【2020年9月14日追記;先ほど日本テレビ系列「有吉ゼミスペシャル」という番組があり、モキ製作所製の薪ストーブMD80Ⅲが取り上げられておりました。「モキ製作所 薪ストーブ 評判」の検索で、当ページにみえた方に以下、お知らせいたします。
- 当記事は、あまりにも「踏み込んだ」内容となっております。単純で分かりやすい内容をお求めの場合、当ページの記事にお目通しされることなく、別情報をお探しになられることを強くお勧め致します。一般論であればこちらの記事。
- 当記事で述べられている情報は、テレビで取り上げられた機種の前モデル「MD80Ⅱ」という機種に関するものです。共通する長所も欠点もありますが、テレビで取り上げておりました現行機種「MD80Ⅲ」という機種についての私の見解は、こちらの記事に述べるとおりです。
- モキ製作所の代理店は、全国にありまして、弊社は愛知県にある代理店ながら全国で仕事をさせて頂いておりますが、それは、この記事で述べたような踏み込んだニーズにお応えするということで事業を展開しておりますので、「有吉ゼミスペシャル」でご覧になった程度の内容で良ろしければ、弊社である必要は特にはありませんので、ぜひ、最寄りの代理店にお問い合わせくださいませ。】
【2020年2月追記※本記事において紹介されている「iGブースター」はMD80Ⅱの生産終了に伴い提供終了しております。そこで蓄積されたノウハウを投入し、さらに実用性能を向上させた「MD70Kiss」というオリジナルモデルの炎も「iGブースター」に劣らず、とても美しいものになっております。ぜひこちらのYouTube動画や、このツィッターでご覧いただける「MD70Kiss」の炎と、本記事で紹介されている「iGブースター」の炎とを比べてみてください※】
現在の薪ストーブ。炎が美しいです。 pic.twitter.com/lbPdBIKBHx
— 大屋@薪ストーブ事業 (@aiken_makiss) 2020年2月4日
長い休載から、来週月曜日から本格復帰しますが、それを前にして、今回は本当に「番外編」です。モキ製作所MD80Ⅱの購入について検討されている方へ。
単に「何でも燃やせる薪ストーブ」ということで、MD80Ⅱのユーザーとなったところ、予想をはるかに超えてとても幸せになって、さらに世間を見渡すと、薪ストーブをめぐる不幸か、不幸とまでは言わなくても、もの凄い量の薪やらメンテナンスの手間とか、薪ストーブをめぐって大変な思いをしている人で溢れているのを知って、モキ製作所の薪ストーブの普及を社内の新規事業として手掛けるようになった私ですが……
これまでに、私が惚れ込んだ、そのMD80Ⅱをめぐって衝撃を受けたメールが2通あります。
そもそも今回に至った私の思い(出発点)は、MD80Ⅱについて今一納得がいかなかったこと。
このメールを書いたのは「いで爺」さん。弊社で量産化して販売している「iGブースター」の開発者です。開発の様子を書いたご本人のWebサイトが こちらです。
このメールは「iGブースター」を、開発者ご本人に作ってもらって一緒に普及させようと考えていた私に、実際の製品製造からは手を引く、あとはあなたに任せるので頑張ってほしいという、ある意味「別れ」を告げるメールで、上記の一文は、その中で、ご自身の心境を説明するために書かれたものです。
私としては「iGブースター」がMD80Ⅱの性能を向上させるものとして期待し、工場設備導入等のプロである北海道のユーザーさんに性能検証を依頼して裏付けを得た段階のことで、単に希望に燃えていた頃の話でした。
当時、私はMD80Ⅱに基本的には何の不満も感じていなかったので、MD80Ⅱに惚れ込んでいる「同志」だと思っていた「いで爺」さんから、開発動機について「実は不満があったから」と告白されて、「そうだったのか」と衝撃を受けたわけです。
正直、その「不満」については、私は、なかなか「腑に落ちる」まではいかなかったのですが、自宅の旧タイプには取り付けることのできない「iGブースター」を、仕事として実際に普及させる段になって、動画を撮ってみたり、販売設置時に実際に体感してみる中で、そのノーマルとの圧倒的な性能差を感じたり、実は不満を抱いていると伝え聞いていた弊社ユーザーさんの「iGブースター」導入後の様子から、「ノーマルには、ユーザーの不満につながる欠点がある」と、わかってきました。
