超簡単薪ストーブ調理

当社で販売している薪ストーブで、どんな冬の暮らしが待っているかを紹介しているブログです。  興味を持って頂けましたらぜひお問い合わせ下さい

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モキ製作所によるMD70K及びMD30K値上げ!弊社も賛同、ご理解をお願いいたしますm(__)m

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私の師匠であるHさま撮影2021年3月27日愛知県長久手市

 満開の桜とともに、今シーズンの薪ストーブも終わりが見え、巣立ちや別れ、そして新たな出会いといった新たな動きに満ちた時期を迎えております。

 薪ストーブのお仕事界隈も、しばらく前から始まっている話ですが、来シーズンに向けての新たな動きが本格化、「これから」を見据えた活動が始動します。

 モキ製作所からも、弊社のような販売代理店に対して一通の通達が届きました。本来「中の人」向けですが、今回につきましてはユーザーさんやご検討中の皆さまに直接説明すべき事柄が、内容のほとんどですので、原文で開示します。モキ製作所からの通達はいつもこんな感じです(笑)

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 モキ製作所による製品値上げは、これまでも何度かあり、その都度、販売代理店としての弊社は反対の立場を表明して参りました。けども、今回だけは値上げについて賛同、支持します。

 なにしろ、かなーり、無理があったのですよ、MD70KとMD30Kの二機種の価格設定については。とりわけMD70Kなんて、極めて評判も良くて、デザイン的傑作だった旧名機「MD80Ⅱ」(税別価格248,000円)と同じくらい、実際の製作工程としては手間がかかっていたと認識してます。それが実際にはほぼ半値(税別価格128,000円)の設定でしたからね……

 売ってもメーカーとして全然儲からない機種だというのは、代理店になった当初から聴いてました。実際の現物を見ても、ガラス窓やら空気導入口以外は、MD80ⅡとMD70は、ほとんど同じ、こりゃ儲からんだろうなというのは実感してました。

え??

これを??

売価20万円台で???

……いやいや、ムリムリ!そんなの絶対ムリ!!(笑笑)

 

aiken-makiss.hatenablog.com この時、鉄工所さんに相談のために見せたのが、MD70Kの実機でした。いや、今だから書きますが(笑)MD80Ⅱの廃版、MD80Ⅲへの全面切り替えは、私はマジで頭に来ていたのです。そこでモギプレートの特許使用料を支払ってでもモキ製作所から離れようと画策していたのですが、この相談結果を受けて諦めました。

 ともかくMD80Ⅱを失ってからは、後述する「モキ製作所の薪ストーブの本来の美しさ」を体現する製品は、MD70KとMD30K(及びその派生製品)しかなくなってしまっていたので、それで何としてもMD70Kをベースに「イチオシ」を開発しようと躍起になり、現在のMD70Kissが生まれたのです。

 しかしMD70Kは、とにかくメーカーとして無理をして販売している製品だ、というのは知っていましたので、今後について心配しておりました。ただこういう無理は、モキ製作所には限らないのです。

 

 専門家として、造り手としてモノの裏側から知り尽くしたメーカーが、自らの矜持をかけて「〇〇なら、これが絶対に良い」と信じたものを届けたくて売る。

 かつて日本にはこういうメーカーがいっぱいありました。今なら典型的な「プロダクトアウト」として酷評されるかもしれません。「プロダクトアウト」という言葉をご存知ない方はこちら。

www.jmrlsi.co.jp

 でも私は「売れるモノを作る」「マーケットイン」より、本質的にはずっと真っ当だと思うのです。

 だって、自分は内心ではあまり良いとは思わないけど、売れるからそれを売る、ということでは「何のために仕事しているのか?」を失いかねないと思いますから。すなわち目的が「売れること」に切り替わってしまうのですね……「価値を届けたいから」ではなくて。

 ただ、日本の「プロダクトアウト」の製品は、独り善がりになったり、本質的な価値がを見失って迷走したり、実際、世界の中で、ほとんど全てというほど敗北を喫してきました。中には本当に良い製品でも滅びた例も少なくないので、日本のユーザーの責任も大きいとも思います。

 ともかくそのような流れを受けて、昨今のメーカーは自らの矜持をかけて「〇〇なら、これが絶対に良い」と信じたものを届けたくて売ることがなくなりバルミューダのような一部例外を除き、企業体の維持に汲々とすることが普通になったと私は感じています。

