超簡単薪ストーブ調理

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薪ストーブに適した調理器具としての鍋ランキング!!②

 

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 薪ストーブ料理、薪ストーブ調理を題材にしたブログでは珍しいのではないかと思うのですが、当ブログ、ダッチオーブンだとか、鋳鉄系の重い鍋って、全く登場しません。これから詳しく書きますが、炉内料理では一定の合理性がありますが、それ以外では薪ストーブで鋳鉄系の重い鍋を選択する合理性は乏しいと思うんですよ……絵としては、とても似合ってサマになるんですけどね……

 すなわち「どうせ暖房のためにガンガンに燃やしている」のではなく、最小限の量の薪で、最大限のパフォーマンスを得るような薪ストーブの運用を想定すると……ダッチオーブンがいくら見映えが良いといっても、背に腹は代えられません。当地が長野や新潟のように極寒の地なら、また住宅性能として本当に断熱もへったくれもない家なら、まず暖房のためにガンガン焚くしかないので、話はまた別だと思うのですが……

 当地、愛知での実際の使い勝手と、調理理論から判断した結果をもとに、薪ストーブ調理に適した鍋を、根拠と共にランキングでご紹介する当ブログですが、第1位と第2位では鉄以外の材質の鍋を挙げました。

aiken-makiss.hatenablog.com

  ここで鋳鉄系の重いものに限らず、鉄製の鍋を挙げなかった理由は、鉄という材質自体が、熱はよく貯えるし、非常に頑丈で頼もしいけれども、「熱伝導率が低い」という、薪ストーブの特に天板でデイリーユーズするには、決定的に重いハンディキャップを背負っているからなのです。

 熱伝導率については、単なる「お湯が沸くスピード」、時間の早さのみならず、こちらの記事に示したように、熱を均一に、食材全体に伝えるために非常に重要な要素になります。 aiken-makiss.hatenablog.com

  つまり、鉄は、熱を柔らかく全体に伝えるには、もともと不向きな材質なのです。そこで「やわらかさ」を求める煮込み料理では不利になるのですが、逆にすき焼きなど、「乱暴めに」ジュージュー焼くという要素が入るなどの場合は向いています。

 また鉄の熱容量(材質に熱を蓄える能力)は、銅と同じくらい高い割には、熱伝導率が低いということを逆に「長所」とすれば、充分に加熱すれば食材が表面にくっつきにくく、予熱を利用して一気に炒め切るとか、高温を活かしてガンガンに調理する場合は、抜群の耐久性、信頼性と相まって、素晴らしい性能を発揮します。

 現に、今、「スキレット」、流行ってますものね♪ 素敵なブログです。

ikurepi.hateblo.jp

 というわけで、本ブログ、もちろん、鉄鍋の素晴らしさを否定するものではありませんが……その素晴らしさは、強力火力のガスコンロやIHクッキングヒーターでこそ発揮される場面が多いとみるべきかなと思うのです。そこで、非常に前置きが長くなりましたが、薪ストーブ調理に適した鍋ランキングとしては……

 

第3位;鉄製の鍋

 鉄製の鍋は、限られた条件と目的の場合にベストになる感じです。全体がしっかり強く加熱された蓄熱状態であれば、その熱を食材に「ゆっくりと」伝えたい場合に適する材質ですが、薪ストーブの天板であれば「その役割」は、本体がすでに担っているので、日常的には「屋上階を重ねる」ことになってしまいます。

 よって、鉄製の鍋は、薪ストーブをガンガンに焚きながら楽しむ焼き芋や、ジュージュー焦がしながら素早くどんどん焼けるのを楽しむ焼肉など、薪ストーブでの活躍シーンは限定されると思われます。

 一方で、屋外の焚き火では、鉄製の鍋がもう最高の調理器具ということになるように、薪ストーブにおいては、炉内に放り込む調理器具として適しています。とりわけ中身が多少焦げたくらいのほうが美味しい料理、焼き物要素が入っている料理には、相性抜群。たとえばローストチキンなんかは最高といえるでしょう一般に「最適」と言われています。※打消し線による訂正は、後述する「追記」に合わせたものです※

 炉内に入れる代わりに、強めに焚いた薪ストーブの天板の上に置いて、さらに鉄蓋の上に炭を置くとか小技を効かせる手もあります。こちらの方、上手です。でも、真似される場合はくれぐれもご注意を。

 

ダッチオーブンでローストチキンnekono.wordpress.com

 

 あと、重い蓋を利用して圧力鍋的、あるいは無水鍋的な効果を求めたい場合もいいかも……でも、それならアルミ製の厚手の鍋でも、だいたい出来てしまいますから……

 やっぱり、デイリーユーズ、汎用性では、重いということも含めて、薪ストーブでは単に鉄板焼きとしてジュージュー焼きたい場合を除けば、「気合を入れた料理」ということになるのではないでしょうか。