それで、ちょうど、この記事を書いていた頃ですが、長野で、弊社のユーザーさんではないけどMD80Ⅱを実際に使われている方から「相談」として頂いたメールは、ものすごく切実で、私にとっては「いで爺」さんからのメール以来の衝撃になりました。
あまりに切実なのでメール原文の公開は避けますが、モキ製作所のストーブを信じて導入したのに、薪ストーブで癒されるどころか、自分にはもはやストレスを呼び覚ますものとなってしまい、火を点けること自体が嫌になってきている、ご友人の海外鋳物製の薪ストーブをつぶさに見てきたが、あまりの落差にショックを受けている、と。
メールからとても感性の豊かな、道理を良く知る方だな、ということはわかっていました。そんな方が、早い話が「MD80Ⅱで不幸に陥っている」と。モキ製作所の薪ストーブ、とりわけMD80Ⅱに惚れ込んで、これは、人を幸せにするものだから、ぜひ世の中に広めたい、という動機で本事業を立ち上げた私は、そんな話をお聴きして居ても立ってもおられなくなったのです。
そこで、いや、それは「iGブースター」ならきっと解決できるはず、と、異例中の異例ですが、日程も当時抱えていた環境調査業務がうまく進んだ場合の「合間・希望的観測」として提案したという異例っぷりで、長野まで「iGブースター」を持って飛んで行きました。
今日だけは、早朝から夜遅くまで、薪ストーブのお仕事に戻っています。ひたすら長野のお客様宅を目指して。異例中の異例なので、高速料金が出ません。国道19号ひた走りです(笑) pic.twitter.com/5ZgHAx5dQZ
— 大屋@薪ストーブ事業 (@aiken_makiss) 2017年2月28日
えらいところに来ましたよ(笑) pic.twitter.com/RyiJpfMQzO
— 大屋@薪ストーブ事業 (@aiken_makiss) 2017年3月1日
実際にお会いして話を直接伺ったら、その「不幸」の正体が、腑に落ちたといいますか、実によくわかりました。こんなことをおっしゃるのです。巷で言われるモキ製作所の薪ストーブの欠点を、見事に言葉にされていると思います。
炎をゆったりと楽しみたくて、太い薪をじっくり燃やそうとしても、くすぶって、ガラスがすぐに煤だらけになってしまうし、そもそも炎が保てない。あと、そういう太い薪だと、最後まで燃え切らないでよく燃え残ってしまう。
そこで、モキ製作所の言うとおり高い温度になるように燃やすと、たしかに太い薪でもちゃんと燃えるし、ガラスも曇らないけど、今度は薪がどんどん消費されてしまう。その温度を保つためには次々と薪を入れなければならない。まるで「かまど」の世話をしている人になった気分。
とにかく「せわしない」。これが薪ストーブライフだっていうなら……それは違うんじゃないかと。
モキ製作所にも、当然、言い分はあります。「薪の持つ熱エネルギーを、より多く居室に取り出せる」というモキ製作所の薪ストーブの利点は「諸刃の剣」なのです。暖かさではなく、単に「炎の鑑賞装置」として薪ストーブを見た場合、「薪の持つ熱エネルギーを炉内に閉じ込めてしまう」鋳物製のストーブの方が、そりゃ「炎」の側から見れば安定化できますから、圧倒的に有利なことは間違いありません。
つまり熱を居室に取り出す意味での「燃費」ではMD80Ⅱの方が鋳物製ストーブよりも圧倒的に上なのに、ノーマルのMD80Ⅱがガラスも煤けることなく安定燃焼するのは(居室に熱がどんどん取り出されるが故に)「高出力状態が継続した状態」に限られることに対して、鋳物製の薪ストーブが、大量の薪を消費して立ち上がって炉内に熱を閉じ込めたあとに「低出力状態で安定した状態」(炉内は極めて高温のままのため炎を維持すること自体はラクだから、炎の鑑賞装置としては良いけど、熱の居室への取り出しは極めて効率悪い)になって、太い薪がゆっくり燃えているのを比べると、MD80Ⅱのほうが、いかにも「燃費」が悪いように「見える」のです。
