超簡単薪ストーブ調理

当社で販売している薪ストーブで、どんな冬の暮らしが待っているかを紹介しているブログです。  興味を持って頂けましたらぜひお問い合わせ下さい

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とても厳しい今年の薪乾燥は「今」が「最後の」短期決戦!

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薪の重量を折れ線グラフ(左軸、単位はグラム)で、日ごと降水量を棒グラフ(右軸、単位はミリ)で表記

 世の中では緊急事態宣言出すべし、なんて意見が過半数だそうで、なんとも、せわしなくて切ない夏を迎えておりますが、いかがお過ごしでしょうか?
 とんでもなく長引いた梅雨のために、日照不足、野菜も高いですが、薪もまるっきり乾きませんでした。しかし暴れられなかった太陽が鬱憤を戻そうとしているのでしょうか、昨日も気温40℃超えなんてところもあったそうで、我が家の「雨ざらし薪」も、この2週間ほどの間にどんどん乾いていっております。

 冒頭写真は、6月8日に割って乾かし始めた薪の重さを毎日プロットしてみたグラフです。最初は1300グラム台後半からスタートした生木も、この調子でいけば、そのうち800グラム台のどこかで重量が落ち着きそうですね……

 なお、降水量をグラフで示しましたが、実際に重要なのは実は「降雨のあった時間」なのです。大量の雨は、別に表面を流れて行ってしまうだけなので。問題は、水で濡らされる時間がどのくらい継続していたか?ということではあります。

 

 薪の乾燥にとっては、雨量よりも、雨に濡れている時間の長さが大事

 

 このことは、大切ですので、ちょっと覚えておいてください。

 さて、薪の乾燥については、それ自体、薪ストーブで暮らそうとする場合の一丁目一番地、まさに至上命題であることは言うまでもありません。薪が乾いてなければ暮らしが成り立たないというのは、過言でも何でもありません。

 ですので、当ブログでも、すでに多くの記事で、そのあたりに触れてきました。

aiken-makiss.hatenablog.com 中でも、調理以前に、薪が乾いているかどうかで、薪ストーブの価値自体がまるで違うという基本について触れた恥ずかしい記事がこちら。

aiken-makiss.hatenablog.com そして、薪の体積あたりでは、乾いているか乾いていないかで「薪としての価値」も、暮らしの質もまるで違ってくるのですが、モキ製作所の薪ストーブの場合は、そのぶん(体積ベースで3倍とか)放り込んでしまえば、とりあえず用は足りてしまうという身も蓋もない話も書きました。

aiken-makiss.hatenablog.com 要するに「薪ストーブを使って、どんな暮らしがしたいですか?」という質問への答えが、手間も、コストも、取り出せる価値も何もかも含めて、実は「薪の乾燥」という実態に集約されていくわけですが……

 

 できるだけ手間やコストをかけることなく、取り出せる価値を最大にする

 

 ということだけをひたすら追求する、身も蓋もない当ブログは、そんな、薪を充分乾かすために2年間積んでおくとか、庭のスペースを消費させる悠長な手法は取り得ません。

aiken-makiss.hatenablog.com でも、そうなると、知恵と機動性だけが、味方になるわけです。そこで、今回の記事ですが……

 

 この、とんでもないカンカン照りが支配的な僅かな期間を、薪乾燥に最大限活用しましょう!

 

 ということをお伝えしておきたく。

 どういうことかと言いますと、あまりいらっしゃらないかな?とも思いますが、雨ざらし乾燥で薪を乾かそうとしている方におかれましては、このしばらくの日照りを「最後のチャンス」に、これ以上の乾燥は望めないと割り切って、濡れない場所に「回収」をしておくべきだと思うのです。

 たぶん、あと一週間ほどですね……その時点で、乾いてようが、まだ重量が減っていく途中であろうが、雨ざらし乾燥は、もう切り上げてしまった方が良いです。

 ユーザーさんには、口酸っぱくしてお伝えするのですが、暮らしの質を高めてくれる薪の作り方は唯一つ。

 

 できるだけ鮮度の良い原木を、出来るだけ早く割って、とにかく地面の湿気の影響の少ない風通しの良いところに並べて乾かすこと。

 

 要は「美味しい魚の干物」の作り方と、全く同じなのです。そして、当然、干物は「その後の保管」という「風通しが期待できない工程」が待っていますので、回収直前の状態が、そこで濡れていないことが、暮らしの質を決める上で非常に重要なのです。

aiken-makiss.hatenablog.com なにしろ、毎年ですが、今年も「異常」です。ここまで台風が静かな年もありません。このまま済むと思うのは、たぶん甘すぎます。

youtu.be ですので、そのうち、台風連続とかで薪乾燥どころではなくなるのではないか??と私は読みます。たぶん、今年の夏は、とっても短いんじゃないかと。これは、毎日一定時間外に出て歩いたりしている生き物としての勘に過ぎませんが……

 あとノウハウ論として申し上げておきたいことがあるとすれば、何事も準備が大切ということで、冒頭グラフの意味ですが、薪は、細く割っておくことが、乾燥においても決定的に重要なのです。今回、測ってみた薪ですが

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 重さをほとんど同じに揃えた、こんな組み合わせを比較のために用意しました。いわゆる太割。

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 そしてほとんど重さが同じ、細割です。

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 もちろん、部位は同じで、ただ、割り方が細かくて2本か、1本かだけの違いです。それをこんなふうに、雨ざらしに置いておきました。得意の「カーポート上乾燥」です。

