えー、春です。今さらですが(笑)でも、月曜日の今朝なんか、初々しい雰囲気の学生さんとか、先週入社式から1週間経った新社会人の人とか、「いよいよこれから」ということで、期待に胸を膨らませていると思うのですよ。
そんな今時分、当ブログの読者さんでしたらお馴染み「ガヤさん」も、春ということで、今シーズンを総括されています。
www.makifuyu.com ホント誠実な書き手さんですので、薪のシーズン消費量も、内訳含めて非常に正確に出されていますね。誰もが知りたいデータです。私も知りたかったし、おこがましいですがとても感心しました。「ホント上手に焚かれているんだな」って。
薪の消費量ってホント難しくて、同じ機種でも条件と腕前(どんな薪を選択するかを含みます)によって全然違うのです。ブログで拝見する限り、立ち上げ回数も多い難しい条件下であれだけの価値を取り出されていたので(言葉を換えれば「贅沢」(笑))、私の知り得る一般情報から類推すれば、8立米とはいかなくとも6立米は堅いな、と思っていましたが……思ったよりずっと少ない、すごいなと脱帽です。
公式告知として、朝晩2回使用でシーズン消費量2立米、調達コストがシーズン2万円を標榜していた我が家ですが…… 今シーズンは、我が家もだんだん贅沢になってきまして(ちょっと寒くなったら、すぐに点けてしまう、というか、私とても「ええかっこしい」なので、家にいる妻から4時くらいに「寒くなってきたから点けていい?」とメールが来たら、それほど寒くないけどなと思っていても必ず「いいよいいよ」と返事してしまうのです(笑))、「大戦末期」のバタバタ(年間2立米の計画を3立米に変更して必死で場当たり的に調達)で、正確な集計ができる状態にないのですが……
おそらく、今シーズンの我が家の薪の年間使用量は2.5立米から3立米のあいだ、たぶん2.8立米くらいじゃなかったかと。
年明けから慌てふためいて3立米(以上)になるよう追加を用立てしましたが、3月に入って急に暖かくなって、今現在0.3~0.4立米ほど、まだ色々残っておりますので……
で、今週末の朝晩ような寒の戻りもありますし、チョコチョコ焚くかと思いますが、今シーズンの運用もおしまい、ということで、なんかバタバタ忙しかった今シーズンの本調理ブログも、今回で最終回にしようと思うのです。
で、以上、長い長い前置きでしたが(あ、ちなみに、年間調達コストは大部分がガソリン代で1万2千円ほど、消費量が増えたのに調達コストが削減できた最大の要因は、高性能エンジンチェーンソーの導入です、ご参考記事)……
今回、今シーズン最終回のテーマは、当事業に相応しく
与えられた命を、余すことなく活かし切る
これが薪ストーブのある暮らし、薪ストーブ調理の本質ということで、普通だったら「薪」とは扱われないだろう木質燃料を調理にフル活用してみたお話です。
さて、我が家にMD80実機のご見学にみえた方が、時々びっくりされるんですが、我が家は新興住宅地のど真ん中にあります。ですので実は我が家、煙や臭いについては、もう、戦々恐々でして……できるだけ目立たぬように、悟られぬように、薪ストーブをこれまで運用してきたのですが……
この印の位置が煙突で、道から丸見えです(笑)で、さらに、立派な薪棚こそありませんが、休日なんかには、普通なら捨てられるような、よくわからない雑木を庭に山のように積んで、電動チェンソーでガリガリ切ってたりしますから、何年も経ってますし当然のことながら(?)私が薪ストーブを使っているのは、ご近所では皆さんご存知のようで
「大屋さん、これ、薪ストーブの燃料に使ってよ!!(お友達の近所の造園屋さん)」
「大屋さん、これって、もらってもらうことできる?(お隣さん)」
もちろん、ゴミとして処理するのが大変だから、という事情はあるでしょうけど、燃やせる木質なら、本当に素直に、ありがたく頂いております。そこで年末年始のころ、造園屋さんから頂いたのが「つる性の木本」……といっても、イメージできないかと思いますが、こんなつり橋とかに使われるような木材です。
具体的には、たぶん、このあたりじゃなかったかな、と思うのですが……とにかく、かなり、太くて、重かったです。迫力ありました。
これって、薪になるのか??という問題で言えば、木って、とにかく乾かさないことには「薪」になりません。そのままでは単なる原木。3か月ほどただ放置していたくらいでは、乾くはずもありません。乾かすには、割らないことには始まりません。
ところが
割れない……
電動蒔き割り機って、斧と違って、相当グネグネしたものなんかも、それなりに割れるのですが、割ろうとして圧力かけると「グニャッ」と曲がってしまう「つる性の木本」には歯が立ちません。で、これが、何十キロ、見かけ体積でたぶん0.1立米くらいもあるわけです(笑)
乾かすに乾かせない、けっこうしなやか水っぽく、そのまま乾くには何年かかるか……と頭を抱えるところですが、そこはモキ製作所の薪ストーブです!!そんなこともあろうかと(笑)
圧倒的なドラフトにより焚き付けが楽すぎます。なんでもかんでも燃えていく印象で、とっても太い薪もどんどん燃えていきました。
弊社ユーザーさんレビュー、小標題「iGブースターを外したら」の記述です。ええ、ホント、全くそのとおりなので、iGブースター外しました。ノーマル運用。
ノーマルに戻しても、さすがに、ほとんど生木に近い、やわらかい木材、そのままではちょっと辛いかな、と思ったので、これまたご近所さんに自宅まで届けて頂いた「パレットの廃材」を添えて、焚き付けて、ふだん滅多にやらない高出力運転です!!