【追記2018年10月4日:モキ製作所の薪ストーブと普通の薪ストーブの違いは、逆説的に一言でいえば「モキなら、薪を長時間持たせる目的で、太い薪を投入する必要性が、そもそもない」ということに尽きるかもしれません。こちらの記事に解説、コメントにて記事の検証作業について言及してますので、よろしければご一読下さい】
【追記2018年4月12日:モキ製作所の薪ストーブのノーマルの「なんでも燃やせる」長所の裏返しの「燃費」のことについては、こちらにも「まとめ」として掲載してあります。よろしければご一読ください】
要は「穏やかな炎」を維持するためには、細い薪をマメに投入する必要があるか、太い薪を入れっぱなしにできるか、「せわしなさ」の違いだけであって(あと、炎が穏やかなら、ノーマルはガラスがあっという間に曇って見えなくなるという問題があり、こちらのほうが大きいかも)、同じ時間で消費される木材の重量に着目すれば「燃費」としては同じなのです。
つまり同じくらい「穏やかな炎」なら、鋳物製の薪ストーブに比べてモキ製作所の薪ストーブは圧倒的に暖かい(高い天板温度を維持できる)し、もしも天板温度が同じであれば、ノーマルのMD80Ⅱは「燃費」では絶対に負けません。「iGブースター」装着モデルにも勝ります。自宅でノーマルしか使えない私の意地をかけた戦い(笑)
モキ製作所 薪ストーブ MD80Ⅱ 燃焼性能試験 2.5kgの薪で天板温度200℃から250℃を何時間維持できるか?~ノーマル編~
ちなみにノーマルの低出力運転での、この「燻り」や「煙」の問題は、「臭い」の問題でもあるのですけど、iGブースターによって大幅に改善されますので、都市部の方もご安心頂ければと思います。
さて、この「燃費」と「せわしなさ」の問題は、モキ製作所の薪ストーブを選択するなら本質的な問題ですから、詳しいことは、鋳物製の薪ストーブを選ぼうか、モキ製作所の薪ストーブを選ぼうかとご相談いただければ、また説明しますが、ざっくり言えば、家の断熱性能が非常に良くて暖かさ(出力)が要らない、そして薪にも困らないというなら、鋳物製の薪ストーブを選んだ方が「炎の鑑賞装置」としては優秀ですから、それを求める方には、より合っているんじゃないかということです。
しかし、そういう比較はともかくとして、美しい炎をゆったり楽しみたい、しかもできるだけ少ない薪で……というのは薪ストーブユーザーであるなら「共通の願い」です。その願いはモキ製作所のMD80Ⅱでも「しっかり叶えられる?」のかといえば……詳しい理屈はここでは省略しますが、結論から言えば「iGブースター」であれば、自信を持って「Yes」です。
【追記2020年2月11日;現在「MD80ⅡiGブースターモデル」は提供終了しておりますが、その後継新機種である「MD70Kiss」について、8倍速で、ある晩の料理も含めた運用状況を動画公開しております。それをご覧いただければ「できるだけ少ない薪で」「ゆったり」という課題に対する「答え」をご覧いただけるかと存じます】
楽しく暮らせる薪ストーブの選び方;ポイント5つ ④一回当たりの薪使用量は少ないか
百聞は一見に如かず、この日、長野のこの方のお宅で、撮影させて頂いた「iGブースター」による燃焼の様子です。投入した薪の量はわずか(中くらいの薪にして3~4本程度)、このごく穏やかな炎で天板温度は270℃に達しており、しかも、ノーマルのMD80Ⅱでは絶対に考えられないことなのですが、こんな低出力運転で1時間経ってもガラスはほとんど曇りません。このように実に美しい炎をゆったりと楽しむことができます。
最も心癒される穏やかな炎―モキ製作所の薪ストーブMD80Ⅱ+株式会社愛研オリジナル「iGブースター」
【追記:ちなみに、この動画は「最小限」ともいえる低出力状態での運転の炎ですが、高出力状態での運転は、残念ながら動画はありませんが、静止画は、こちらのブログのトップを飾っているこの写真です。「iGブースター」による大画面的な炎の美しさです。】
【追記その2:「iGブースター」による高出力運転時の炎の様子を撮影した動画を公開しました!ものすごい美しい炎です。ぜひご覧ください。】
