超簡単薪ストーブ調理

当社で販売している薪ストーブで、どんな冬の暮らしが待っているかを紹介しているブログです。  興味を持って頂けましたらぜひお問い合わせ下さい

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薪棚?ありません。エンジンチェーンソー?持ってません。でも、ひと冬の暖房代を2万円以内で納めるには?⑥

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 何の写真?と思いますよね(笑)前々前回(シリーズ④)の続きです。薪を「薪棚に1年以上置いておく」というオーソドックスな方法ではなく、工夫して乾かして、木口を見て「割れ目」が入っていることなどで乾燥を判断して……

 

aiken-makiss.hatenablog.com

 で、実際に、これで問題なく燃えるわけですが、しかも、我が家はモキ製作所の薪ストーブが最も苦手とする低出力(要はケチケチ)運転ですので、乾燥が不十分では燃えないから、ちゃんと乾いているはずなのですが……

 ホンマかいなと。なにぶん、前々前回記事で書いたように、モキ製作所の薪ストーブは、乾燥が不十分な薪にも滅法強い。この薪って、本当に、たとえば鋳物製とか普通のストーブで燃やしても大丈夫なレベルのかなと。

 そこで、「乾燥のやり方を工夫して短期間で乾かしたもの」でも燃えると自称する薪の含水率の本当のところを、実際に計ってみましょう、というのか今回の趣旨です!!

 さて、そこで数値化をしましょうということで「含水率計」が出てくるのですが……弊社環境測定分析を本業とする会社で、わたくしも「測定のプロ」です。含水率計による測定には、いろいろ問題もあるのですよ。正確に測るのが難しい。意図的に測ることもできてしまうのです。

 含水率の測定が難しい、という、しっかりとした解説は、こちらの記事が素敵だと思います。誇り高いプロですね、この人も。

www.katagiya.com 要は、含水率計をデイリーユーズするとしたら「その薪全体を代表する測定値」が得られるように、堅木屋さんのように割るまではいかなくとも、表面なら少なくとも何箇所か(私の感覚では最低5箇所)測って、平均値か中央値を取りながら、最高値が高すぎないことを確認する、という配慮が必要だと思います。

 しかし、そんな含水率計で「あーだこーだ」しなくても、こちとら測定のプロです。「含水率の本当のところ」を知るには、もっと「そのものずばり」で測ってしまう方法があります。日本工業規格JIS Z 2101:2009「木材の試験方法」に規定する原理と同じ、103±2℃の加熱によって水分を徹底的に吹っ飛ばして「全乾状態」にしてしまって、重さの差を測ってやる方法です。

 で、実際にやってみました。こんな感じです。JISからの変更点としては、数センチ角の「供試体」ではなく、薪まるまる一本なので、まるごと定温オーブンに放り込み、日数もたっぷりまるまる一週間かけて、完全に水分を吹っ飛ばしてみました。真っ青なシリカゲルも写ってますね。

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 測定のプロ的には、細かいことは色々あります。例えば、まるまる一週間加熱するので水分以外のものも一部吹っ飛んでしまう可能性があります。しかし、その場合の数字が測定結果の誤差は「プラス側」、つまり「含水率が高い」という結果になるので、「充分に乾いているかどうか」を評価する分には差し支えない……などなど、プロ的にはこの目的に対して測定方法が妥当かどうか色々検証したうえで、実際には様々な注意を払って実行されているのですが、そんな「こだわり」は、まあいいですよね(笑)

 ともかく、そうやって乾かしたら、こんな結果になりました。

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 カラッカラですから、もちろん、こうして測っているうちにも、空気中の水分を吸収してどんどん重くなっていきます。ですので、この数字はすでに不正確なのですが、それでも、測定の心得がある方なら、 この含水率が「18%」であることは、実際に計算頂けるはずです【追記:これは一般に用いられる「湿重量ベース」です。木材のJISは「乾重量ベース」が正確で、その場合の数値は「23%」になります】。

