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超簡単薪ストーブ調理

当社で販売している薪ストーブで、どんな冬の暮らしが待っているかを紹介しているブログです。  興味を持って頂けましたらぜひお問い合わせ下さい

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モキ製作所の薪ストーブで私が体験した絶望

番外編 使い勝手&魅力 薪のはなし

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 冒頭写真、見慣れないかと思いますが、薪の含水率の測定状況です。私も初めてやりました。このブログのために。

 含水率って、本当に大切なのです。測定の詳細は、次回から改めて紹介するにして、今回は、ちょっとその前に脱線して、薪の水分量、含水率を巡って、次の2点のことを注意喚起しておきたく。

  1. 含水率は「自分には薪を普段扱っている経験がある」と自分の感覚を信用していると危ない。時に、含水率計に頼るのも有効。
  2. モキ製作所の薪ストーブでは、含水率の高い、乾燥不充分の薪も、炎を上げて一見ちゃんと燃えるので、かえって要注意。

 前回の記事で、私は、モキ製作所の薪ストーブが、「乾燥不足の薪」に対して強い、つまり、含水率が高くても燃えるという話を紹介しました。私には無縁だけど、実は、そういう側面があると。

aiken-makiss.hatenablog.com

 

  実は、これ、良いことのように見えて、ちっとも良いことではないのです。モキだから、含水率を気にしなくて良い、ということは全くなくて、モキだからこそ、含水率が大切、むしろ気にしなくてはならない、ということを、改めて強調したく、私のつまらない体験談を。

 含水率は「うまく燃えない」ということだと、すぐに気が付くのですが、なまじモキだと、空気さえ多めに送れば「ちゃんと」炎を上げて燃えるのですね?実はそこが落とし穴なのです。明日、測定方法の紹介の中でも改めて引用しますが、この記事の言うこと、改めてよく読んで欲しいのです。

 

いくらよい原木を使っていても、生乾き状態では「薪ストーブ用の薪」としては機能しません。
生乾きの薪を入れると、水分を蒸発させるのに、せっかくストーブ内部で溜めた熱を消費してしまい、全然暖かくなりません。

    堅木屋3つのこだわり - 薪ストーブ用乾燥薪販売〜京都舞鶴の堅木屋〜

 

 そんなの、常識だと思うじゃないですか。私も、当然「知識として」知っていました。でも、私、普段は、乾燥の甘い薪は絶対というほど燃やさないので、その本当の恐ろしさを知らなかったのです。

 先日、ユーザーさん宅で、MD80Ⅱ「iGブースター」モデルの実際に焚き付けをやってみることになりました。焚き付けは、焚き付けの材料が違っても、ちゃんと見繕えば立ち上がります。問題は、本燃焼でした。そこであったのが、重厚な高級材の薪。

 私、普段は安い雑木ばかり燃やしています。重厚な火持ちの良い高級材の薪とは無縁の世界。薪を手に取って確認しましたが、ささくれ立って、よく乾いている感じでした。ユーザーさんに聞いたところ、乾燥状態は管理されていて、いつも使っているものだと。普段は全然馴染みのない薪、すごく重いですが、こんなものでしょう、と思って、火付けを始めてみたのです。

 火が付きにくいのは、想定内でした。でも、そこも、こちとらプロです。

 

 「やっぱり、燃えにくいな~~」

 

 などと思いながら、やっつけていきます。で、思ったように、ちゃんと炎が上がり始めました。さすが、自分の腕前。

 ところが、問題はそこからでした。全然、暖かくならないのです。多少は暖かいですが、炎がちゃんと上がっているのに、全然、暖かくならない。炎が煙突側に引かれているのか?と思って空気量を絞ると、今度は、たちどころに消えていく。

 この時、夕方近く。すでに冷え込んでいました。薪ストーブの価値は、いかに早く暖まるかにあると思っている私です。しかも、この時は、私は自分の「プロとしての腕の見せ所」として、一番早く、ユーザーさんが本当に驚くくらいのスピードで部屋を暖めたいと、ものすごく強く強く思っていたのです。

 

 だから、気が付かなかったのか?……いや、早く、気が付くべきでした。

 

 おかしい、おかしい、何が問題だ?と、首をひねりながら、焚き付けの前に、本体やブースターの状況をオーバーホール並みに確認したり、煙突もトップを中心に全体を充分確認していたので、それをもう一度思い返します。いや、やっぱり、それはなんの問題も心配もない、自信ある。パーフェクトだ。

 ともあれ、空気量さえ上げれば、ちゃんと上がる炎。もちろん、煙突方向に引かれているわけですが、そこで部屋を暖めたくて空気量を絞ると、たちどころに炎が弱くなる。おかしい、と思いながら、炎のその挙動だけを、黙って、じっと見つめ続けます。