「iGブースター」開発者である「いで爺」さんは、「個人的な思い」として、こう言っています。
この薪ストーブは構造がシンプルが故に、焼却炉的な燃え方をしていたが、炎の色・揺らぎなど高級機に劣らないストーブに変身でしょうか。
メールで告白されなくても「いで爺」さんが、MD80Ⅱの炎の美しさを問題視していたというのが、ちゃんと書いてありましたね(笑)
……私、この「iGブースター」を試すたびに、つくづく思うのですが、天板を250℃に保ちながら、なおかつ「穏やかな炎」で、これほど美しいというのは……高級機に劣らないというか、世の中の、どんな薪ストーブと比べても「炎に最も癒される薪ストーブ」と言えるのではないかと。
私が「iGブースター」を持って飛んで行った、この長野の方、これまでノーマルのMD80Ⅱを相手に、本当にものすごい試行錯誤を重ねてきて、それでも「薪ストーブ」に期待したものが得られなかったということで、「選択を誤った」として不幸に陥っていたのですが、その翌朝のメールでは次のように「iGブースター」のファーストインプレッションを述べられました。
確かにお帰りになってから巡行運転するのに絞るとすぐに火が小さくなり
温度も下がってしまいので結構コツがいるのかなと思っています。
しかし、今まででしたら燻るとすぐに煤がついてしまうのがなくなり
このストレスがないのが良かったです。
多少薪は多く入れないといけないですね。
そう考えると確かに燃費はあまり向上しないかもしれません。(-_-;)
焚付もコツがいりますが今後その点研究しながら薪ストーブライフを
楽しんでいきたいと思います。
開発者の「いで爺」さんからは「iGブースターは熾火を貯めてにこそ(太い薪が放置状態で穏やかに燃えていくなど)真価を発揮する」と散々言われておりますので、「あなたは、一体、どんな説明をしたのか?」と、また叱られてしまいそうですが……(笑)
またその翌日には
薪ストーブを楽しむ方にお勧めしたいですね。
ただ暖房するのであれば、ファンヒーターなどのほうがよっぽど楽で
お金も時間もかからないので
と、補足のメールを頂き、私などいつも思わず「簡単」を強調してしまうのですが、コツの体得もまた楽しい、簡単なばかりが薪ストーブの魅力ではないという、逆に薪ストーブの魅力の本質を改めて教えて頂いたように思いました。
だから、私は、確信しております。薪ストーブの魅力の本質を知るからこそ、これまでノーマルMD80Ⅱでのガラスの煤に悩まされ、「燃費」に苦しんできたこの方も、これから、間違いなく、幸せになって頂けます。もし違う反応が今後返って来たら、「真実」を最も重んじる当ブログ、必ず公開いたします。
「iGブースター」は、慣れていくほどに、低出力から高出力まで、幅広い出力領域で性能を発揮させれることができる本当に素晴らしい装置です。納入当日、その素晴らしさの片鱗にすぎない、ほとんど燠火が溜まっていない低出力状態での炎の様子を、最初は半信半疑で眺めていたこの方の表情が、みるみる、安心というか、希望に満ちてくるのを見て、私は、この仕事をやっていて良かったと思うと同時に、開発者の「いで爺」さんに、改めて敬意を捧げなければならないと、強く思ったのでした。
そういうわけで、今回の話は、本当はこれで終わり、次回から本編(?)再開、なわけですが、また、すでに相当長いのですが、この「iGブースター」(売価税抜き5万円)があるので弊社からMD80Ⅱ本体を購入したい、というご相談が、最近、全国から寄せられてつつありますので、それに関しまして、モキ製作所薪ストーブ販売における「構造上の問題」も踏まえて、長くなりますが、弊社としての対応方針を、ここでご説明いたします。
ここから先は、相当「生々しい話」をしますので、モキ製作所の薪ストーブを弊社から購入しようか具体的にご検討中の方だけ、お読みいただけますようお願いいたします。
まず「iGブースター」は、脱着可能な(いつでもノーマルに戻せる)装置ですが、それでも燃焼に本質的に関わる「改造」に当たりますので、モキ製作所本社との申し合わせにより、弊社の直接ユーザーさんにだけに販売を限らせていただくことになっております。