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 1本なのか、2本なのかの違いで、乾燥スピードにこれくらい差が出ます。濡れるのは一緒ですが(むしろ影響は2本の方が大きいくらい)、重さが減っていくスピードがまるで違います。冒頭のグラフ再掲。

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 太割(1本;暗褐色グラフ)は、細割(2本;明褐色グラフ)に比べて、一週間くらい遅れる感じになります。実験する前から、そうなるのはわかっていたんですけどね……ブログで書くために、あえて。本当は、太割も、いずれは細割に追いついていくのですが、残念ながらそこまで待てそうもありません。

 ですので、本記事で、一番お伝えしたいことは、乾燥を仕込む段階で、どれだけ良い薪になるか、かなり決定付けられてしまうということ。だって、ずーっと乾かしておけるとか、そういう甘い状況って、たぶん難しいですからね……

 もちろん、巷でよく言われるように、薪を乾かすためのスペースも待ち時間も、いっぱい取れるなら、それはそれで素晴らしいことですが、当ブログは、あくまでも『薪ストーブから充分な価値を取り出しながら、空いた時間や労力を「もっと大切なこと」に投入しましょう』という趣旨ですので。

 なお、この測定対象になった薪は、わずか2か月ほどでも、かつ太い方でも、経験的には「そこそこ」の薪に仕上がっております。何故ならば、濡れている長い時間があっても、乾燥にとって全く無意味ということはないから。木が新鮮でありさえすれば!

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 本日撮影の、薪の様子ですが、木口についてはご覧の通り。しっかり割れ目は入っております。このカンカン照りが継続できる、限られた時間の範囲内であっても、まだまだ、どんどん良い薪になってくれていくことでしょう。

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 暮らしの中でも、とりわけ薪ストーブのある暮らしというのは、その場、その場の状況を、各種情報に加えて肌感覚もフル活用して感知して、来るべき未来を予測し、どんどん判断して、捨てるものは捨て(諦めるものは諦め)、手に入れることができるものを最大限活かす手立てを次々と編み出していくという、非常に高度な活動であります。

 そこでは、やっぱり「実体験」「実際の観測に基づく知見」というのは、手に入れることができるものを最大化するためには非常に有効ですから、是非、このブログも一つの参考にしていただいて、様々な試行錯誤を重ねて頂きたく。

 そういうわけで、とても暑いですが、今さら勝負もある程度ついてはおりますが、チャンスはチャンスとして最大限生かす行動を常に心掛けて下さいませ!ということで、お身体にはくれぐれも気を付けて、お元気で。

 それでは、また。

 

【以下、2020年8月20日追記】

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 その後も順調に薪の重さは減り続けて、元記事公開の8月12日には901グラム、一週間後には860グラムを少し切ったくらいで安定化したわけですが、これで、たぶん含水率20%(乾燥重量ベース)かなぁと思いますので、当初は92%あったものがここまで減ったことになります。

 本日8月20日は、翌日は雨が降りそうという予報で、太い方は、まだ910グラムくらいで含水率たぶん27%くらいで、まだ不十分なのですが、もう、見切りで回収にかかりました。

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 カーポートの屋根の上には、乾燥のために、全部でこのくらい薪が載っていたわけですが、それをひたすら地面に落として、回収していきます。

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 途中、こんな感じですね。暑くて死ぬかと思ったのと、今年は雨が多くて、例年はみない小さな甲虫がいっぱい暮らしていて、木くずだらけでしたね……

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 最後は、こんな具合に何もなくなりました。このまま台風をやり過ごしてから「次のロット」の乾燥にかかろうと思っているのですが……

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 下ろした薪が、本当に凄くて!!軽トラ1杯分では済まない感じですね、0.8立米は超えてますか。しかも、グネグネだったり、長さも太さもバランバランで、少ない体積になるようにギッシリ積んでいくのが本当に大変。

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 こういう棚に積んでいくのですが……結局、ほぼいっぱいになって、まだ積み切れず、今日は、薪を地面に下ろして、ギッシリ積んでいくだけで一日が終わりました。

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 形もむっちゃくちゃバリエーションがあって、高度な立体パズルで、こんな感じなんですが………

 実は、この追加記事の本題は「そこ」にはなくて、やっぱり思ったのは、写真の雰囲気からわかって頂けるとありがたいのですが、雨の影響が凄かったなと。基本的に細く割ってありますから、ブロックみたいなのを除いてカラッカラに乾いてはいるのですが、カビっぽい臭いも強いのです。こんなに乾いているのに。

 見た目も手に取った感じも、森の中で何年もかけて乾いていった材みたいな感じで……雨の間、それだけ、湿っぽくて分解プロセスが進んだのだろうなと。だから、実際に燃やしてみないとわかりませんが、乾いているのは良いけど、火力や火持ちがイマイチかもしれない……

 それで、私、すごく不思議に思ったのは、もっと太い薪を大量に積んである皆さんって、どうなっているのかしら??と。ウチはこれだけ細いし、カーポートの上なんていうギラギラ環境だから、三週間ほどの好天(というか殺人的な暑さ)で戻され、分解プロセスの状態から引き戻されてカラカラな状態までなれましたが……

 明日からまたちょっと雨、「普通の」太い薪だったら、内部ではずっとカビが繁殖し続けちゃうのでは??と……他人事ながら、今年の冬に流通している薪の品質が心配です……