 モキ製作所も例外でなく、私の独断と偏見かもしれませんが、最近出される新モデルは、メーカーとして、ちゃんと「売れて、儲かること」を意識したものになっていると感じます。具体的には製作工程で曲げと溶接が少なくて済む製品へのシフトです。なぜなら、鉄の造作では曲げと溶接が一番技術を要するし手間もかかりますから。

 なにしろモキ製作所の曲げと溶接というのは、只の曲げと溶接ではないのです。モキ製作所の薪ストーブの発明者、現会長の茂木国豊さんが、自らについて「鍛冶屋の4代目」と名乗り続けた理由。

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 なにしろ薪ストーブが、もし、何も火や熱のない冷えた状態からでも、サッと素早く立ち上がって、燃費よく部屋を暖めてくれたなら、忙しい普段の暮らしで、この上ない強い味方になります。そのためには「鉄の本体だけ」で、余分なものが何もついていないシンプルな方が有利に決まっています。

 ところが、そんな薪ストーブを実際に作ろうとすると、どれほど難しいか。

又四角の炉本体は、一枚の鉄板を折り曲げて一箇所だけを溶接しています。このような形状をコラム鋼と呼びますが、溶接個所を最小にする事で熱の伝導をスムースにします。

更にその一番弱い部分である溶接個所を炉の底に持ってきて、灰を溜める下にしたことで熱伝導を和らげる配慮もしています。

karamatsu-stove.jp それでも、実際に10年使うと、本体が割れたりすることもあるようです。

youtu.be あるいは、本体が変形しないように、徹底的に補強をかけていくか

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出典不明、2020年10月DL。以前はよくお見掛けした薪ストーブ工房さんなのですが改めて探して見つからず。ご存知でしたらご一報ください。

 この↑写真にみる手間を見て「そうだよな~~」と私はひどく納得していたものです。なぜなら

 

 薪ストーブは、製品ハードとしては、炎の熱による金属の膨張や歪みとの闘い

 

 薪ストーブの製作上の課題は、本質的に、このことに尽きるのです。それは寿命に効いてきます。もし、鉄の本体だけで「ノーガード」で炎に挑むなら、只の四角い箱のボディなら、もって10年、毎日気楽に使うようなものなら5年程度で割れや変形など、深刻なダメージが生じると思います。

 モキ製作所は「鍛冶屋の技術」、つまり曲げと溶接だけを駆使して、この割れや変形の問題に挑み、長野の断熱も乏しい昭和の住宅で、毎朝毎晩使って30年経っても本体に問題となる割れや変形を生じない、そんな凄い成果を実際に叩き出してしまいました(エンジンでいうところの「常時レッドゾーン」のごとく、誤まった使い方の場合はこの限りではありません)。

 

 超耐久性と超寿命を具現化させる「曲げと溶接」こそ、薪ストーブメーカーとしてのモキ製作所の神髄

 

 私は、このように確信しておりまして、だからこそ「暮らしの結果保証」「長年使ったときにこそ違いがわかる」を標榜する都合上、モキ製作所に頼る以外に、弊社としては選択肢がないのです。

 MD70KやMD30Kは、まさにモキ製作所のコア技術を体現する「曲げと溶接だけ」で作られた、MD80Ⅱが廃版となった今では家庭用では事実上最後のラインナップです。

 

 発明者の茂木国豊さん以来、脈々とつながるメーカーとしての良心、信頼の系譜がMD70KやMD30Kにある。

 

 そんな良い意味での「プロダクトアウト」を体現するような製品でしたので、これまでも、ごく少数の知的な方によってのみ、熱烈に支持されていました。

ameblo.jp しかし、今シーズンにおいてはMD70Kが在庫切れを起こすなど、状況が少し変わって来たようです。結果、儲からなくても、つまり手間の割にはすごく安いお値段で長年売られ続けてきた製品が値上げとともに継続されることが決まりましたので、私はとにかく安心しました。

 これにともない、弊社オリジナル改良版の「MD70Kiss」も、これまでの327,800円(税抜き298,000円)から341,000円(税抜き310,000円)に値上げとなります(6月1日正式受注分以降)。

www.aikenmakiss.com ご検討中の皆さまには大変心苦しく存じますが「お値段以上」の価値は間違いなくあるものと強く自負しておりますので、今後ともご贔屓のほど、何卒よろしくお願いいたします!!m(__)m m(__)m