 それでもそのうち、炎は、全体に回り、炉内全体に上がり始めました。これからなら二次燃焼も可能になってきそうな状況。ところが、それなのに、全然、暖かくないのです。薪ストーブの価値なし。驚くほどのスピードで部屋を暖めるどころか、もう30分以上経って、全然。期待してくれていたユーザーさんのイライラさえ、もはや、はっきりと感じられます。

 

 絶望

 

 私は、本当に情けないことに、薪ストーブの前で、泣きそうになっていました。

 

 そのとき、私は、やっと、思い当たったのです。ある別のユーザーさん宅での、しばらく前の経験。本体だけの入れ替え案件でした。鋳物ストーブから、やはりMD80Ⅱ「iGブースター」モデルへ。ユーザーさんのお宅にあったのは、一見、何の問題もなく乾燥しているような薪でした。長期間乾燥され、木口もしっかり割れていました。でも、屋外の屋根のないところに置かれていて、数日前に、わずかな雨が降っていました。

 私は、そのお宅で初めてMD80Ⅱ「iGブースター」モデルを立ち上げたとき、煙突ラインから自分の予想したダンパー位置よりも、ずっと開いた位置できれいに燃えたので、あれ?ドラフト弱いな、もしかしたら煙突トップになにか詰まっているか?と思って、「まさか煙突トップに詰まりがあればえらいこと」と、お客さんにダンパー位置の懸念を伝えて、いったん、それ以上の使用を控えてもらったのです。

 それで、翌朝、わざわざ梯子を持って行って屋根の上まで上がって煙突トップを見に行って、その結果、「異常なし」をこの目で確認したので、「ダンパー位置、私の経験だと、もっと閉めるはずでして……そこだけ、気になりますが、あとは何の異常もなかったので、そのまま使ってみて下さい」ということで、焚き付け用の薪がないというので、それでは、と、非常によく乾燥した薪の調達を案内しました。

 後日、そのユーザーさんが上機嫌に、私に教えてくれたのです。

 

「大屋さん、ダンパーの位置、ええ、言っていたようになりましたよ。あと、同じような炎でも暖かさが全然違いますよ。これが、ホントの実力なんですねぇ~」

 

 私は単に「良かった」と胸を撫でおろすばかりで、そっか、あれだけ乾いているように見えても、やっぱり、ちょっとでも雨の影響を受けていると、その影響が出るんだ、と、改めて思った「だけ」だったのですが……

  ユーザーさんがせっかく教えてくれた後半のセリフ、「それは良かったですねぇ」と、私はごく軽く受け止めてしまっていたのです。

 

 「これか!!!」

 

 やっと、私の中で、知識と経験が結びつきました。しかし、時、もうすでに遅し……

 

 プロ失格

 

 思い込みというのは、判断を鈍らせます。明らかな未乾燥薪なら、シューシューと水蒸気を上げるのですぐにわかります。でも、管理されていると聞いていた薪、斧で割られていて木口は割れ目が走っているように見えました。いつも、使っている薪なら、自分自身の管理基準を「感覚で」持っています。それが「使えない」時、炎も普通に上がっているように、一見、見える時……

 

 もっと、注意するべきでした。ユーザーさんは、プロなんかではないのですから。ユーザーさんの申告、それを鵜呑みにしてしまった、私の敗北です。

 

 この話には、単に気付かなかったことだけでなく、他にも山のように、ユーザーさんへの対応の失敗が重なってしまったので、私は、プロとして、この失敗経験を、生涯、決して忘れることはないでしょう。

 でも、改めて言いたいのです。

 

「薪がちょっとでも乾燥不十分だと、驚くほど、部屋、暖まりません!!!」

 

 炎はちゃんと上がっているのに、です。普通の薪ストーブなら、たぶん、上がらない。でも、モキなら、炎がきれいに「上がってしまう」のです。空気量がいつもより多いだけで。薪の種類が普段と違えば、暖まらないのが水分量のせいだと気が付くのは……私は、あまりにも遅すぎました。本当にプロ失格。

 モキのユーザーさんなら、あるいは、これからなられるなら、このことだけは、是非、頭に置いておいてください。薪ストーブは、暖まってこその価値です。炎がいくらきれいでも、そんなもの、何の価値もありません。薪の水分量、含水率、これだけで、「暖かさ」は全く別物になります。

 無意味に、私のつまらない体験談を長々と披露してしまいました。恥さらしです。でも、きっと、役に立つと思います。誰よりもモキの使い手であることを自認する大屋が、そんな、とてつもなく格好悪い物語を語っていたなと、頭の片隅にでも置いて頂ければ。

 ユーザーさんの幸せ、ただ、それだけを願って。

 それでは。