要するに「置いておこうにも置いておけないもの」を、この寒の戻りを利用して燃やしてしまわないといけない、そっちが先にあったわけです。そこで命を最大限活かすために、調理として何をしようかと思ったときに、せっかくの高出力運転なので、それに相応しいこととして……
美味しいパスタのコツは、大量のお湯と、強火力、それで、麺の中心に「芯」をわずかに残して「アルデンテ」に仕上げます。ちなみにパスタソースは温めているだけで、作成自体はガスコンロです(笑)色々刻んで入れたりして比較的短時間で仕上がる調理は、やはりガスコンロが便利ですし、あと油がはねる料理も、我が家では餃子が「デッドライン」です(笑)
ともかく、とっても、本当に美味しくできました♪♪部屋も暖まっているし(窓際温度計で25℃とか)、なにしろ燃料代は本当にタダ、ご近所さんに自宅まで届けて頂いたものを、ただ切っただけです。乾燥の手間すらかけていません。
ガラスが曇るのが、モキ製作所の薪ストーブの弱点ですが、さすがにこれだけ凄まじくドラフトを効かせて燃やしてしまえば、ガラスだってそんなに曇ることはありません。5時間以上燃やし続けて、翌朝になって灰の中には燠が残っていた状態でのMD80Ⅱの窓ガラス。
これができるのが、モキ製作所の薪ストーブです!!めでたしめでたし♪ということで、一家に一台、いかがでしょう??それでは来シーズンまでご機嫌よう
……などと、平和にあっさり終わる当ブログではありません(笑)ご存知のとおり。
これ、燃やしながら、つくづく考えたのですが、薪ストーブを使う人にとって、たぶん、煙に次いで、絶対に「大変なこと」の第一に挙げられるのが、薪の調達です。それを支配する薪の使用量って、なんなんだろうって。
薪ストーブの暮らしの幸せを大きく左右する、この「薪の問題」について、この晩、私は、改めて考えざるを得ませんでした。
例えば、このパスタを茹でた晩の薪ストーブ運用のために、投入された「薪」の量は、体積ベースで普段の3倍、重量ベースなら5倍とかに及んだと思います。普段なら乾燥した薪3~4キロだけで賄って、炎のゆらめきだとか、炎の美しさだとか言ってますが……
乾かしも何もしない「超気楽」な「薪」を、ガンガン放り込んでどんどん燃やすだけで、これだけ暖かくて快適に楽しめる
もう、薪ストーブの本質としては、それでいいんじゃないか?って。炎の美しさとかどうでもいいって、そういう感じです。実際問題「炎の美しさ」とかは動画のとおりですし、私、これまで乾燥の甘い薪が切り口から泡を吹いてシューシュー言うのは見たことありましたが、水滴が滴り落ちるのは初めて見ました。それでも何の問題もなかったのです。
部屋を暖めて、お湯を沸かすために「必要とされた薪の量」が、普段に比べたら大量だった、それだけです。
ご存知かもしれませんが、私自身は「いかに少ない量の薪で、薪ストーブのある暮らしを楽しむか」ということを命題にしております。そして「私に」与えられた命を最後まで有効に使い尽くすことも命題にしております。だから昨日も
こんなにも細い枝も一本一本、丁寧に割って干すために並べていく私。たぶん全国一ちまちました薪ストーブ屋だと思う(笑)でも命を余すことなく使い切るミッション、当然乾かすスペースが問題になるので回転早くするためにカーポート。知恵と工夫。 pic.twitter.com/nXPgcblhWV
— 大屋@薪ストーブ事業 (@aiken_makiss) 2018年4月8日
でも「きれいごと」だけあって、実際には相当面倒くさいです。頑張ってカーポートの上に並べて乾かしても、2か月とかの乾燥期間では、私が欲しい「炎の美しさ」は当然手に入らないので、ストーブの輻射熱で補ったりしています。そうやってまでして、「できるだけ少ない時間と手間で得られた、最小限の量の薪」で手に入れた幸せに、私は満足しています。
けど、こんな「最小限の量の薪から価値を取り出そう」とする方法が、万人を幸せにする、とは到底思いません。
この事業を始めてから、私は、ユーザーさんからの様々な「苦情」を実際に頂いておりますが、その中でiGブースターもまだなかった初期の頃、今でも決して忘れられない苦情が
「薪の量が少なくて済む、という大屋さんの説明を信じて導入したのに、実際にはものすごくたくさん薪が消費されるじゃないか!!」