なおかつ、これまでの販売での実際の経験から、使用方法や、その原理、限界などについて、どうしても直接説明させて頂く必要があると判断するに至っております。よって弊社ユーザーさんであること、かつ「納品説明」を販売時の条件とさせて頂きます。
そこで、お値段、料金との兼ね合いが問題になります。「納品説明」等のサポート対応には、供給側としましては当然、そのためのコストが発生します。交通費や人件費、とりわけ人件費が大きいです。この人件費に関して、モキ製作所の薪ストーブ販売には「構造上の問題」があります。
モキ製作所は、もっとも販売店マージンの少ないメーカーですので、だれも代理店になりたがらない。
古民家へ設置 モキMD140。 ( インテリア ) - 住環境コーディネーター・コウダの日記 - Yahoo!ブログ
私自身、ユーザーさんの立場に立てば、非常に申し訳ないといつも思うのですが、20万円を超えるような商品なら、多少は値引して欲しいと思うものじゃないですか??サポートを期待するのも普通です。
ところが、実際には、値引きする余裕なんて、本当にどこにもないのです。ぶっちゃけ、通信販売で売りっぱなしにするなら、しかも、数がよほど出れば、値引が可能になるかな、というくらい、仕入れ値と販売価格の差(マージン)が少ないのです。
よろしければ一度調べてみて頂きたいのですが、MD80Ⅱは、昨シーズンまでの旧価格19万円、今シーズンからの新価格22万5千円ですが、本体だけのWeb販売ですらほとんど値引をしていないはずです(以前に調べたら「どこも」値引していなかったのですが、今改めて調べたら、アマゾン、値引きしてますね……すごいな、どうやっているんだろう??)。
こんな本体販売時のマージンで、本体販売時の納品説明のコストを回収するというのは、絶対に無理なんです。マージンがそれなりにある「普通の」薪ストーブ設置工事ですら、ぶっちゃけ話をすれば、煙突設置に伴うマージンの方がずっと大きくて、本体販売のマージンは一般に少ない。だから、本体は比較的どこでも、極端な話、自分のところで仕入れなくても、薪ストーブショップは設置工事を請け負ってくれるわけです。
結果的に、モキ製作所の薪ストーブは、そうして、ほとんどの場合「売りっぱなし」になります。これで、モキ製作所の薪ストーブが「普通の薪ストーブと同じノウハウ」で使えるならまだしも、実際にはまるで違う「モキ独特のノウハウ」が必要なのです。そうでないと上手に使えない。本来の高性能が発揮されない。それで、こんなことになっています。
同じ価格帯のストーブで検索結果によく出てきたホンマやモキはあまり良い評判がありませんでした。
薪ストーブでいこう!其の一~10万円の薪ストーブを探す編~ | 無垢の木ローコストハウス
「良い評判がない」というのは、ですから、あたりまえなのです。モキ製作所の薪ストーブの本来の高性能をちゃんと発揮させるためには、独特のノウハウが必要なのに、売りっぱなしになるようにメーカー自らがしているんですもの……誰も、本来の性能を発揮させるために必要なノウハウをユーザーさんに伝えていないのに、「期待外れ」という悪評以外が出てくるわけがありません。
【追記:ついでに言えば、ほかならぬ「いで爺」さんも、自らのWebサイトにて薪ストーブ導入に至る経緯として「MD80Ⅱとは、どの様なストーブなの」という項目で
掲示板などでモキストーブの情報を検索すると、悪い情報ばかりであまり良い情報が見つからない。
と、「悪評ばかり」の状態にあることを素直に報告されています(笑)】
あえて言えば、ガンガンに薪を叩き込んで焼却炉のごとく乱暴に燃やすような使い方であれば、ノウハウは要りません。だから、正直、そういうユーザー層の方が多いです。それで「もっと耐久性を上げなければならない」というメーカー判断になって、価格を19万から22万5千円に引き上げて「装甲」を分厚くしました。重さも5キロ増えました。残念なことだと私は思っています。