  よって、生木を割って、カーポートの上に並べて雨ざらしにしておけば、短期間で、薪として充分使える「含水率20%以下」になることが言えた!!……と、胸を張りたいところなんですが………

 話は、そう、単純ではなくて。実は、これ、天日干しにした期間は、前々前回記事で紹介した「2ヵ月間」じゃなくて、残念ながら、「4ヶ月間」なんですよ~~そうせざるを得なかった。なぜなら……

 

【註:いつも長い長い記事にお付き合い下さいまして、誠におつかれさまでございます。「ここから」、やっと役に立つ情報が始まります!!薪を乾かすうえで、とても大切なことをお話していきますので、匙を投げずに、どうかお付き合い下さい】

 

weathernews.jp

  そうなんです、覚えていらっしゃいますでしょうか?2016年の秋が、秋晴れなんてどこ吹く風、とんでもない長雨に見舞われたことを。史上最悪の日照不足で、野菜なんか、本当に値上がってしまって大変でしたよね~~

www.saitama-np.co.jp 我が家でも、子ども3人いまして、ここのところ11年連続して、秋の運動会を見に行っているのですが、グラウンドが水没したのは初めて見ました(笑)9月23日の写真です。

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  皆さんも、ご苦労なさったのではないでしょうか?……いや、ホント、異常気象というか「気候の振れ」が極端になっていっていますから、エネルギーも含めて食べ物とか、できるだけ「自前で」、地場のつながりでと、グローバリゼーションとは真逆のことをやりたいなと思っている今日この頃です。

 ともあれ、話を戻しますと、この含水率測定のための薪は、我が家の庭で12年間一緒に過ごしたシラカシの木を伐採したもので、12年生きて、4日分ぐらいにしかならないのか、とか、人間の罪深さを嘆きながら7月24日から乾かしにかかったもので、

 9月には回収したかったのですが……

 ここで、とっても大切なことを。

 

 乾かそうとして天日干し、要は雨ざらしにしている薪は、収納のタイミングには、とにかく気をつけて、「最後の雨」の雨量によりますが、少なくとも1週間、できれば10日間くらいは晴天が続いているタイミングで「回収」するのがいいです。

 

  今回紹介している回収も、本当は5日前に17ミリとか、そんな雨が降ってて全然良くなかったのですが、これからまた雨が降ってくるというので仕方なく回収しました。それ以前の10月後半も、雨の降り方だけを考えれば回収できなくもなかったのですが、週末じゃないと回収できなくて、どうにもタイミングが合わなかったのです。

 どうして、回収のタイミングにここまでこだわるのかと言いますと、これが「本質」なのですが、天日に当たって、風通しの良い状態で並べておくのと、例えば薪棚のように「積んで」おくのでは、乾燥の具合が「まるで」違うのです。

 魚の干物や、干し柿と同じと考えて頂けたら、わかる方にはわかるはず。きっちり積んでしまう薪棚は、魚の干物と同じだとイメージすれば、それでは乾かないのは感覚的にわかるはずです。腐らないから良いものの、何か月も何か月も置いておかなければ乾きません。

 だから、回収の直前に濡れてしまうと、回収後の保管環境によりますが、最悪、その濡れた状態のままで使う日を迎えてしまい、それまでの「天日干し」の努力が無駄になってしまうのです。

 長い長い記事ですが、今回をまとめますと、こんな感じです。

  1. 薪は、雨ざらしの天日干しにしておいたら、条件が良ければ数か月で十分なレベルまで乾きます(樹種にもよると思いますが、夏じゃなくて冬でも、11月から2月にかけての3ヵ月間でも、我が家では問題なく薪として使えています)。
  2. でも、回収の直前に濡れてしまうと、回収してからは乾かないと思っておいた方が良いので、回収のタイミングには充分注意してください。

 以上になります。ただ、この薪の乾燥には、具体的には、置き方とか、もうちょっと細かな注意点やノウハウがあります。それは木の種類にもよります。書いている方も疲れました。読んでいる方は、もっとお疲れでしょうから続きは次回!

 それでは次回も乞うご期待~~~♪