のわたくし、とりあえず、明日もお仕事頑張ります。家庭もそれ以上に大切にしなければなりません。なお明日(今日ですか)から寒さもいよいよ本格化するそうです。お身体には気を付けて充分ご自愛のほどを。それでは、また。