 

第4位;土鍋など陶器系の鍋

 私も実際にやってみて初めて「わかった」ことなのですが……土鍋など陶器系の鍋も、基本的には、圧倒的にガスコンロ向きなんです。理由は鉄鍋と同じ。熱伝導率が、鉄よりも、さらにさらに低いため、鍋本体を暖めるのに薪ストーブの天板では火力と時間が、あまりにかかりすぎるのです。

 よって、土鍋など陶器系の鍋は、鉄製の鍋を使うときよりも薪ストーブをガンガンに焚いている場合か、あるいは鍋本体の熱容量自体が少ない「小さくて可愛らしいお鍋」というように、やはり活躍シーンは限定されると思います。

 そもそも、陶器系の鍋の素晴らしさは、時間はかかっても、いったん全体が充分蓄熱してしまえば、金属製の鍋とは比較にならないほど大量に貯えた熱を、ゆっくりゆっくり放出してくれることにあります。また、水を入れて沸騰させた場合に、内部で発生する気泡の大きさが金属の鍋よりも微細であるという特徴があります。

 したがって、このような陶器系の鍋の調理上の特徴を一番活かした使い方は「ご飯を炊くこと」。最初はゆっくりと加熱され、盛大に全体が沸騰したら、あとはごく弱火にするだけで、熱はゆっくり、ゆっくりと米に伝わり続けます。

 「はじめチョロチョロ中パッパ赤子泣いてもふた取るな」……ご存知でしょうか?炊飯の極意。これがごく簡単に実現されます。我が家でも、ご飯は土鍋で炊いています。ただし、その熱源はやっぱりガスコンロであって、薪ストーブで炊くことはありません。

 しかし、空焚き可能な耐熱セラミック製の鍋であれば、高温状態の薪ストーブの炉内に入れることで、オーブン調理など、様々な料理が可能です。これもダッチオーブンなどと同じ使い方ですが、薪ストーブの炉内に入れる場合は、耐熱セラミック製の鍋の方が軽くてハンドリングは良いのではないかと思います。

 【追記】その後、さらに研究(実証&理論考察)を重ねたところ、炉内に入れる場合、鉄では焦げすぎてしまうのと、ふっくらジューシーに火を通すには、耐熱セラミック製の鍋の方が優れているであろうという結論に至りました。こちらの記事に詳しく書きました。

aiken-makiss.hatenablog.com

 【さらに追記】鋳鉄では焦げすぎてしまう、と書きましたが、ダッチオーブンの中で、さらに「中空」に食材を置いてしまえば、遠赤外線だけで見事に焼き上がりますね!!これは「なるほど」です。よって、中空にしてしまえる限り、鋳鉄の「勝ち」だなと、見解を訂正しておきます。

youtu.be

 

 冒頭写真は、耐熱セラミック製の鍋を利用して、銀杏を炒っているところです。写真撮ってから、ちゃんと蓋もして加熱したのですが、こんがり香ばしく、なかなか美味しく仕上がりました。そのうちコーヒー豆の焙煎とかにも挑戦してみたいです(笑)

 ちなみに、こちらの記事で紹介したのと、同じ鍋が使われています。こういう鍋、良いです。1台あるとアイデアが膨らみます。薪ストーブない季節でも焼き芋が一番美味しいです。薪ストーブユーザーさんにはマジお勧めします。

aiken-makiss.hatenablog.com

 

 ……以上、ランキングは、「たった第4位」までで終わりです(笑)……でも、これで、薪ストーブに合う鍋としての考え方は、基本的に全て網羅できているはず。ポイントは、熱を伝えやすいかどうか(熱伝導率)、それと熱をたくさん貯えるかどうか(熱容量)。この二つの要素から来る特徴を上手に生かして、あとはハンドリングだとか耐久性だとかを加味すれば、鍋ごとに「適した使い方」ができると思います♪

 なお、このランキングでは、高性能の鍋として巷で普及しているステンレス製の多層クラッド鍋を挙げませんでした。薪ストーブでも、もちろん便利に使えますが……あまり、ロマンというか高い値段なりの必然性がないというか……薪ストーブという熱源は焦げ付きにくいので無水調理は「ただのアルミ」でもできるくらいの勢いだし、熱伝導率もアルミに負けるし、本格的にジュージュー焼きたいなら鉄製の方が余熱が効いて美味しいしハンドリングも良いとか……

 よって、ステンレス製の多層クラッド鍋は、我が家でもガスコンロではメインの活躍ぶりなのですが、薪ストーブ調理、当ブログではあまり登場しません。

 そういうことで、ここしばらく、長々と、私の「趣味の世界」にお付き合い下さいまして、誠にありがとうございました。次回からは、ちゃんと、「調理の話」に戻ります。たぶん(笑)

 乞うご期待!