私は、モキ製作所の薪ストーブの「本来の性能」、上述したように実用性能の高さに惚れ込んで、この普及事業を始めました。性能を強化する「iGブースター」にしても売価税抜5万円設定ですが、普及事業なので仕入れ値と販売価格の差はやはり最小限で、この販売による利益は期待できません。一方で、「少ない薪で、より幸せを得られるように」するためには実機による納品時の丁寧な説明が欠かせません。iGブースターならなおさらです。
これまで、煙突設置工事も含めて弊社にご依頼頂いたユーザーさんには、納品説明等のフォローのために必要なコストを、名目としては一般的な範囲内に収めながら、負担して頂いておりましたが、最近増えてきた、煙突設置工事なし、本体のみのご購入という話となりますと、定価そのままで売れば売るほど赤字になってしまう、という状況です。納品説明しない、ということも考えましたが、やはり、そうも参りません。
環境測定分析を本業としております弊社ですが、新規事業である本事業、販売実績が事業計画よりも上がらなければ、当然「事業撤退」となります。現在のところの実績件数は事業計画の半分程度でして、撤退も視野に入りつつあります。同時に、いくら環境保全事業とはいえ、赤字の事業に人を当て込んでいる余裕もなく(本体業績が厳しい)、実績件数が上がっても赤字を脱せないならやはり事業撤退です。
ちょうど先日、弊社社長から、本事業についてそのような確認がありまして、本事業の担当兼責任者である私としましては、どうしたものかと、ここしばらく、悩みに悩んできました。
【註:もし事業撤退となったとしても、薪ストーブ普及販売の「看板」を下ろし、それ以上の薪ストーブ販売設置を行わないだけで、お客さまへのアフターサポートの継続は万全にいたしますので、そこはご安心下さい。】
悩んだ末の結論として、同じ事業撤退になるなら「正しい道」を選んだ結果として受け入れようということで、煙突設置工事なしの場合は、納品説明等でかかるコスト相応の料金のご負担をお客さまに別途お願いすることとしました(現時点ですでにご成約済みのお客さまは、もちろんそのままの費用で結構です。「iGブースター」を理由とせずに、「私」をご指名を頂きましたことは、本当に嬉しく、誇りに感じております)。
ユーザーさんの一般的な期待を考えれば、大変心苦しいですし、成約件数が減ることも覚悟しておりますが(例えば本体販売だけなら、弊社よりも他社が安いことになるでしょう)、モキ製作所の薪ストーブ販売に存在する「構造上の問題」を超えて事業を存続させるためには、どうしても料金をご負担いただくことが必要で、「それでも」と弊社をご支援を頂けるお客さまとご縁を結びたく存じます。
これは、煙突設置工事を弊社ご依頼頂いているお客さまとの公平の意味もありますし、たとえ本体(&iGブースター)の販売のみであったとしても、現実の煙突設置状況(弊社にはどうしようもない部分)を踏まえつつ、その中で、ちゃんと薪ストーブが使えて幸せになれるように最大限の知恵とノウハウをご提供するという「プロとしてのお約束」の意味もあります。
具体的な料金につきましては、当事業らしく、想定されるケースごとに、あらかじめちゃんと明示したいと思います。例えば煙突設置工事は新築の大工さんにやってもらう、けど、煙突の設置設計のコンサルは弊社に依頼するという場合など、ケースごとに弊社分の料金がわかるように今後、弊社Webページにて公開する予定です。
【追記】ケースごとの弊社分の料金について、こちらの本体Web記事に公開しました。
なお、この場合でも煙突関連部材や造作をとことん合理的にして費用を圧縮しながら、煙突の設置に伴って生じる家の躯体への悪影響も最小限になるよう最大限努力して、長期間に渡る安心、安全を含めた「薪ストーブをめぐるお客さまの幸せ」に最終的な責任を持つという「プロとしてのお約束」をいたしますので、料金以上の価値、トータルとしては必ず「お値段以上」を提供することをお約束いたします。
およそ事業というものは、人を幸せにするものでなければならないと信じます。そして事業である以上、継続できるものでなければなりません。より多くの幸せを提供できるように本事業が育って行くことができますよう、ご理解とご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。