……というものでした。モキ製作所の薪ストーブの、他メーカーの薪ストーブに比べて圧倒的に少ない薪の消費量が最大のセールスポイントだと思っていた当時の私からは、全くの想定外、信じられない苦情で、何を言わんとしているのかすらわからず、全然うまく対応できなかったのですが……
今なら、わかります。何を言わんとしているのか。とりわけ乾燥が甘めの薪で、快適に使おうとすれば、薪の消費量は必然的に「すごいこと」になります。
すなわち、私のようにノーマルMD80で最小限の薪の量で、いかに長時間炎を保てるか……などと努力して腕前を磨けば、消費量はすごく少なくて済みますが……でもそれは、くすぶってすぐ消える炎や、たちまち真っ黒になるガラスと戦い続けることになります(これを改善したのがiGブースターなのです)。
もう一度言いますが、私のように「最小限の量の薪から価値を取り出そう」という努力の方向は万人向けではなく、しかし、そういう方向に努力しなければ、ラクで暖かであることは確かですが、一方で、薪の消費量は少なくとも我が家の倍くらいにはなると思います。
果たしてどんな状態が達成されたら、「あなた」にとって、一番、幸せを感じられるでしょうか??
今、申し上げている問いというのは、実は「薪ストーブがあることによる幸せ」を手に入れるためには、かなり根本的な問いでして、詳しくは、これから専攻課程ブログにて縷々書いていこうと思っているのですが……
ここでは「結論」だけを言っておきます。まず「薪ストーブがあることによる幸せ」ということに対して、影響としてはものすごく大きい、薪ストーブ本体ごとの基本的な性格としての「燃費」とは、
『ある一定時間で、一定品質の薪を、ある一定量だけ用いて、炎をあげて燃焼を保ち続けた時に、「室内に」どれだけの熱量を取り出せるか』(熾火による持続効果を含める計測も、別途あってもいいとは思いますが)
これに尽きます。炎をあげさせる条件下では、「時間あたり」と「量あたり」、この「二軸」をある一定条件で固定させて取り出し熱量を測る以外には、「燃費」として数値化しようがないのです(取り出し熱量をどうにかして一定させて、時間か薪の量(品質同じ)のどちらかも固定しておいて、最後の要素を比較する方法もあります)。
自動車の「燃費」も、まさにそうであるように、少なくとも、時間と、薪の量と、薪の品質を一定にして、有効出力を実際に計測してみないことには、機種間比較できるような数値化は絶対にできない。ですので、それができない現状では、燃費の議論は無意味ではあるのですが……
でも数値化の可否とは別に「事実」は間違いなく存在しておりまして、モキ製作所の薪ストーブは、この「燃費」という基本的性能においては、おそらく相当抜きん出ていて、普通の薪ストーブには、まず負けないのではないかと思います。もし負けるとしたら、こちらのストーブくらいかと。
薪の消費量は巡航運転時に1時間に600g〜1kgの低燃費になります。
ベースとなる基本的性能として「燃費」の良い薪ストーブは、それだけで、使う人を相当幸せにしてくれる可能性が、かなり高いです。なにしろ「薪ストーブのある暮らし」の幸せの度合いのかなりを左右するほど、薪集めって大変ですから。「燃費」が良い方が絶対に有利です。
そしてさらに、モキ製作所の薪ストーブの場合、「燃費」を無視すれば、今回のように「乾かす手間を省いた木材」を燃料にすることもできます。これは使う人の置かれた条件によっては「燃費」以上に、使う人を幸せにしてくれる可能性があります。この基本的性能も、ものすごく大きなアドバンテージです。
……ちなみに「使う人の置かれた状況」として、私なら「乾かす手間を省いた木材」を主要燃料として採用することはありません。なぜか?というのは単純なことで、体積が2~3倍にもなる「燃料」を置いておく場所が、そもそも我が家にはないからです。でも、その都度、都合よく「燃料」が手に入るなら、話は別になるでしょう。
あとは、炎を楽しむ、というような部分です。私には、自分自身が思っていた以上に、そこにこだわりがあるんだ、幸せ感に影響が大きいんだ、ということも、今シーズンの発見でした。
さらに、弊社ユーザーさんレビューにあるとおり、暖房としての「ゆったり感」「安定感」ということも幸せを左右すると思います。
知人は室内で犬を飼っていて外出していても何時間かおきに自宅に帰り薪を補充してストーブ本体の熱を絶やさず、室内温度をある程度保ち愛犬を寒さから守っているようです。要するにほぼ24時間暖房をしているわけですが「24時間家が暖かい、なんてすばらしい」と思いました。
