超簡単薪ストーブ調理

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薪棚?ありません。エンジンチェーンソー?持ってません。でも、ひと冬の暖房代を2万円以内で納めるには?⑦

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 毎日毎日、こんな難解(?)な記事にお付き合い頂きまして、本当にありがとうございます。「超簡単」、どこいったんや……

 何でこんなことに?……と考えたら行き当たるのですが、やっぱり、「生き物」を扱っているのですよ。薪ストーブって。生き物って、硬さも手触りも様々だし、下手したら腐るし、「出来上がり」も全然違います。料理もホントそうですよね、同じ料理でも素材の鮮度一つで、適した調理法も、味も、まるっきり答えが違う。

 そういったものを、簡単にまとめることも可能なんですが、料理のお話と違って、この「薪」の問題だけは、昭和30年代とか、薪で風呂を焚いていたような時代と違って、今の人たちって、普通に生きていて「生き物」として薪を扱う感覚がまるでなくなってしまっているのです。私も含めて。

 ですので、その「生き物」である薪の扱いかたについて、書き始めたら、もう、今回でシリーズ⑦まで迎えてしまいました。いい加減にお疲れのことと存じますが、もう少しだけですので、どうぞお付き合い下さい。

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 さて、上記シリーズ④で「大事なことは、乾燥をどうすればいいのか、というのも「本当は」木による、ということです。ここは本当は大事です。」と申し上げましたが、今回は、天日干しを中心に、それを上手に実行するために、その木の個性も含めた、ちょっと細かいけど大切なことを。魂は細部にこそ宿るというわけで。

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 一般原則として、上記シリーズ③で、雨ざらしでも木は乾く、と申し上げましたが、それが、実は私は「木の個性による」とも考えているのです。で、冒頭写真、天日干し作戦のところですが、気が付かれますかね?ことごとく、皮が上、割った面を下に置いていることを。

 シリーズ④の途中で出てきた、この写真も、皮が上になってますよね。

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 これ、やっぱり、皮は水をシャットアウトする機能があるから、雨で濡れるのは、傘のように皮面にしておいて、乾くのは割った面からですから、そこは、できるだけ濡らしたくないって、思っているのですね?私は。

 一方で、同じように雨ざらし天日乾燥推奨でも、全く逆「割った面を上に」という専門家もいるのですよ。鋳物の名門、バーモントキャスティングス。

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 これは「鋳物 vs モキ」の問題では当然ないし、実は、この人が「間違っている」というわけでも決してないのです。要するに「割った面からの水分蒸発を、より促進するためにはどうすればいいか?」という問題なんですね?

 こういうことなんです。いくら割った面が上の方が良いって言ったって、雨が多かったらやっぱり濡れる効果の方が不利に働きますし、逆に割った面を下にしたところで、たとえば地面にそのまま置いちゃったり風通しが悪かったら、雨に濡れなくとも全然乾きません。

 ですので「割った面から水分が抜けるので、とにかくそれが進むように置く」ということを考慮してもらえれば、実際には「割った面が上でも、下でもどちらでも良い」という話なのです。つまり「考慮してある」というのが、薪をより早く乾かすために、本質的な「答え」なのです。

 しかし、私は、やなりモキを扱って来た経験上から、名門バーモントキャスティングスにはない視点を補足しておきたいのです。それが、薪の乾燥を巡って、私からご提供するノウハウの最後です。

 

 鋳物製薪ストーブで好まれるような密度の高い重厚な木の薪であれば、割った面が雨に濡れてもかまいません。しかし、スギとか、アカマツとかで、組織が柔らかくて軽い感じのものは、特にいったん乾燥したあとに濡れると、水が内部まで浸み込んでしまうのか、非常に乾きにくいので、極端な場合、雨ざらしも辞めた方がいいです。

 

 要するに、具体的には「スギの白太」「杉の辺材」のように、生木では水分量が多くても、実際は組織としてスカスカで乾きやすい木については、雨に濡れてしまう害の方がどうやら大きいらしい、ということです。「水に弱い木」というイメージかも。ちなみに白太って、こんなの。

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 日常生活のイメージとしては、白い柔らかい割り箸って、洗って再利用なんて、考えないじゃないですか。洗ったとしても、乾く前にカビとか生えそうで。一方、割り箸でもスギの赤い高級材だったら、洗っても油分で水は弾くし、何度でも使えそうだって、思いませんか??その「生き物としての感覚」こそが、正しいのです。

 ぜひ、割った薪を手に取ってみてください。白くて、柔らかくて、乾いても水が浸み込んでいきそうだな、と思ったら、それは風通しのちょっと良いところに放っておいてみてください。それで1ヶ月もしないうちに木口が割れてきたら「見立ては正解」です。天日に晒さなくても早く乾くし、充分に乾けば、焚き付けなんかにもちょうど良いです。

 結局は、薪ストーブは、「スイッチひとつ、ポンって押せば、誰でも使えて簡単便利」とは、どこまでも対極の世界なんですよ。自らの「生き物」としての感覚、つまり「感性」を武器に、一つ一つの薪の個性だとか、そんなものまで見極めながら暮らせば、とても安く楽しく暮らせますが、その「ひと手間」を惜しめば、あるいは気が付かなければ、どうにもうまく行かない。

 私は、薪棚を否定はしないし、あった方が絶対にラクだって思います。薪棚を整備して、乾燥するための時間が置いておけるなら、そうした方が良い。でもやっぱり、我が家では、たぶん、作らないんじゃないかと思います。だって、一本一本の薪が持つ「木の個性」に向き合って、色々考えるのって、楽しいですから。私、変人でしょうか?(笑)

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 上記シリーズ②で、私は、薪ストーブのある生活を、美味しい干物を作ることに例えました。割ることの大切さから始まって、乾かすことの妙。美味しい干物作る人だって、絶対に魚の種類によって、あるいは魚の状態に応じて、乾かし方変えていますって(笑)

 つまり、私は、きっと、何も考えないルーチンワークで干物を大量生産するよりも、魚一匹一匹の細かな状況に応じて美味しい干物を作ることの方が、大好きな人間なんだと思います。もちろん「たかが暖房」、ルーチンワークでやった方がいいという嗜好を、私は、全く否定するつもりはありません。これは、単なる「好み」の問題ですから。

 そうやって考えると、「薪ストーブのある生活」、それは「己が何者か」という問題と、日々向き合うことでもあるかなと。

 さて、長々と続く「薪」シリーズ、結論めいたものもようやく見えてきたように思いますが、いかがでしたでしょうか?

 でも、最後に、これは、まあ比較的どうでもいい(?)問題「切る」ということが残っています。人によってはすごい情熱をかける「チェーンソー」の問題。私は、ごめんなさい、ここは「超簡単」の本来の趣旨で、すごく役に立つ考え方は示しておきますが、中身には軽く触れるにとどめたいと思います。

 それでは次回も乞うご期待~~♪