モキ製作所MD80Ⅱ(iGブースターモデル)レビュー【旧愛研当時】小標題「他機種との比較」より
この「ゆったり感」に関連させてもう少し言えば、「燃費」の数値化が仮に可能であったとしても、それだけでは片手落ちで、長時間、その出力を一定に保つために「薪を投入する動作が何回必要であったか」を、付帯情報として入れることも必要だと思います。
この時点で「モキ製作所の薪ストーブは燃費という基本性能が極めて高い」ということと同時に明言しておきますが、この投入回数については、モキ製作所の薪ストーブよりも鋳物系ストーブのほうが明らかに少なくなると思います。モキ製作所の薪ストーブは、一定量の薪で(あるいは、出力を一定として)長時間運転を行おうとすると、基本的に細い薪をマメに投入する必要があります。
【2020年7月追記;「実際のところ」は、この早送り動画で、ご確認頂けます】
結局は、そういったところを全部含めて「どこを取るか」です。まさに、ガヤさんのおっしゃるとおり。自動車が燃費だけで語ることができないことと、全く同じです。そして数値上の燃費の悪い自動車が、燃料の貴重さや二酸化炭素の問題そのものを軽視しているわけでも絶対にない。
www.makifuyu.com ここでガヤさんは、
薪ってのは木という命を元にした燃料です。
「薪の持つエネルギーをあますことなく頂く」
薪ストーブってこういうエコな視点が重要視されていそうで…でも意外に重要視されていない。気がする。笑
このようにおっしゃいます。この点、モキ製作所(少なくとも発明者)は、「ここ」を最も重視しているのでは?というガヤさんの「憶測」は、まさに事実を正確に捉まえておりますし、私自身というか弊社も、まさに、「ここ」を一番大切だと考えて、本事業を展開しているところです。
その上で、「薪の持つエネルギーをあますことなく頂く」に付帯する価値についても、私は、少なくとも今シーズン、これまで以上に多くのことを学ぶことができました。今なら、上記のような苦情にも、以前よりずっと上手に対応できると思いますし、そもそも私のユーザーさんなら最初から苦情を発生させないと思います。
薪ストーブが欲しい人が何を一番求めるか、「どこを取れば」その人が一番幸せになれそうなのか、プロとして、より適切な案内や、提案ができるようになったと、自信もかなりつきました。場合によっては、弊社の扱うモキ製作所ではなく、他社さんによるドブレを勧めることもあるかと思います。その人の幸せのために。
要は、大変口幅ったいようですが、今シーズンに至って、薪ストーブのある暮らしの幸せを実現させるという仕事人としての私の力量は、相当程度(ようやく?)、向上したということです。
でもそれは、やはり「人」との出会いがないとダメでした。ガヤさんとの出会いも非常に大きかったし、ユーザーレビューを書いていただいたEさんから得た気付きも凄くいっぱいありました。そもそも苦情を投げかけてくれた初期のユーザーさんとの経緯も、ユーザーさんご自身だけでなく私のほうも辛くて悲しい思いも一杯味わいましたが、とても大きな学びを私に与えて下さいました。
そういうわけで、春です。新たな出会いというのは、やっぱり「人」を成長させてくれます。辛くて悲しい思いを味わうこともあるかもしれませんが、そこから学び続けようとする限り、人は、必ず成長できます。
私、もう47歳になりますが、これまでの人生で、今が一番、成長できているような気がします……ああ、これが、私の人生で、もっと早い時期だったら……という愚痴は、さておいて!(笑)
だから、ぜひ、今の、これからの新たな「出会い」を決して恐れることなく、歓迎して、とにかく大切になさってください。新たな「出会い」をきっかけに学ぶたくさんのことや、気付きは、きっと、あなたの人生を、最終的にはより幸せなものにしてくれる、大きな、確かな財産になるはずです。
……そんな超えらそうなことを申し上げまして(笑)、今シーズンの「超簡単薪ストーブ調理」は、これでおしまいです。おかげさまで事業としても好調、事業打ち切りは考えられない段階まで無事成長できましたので、また来シーズンにはお目にかかれると思います。
それまで、成長のために必要かもしれませんが、できましたら、辛いこと悲しいことは極力少なく、日々ご機嫌に、楽しくお過ごしになられますように。
それでは、また。お身体にだけは気を付けて、どうぞ、お元気で!!